攻略メモ6
ロリババァ…ラノベなどで登場する、長命種の少女の事である。
ぶっちゃると、年少の見た目の少女とのロリコン的な流れの話が書きづらい世の中だから、中身は大人と言う方便に使われるキャラ。
まあ、ネットで姿形を変化出来る世の中なので、中身と見た目は違うのが若者には普通なのかもしれないが。
まあ、人気だし、私も感情移入しやすいから、練習したいとは…考えたこともあるかもしれない。
「これも…私の深層心理のお告げなの?」
メフィストを睨む。自分の深層心理が恨めしい。
メフィストは、私を見て苦笑する。
「仕方ありませんね…魔女見習いがお嫌でしたら、マスコット的なアレになりますか?」
「マスコット的なアレ?」
と、混乱する私に、メフィストはからかうような笑いを浮かべて説明する。
「ほら、魔法少女ものに必ず登場する、動物っぽいアレですよ。」
「ああ!」
思わず声をあげる。
確かに、女児に人気の魔法少女ものには、可愛らしいマスコット的な異世界の生物が登場して、主人公を助けたり、時には注意をしたりする。
主人公になりきるなら、優しくて頼もしいキャラではあるが、いざ、自分がその役をやるとなると…面倒くさい。
「ねえ、私がマスコット的なアレになるなら、魔法少女役は剛になるんじゃ…ないでしょうね!」
冗談じゃない、おっさんの剛ですら、空気読めない独りよがりだったのに、
小生意気な盛りの女児の剛のマスコット的なアレ…なんて!
私は、乱暴に扱われたり、人の話をきかないで暴走する女児の剛を想像してゾッとする…ついでに、属性が悪役令嬢らしい(T-T)
死ぬ!絶対に、剛のワガママにやられるわっ…
奴の暴走を止めるには、四つ足は不利よ。手、人間の手が必要なのよっ。
私の中で、これから起こるだろう色々に、孫が帰省する前の老女のドキドキが込み上げる。
好意と体力と気力の限界は反比例するのよ(>_<。)
「ごめん、これで良い。」
私はメフィストにきっぱり言った。
魔法見習いなら、スキルアップで魔法が使えるに違いない。
やろう文学の世界観なら、それは早めに訪れる。
魔法が使えるようになったら、好きに変身すれば良い。
マスコット的なアレは、無しだ。
決意を固めた私をメフィストは優しく微笑んで見つめていた。
「わかりました。私の可愛い魔女見習いサン。
では、まずは、ここで、静かに幕が開くのを見ていてください。」
メフィストは笑い、そして、ホワイトタイに燕尾服の近代的な正装に変身した。
黒い髪をオールバックに整え、不敵に微笑むメフィストは凄く…魅力的だった。
ああ…私が描いたら…笑い者にしかならないのよね…もしくは、微妙に残念なキャラ…
今、一番欲しいのは、挿し絵のスキルだよな〜
などと考えながら、それでもスケッチをしてみる。
蝶ネクタイは、西洋の正装で使われるネクタイの結び方だ。
普段の正装なら、黒いタイを、王族とか、なんか、マックスに華やかなイベントでは白いタイを使うのだと…昔、調べた事を思い出した。
空想の世界で、メフィストに素敵なティーを淹れてもらう…そんなイメージが頭に浮かんだ。
アレはメフィストと調べたのだろうか?
と、同時に、なにか、違和感も感じる。
悪魔とお茶会なんて…
苦笑する私の耳に、華やかなファンファーレが響き、空に、まるで、野外映画のスクリーンのようなものが浮かび、残雪のオリンポス山の美しい姿が浮かび上がる。
開幕だ




