攻略メモ2
確かに、情報は整理しないといけない気がするわ。
気がつくと、私はメフィストの横に座っている…
現在、気球に乗っているのよね…あんまりそんな雰囲気じゃないけれど。
気がつくと、キャラが、美少年が増殖していた。
まだ、剛にすら会えてないのに…わたしゃ、この先どうなるんだろう?
「本当に…この時を迎える事が出来るなんて、考えもしませんでした。」
ジオは、凛々しい…少年ボイスの女声優さんのような通る声で私をガン見…じゃなくて、真剣な眼差しで見つめていた。
「は、はぁ。」
間抜けに会釈する。
だって、こんなキャラ、作った覚えはないよぅ…
メフィストを見た。また、私の深層心理が作り出した幻なんだろうか?
「どうしました?人見知りでしょうか?彼は、本の精霊、怖くはありませんよ。」
メフィストは無駄に優雅に微笑んでくる。
涼やかな流し目の大人クールなメフィスト。
真剣で純粋な瞳で見つめるジオ…
私、ワタシの深層心理って奴は、恥じらいもなく、ハーレム展開を望んでいると言うのだろうか?
作者なのに!ああ、私、作者なのにぃ。
あまりの展開に頭が痛くなってきた。
確かに、昔の少女漫画って、大概、親友がヒロインの本命をあざとく奪って行く展開とかあったわ。逆もあった。
『ごめんなさい。そんなつもりは無かったの…ただ、好きになってしまっただけなのっ。』
とか、なんとか、罪悪感はあるみたいだけれど、しっかり、本命は奪って行くのよ。
私も、剛と食事をすると、食べ物を狙われた。
『美味しそうだね?』
と、ガン見して、そして、なんか、いつも味見をさせる事になっていた。
それが、今回は、逆転するのだろうか…
私が、剛に、イケメンに囲まれながら、
『ごめんなさい。私、どうしても諦められなくて…』
なんて、剛のハーレムを奪って、なんか、上から目線で謝る嫌な奴に成り下がると言うのだろうか?
「本の精霊って何?剛は人間よね?性別、女でも!
本の精霊なんて、ぶっ飛びのファンタジー要素が追加されるの?
いや、その前に、剛って、3つでしょ?いくらなんでも、年が離れすぎてない?」
と、メフィストに早口でわめきながら、そんな設定、昔はよくあったかも…なんて考えたりもする。
昭和の少女漫画の時代物は、クリスマスなどのイベントで、幼い頃に素敵な王子さまとか、ハンサムだけど意地悪な年上の従兄なんてのに初恋をし、そこから10年後に物語が始まったりしていた。
19世紀の西洋ロマンスものは、年の差がある男女、特に、男性が裕福な大人で、純粋な貧しい少女の組み合わせがリアル、フィクション、共に流行ったのだそうだ。
その為、日本の少女漫画も影響を受けた作品があった。
エビデンスはない。
が、私の深層心理が作る話だから、あり得なくもない。
少女時代、内気な少女…中身は剛(-_-;)が、屋敷の図書館で出会う、妖精の王子さま…
ほのかな、恋心と共に仕舞われる…そんな思い出。
ああ、嫌いなジャンルではないだけに、剛が主人公なのが…辛いわ。
と、言うか、この人が、アンリにフラれる剛を癒してくれるのだろうか?
モヤモヤする私にメフィストが冷たいアイスティーをいれてくれた。
「落ち着いてください。彼の名前はジオグレピア…日本語の意味は『地理』です。彼は、地理の先生ですよ。」
「は?先生?」
思わず不躾に叫んだ。
だって、中坊の美少年に今更、何を教えてもらえと言うのだろうか?




