攻略メモ5
いつ使うかわからない『島国』と『内陸国』で文章スキルアップした私。
が、剛がいる『なごみの国』はどちらでもない。
海と川がある陸地の国だから。
ジオは、私のショボい地図を楽しげに見つめながらアドバイスをしてくれる。
「国境はね、基本は山や川などの自然な境界線が利用されているんだ。」
「う、うん。」
気がつくとスタンプカードが登場して花丸がそこに張り付いて行く。
現在、2つ。5つあるとなんか、魔女の帽子が貰えるらしい。
「地球の国境は、現在は経緯線も使われているけれどそれは、ここでは使わないよ。」
これは、ポイントにならないミニ知識。
正直、どうでも良いと思ったけれど、私の地図には国境線が書かれてないので、指摘をされると確かに、必要な知識に思えてきた。
労働の国となごみの国の間には、麦畑と小さな川を挟んでブドウ畑が出来上がる。
「南欧をモデルだよね?『地中海性気候』って知ってる?」
ジオが優しく聞いてくる。
忘れたわ…そんなん、忘れちゃったわよぅ…
「ち、地中海性気候…うん、習った…確かに、中学辺りでなんか聞いた。なんか、いい感じに爽やかな陽気の素敵な所(///ー///)」
もうっ、頭の中で、昭和の歌謡曲が流れてくるわ。
青い地中海と、白い建物…なんか、いい感じのビーチ。
剛、そんな所で暮らしてるんかぁ。
メフィストがこっそり笑っている。が、こっそりしてないところが腹が立つ。
でも、ジオは優しかった。
昭和の王子さまの栗色のロングヘアー…ああ、この髪型って、アメリカで『小公子』が流行った事で、広まったとかネットでみたわ。
そんな、小公子の主人公、セドリックのような気さくな笑顔でジオは、根気よく私に説明する。
「そうだね。地中海の近辺でみられる気候。ニース、マルセイユ…確かに、魅力的な土地だね。」
ジオ、誉めて伸ばすタイプらしい。
「ニースかぁ…いいねぇ。」
ああ、ブラウン管のテレビで母とため息混じりに見つめた地中海クルーズの番組が目に浮かぶわぁ〜
「ねえ、じゃあ、剛は巨大なロブスターとか食べてるの?」
なんか、幸せな剛を思って嬉しくなる。
「どうかな?この地図だと随分、大きな国?か共和国みたいだけれど、身分が高いなら、海岸ではなく、もう少し内陸に居城があると思うよ。」
「居城…」
ああ、本当に、剛は御令嬢になったのね…でも、女の子に転生して大丈夫かな?
女の子は、身なりとか色々、大変だし。
私は、剛が容姿やわがままで嫌われてないか心配になる。
女子、小さくても協調力が必要なのだ。
マイペース全開で浮いてないといいけれど…
「うん。この時代は、比較的安定しているみたいだけれど、戦争は日常だよ。
城は敵襲を想定して作られているだろうから、城壁で街も囲われているだろうね。でも、地中海性気候の『なごみの国』は、農産物や酪農なども発展しているみたいだよ。」
「地中海性気候…」
ここにきて、確かに、地理は必要だと思った。
そうだよなぁ〜気候が決まらなきゃ、特産物が分からない。
確かに、地中海とか言われると、オリーブとか、ブドウとか、頭に浮かぶもんなぁ。
しかし、面倒くさいわ…
こんな調子で終わるんだろうか…
「メフィスト、地中海性気候をその美声で説明してくれない?」
地中海性気候の説明をメフィストに擦り付ける。
が、目立ちたがりのメフィストは嬉しそうにそれを受け入れる。
「うぃ、マドマーゼル。では、説明いたしましょう。」
と、高らかに両手を広げ、立ち上がって歌い出したのはビックリした。
何でだろう?西洋の妖怪って、ミュージカル好きだよね。
が、地中海性気候については思い出せた。
つまり、夏が乾燥して、冬が降水量が増える気候の事だ。
うん。スタンプが4つになった。
あと1つで帽子を貰えるみたいだけれど、それ、貰って嬉しいものなのかな?




