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攻略メモ


ここに来て、私は、この世界の地図を書かされる。

しかも、手書き…


「ねえ、手書きで地図とか、面倒くさいよ〜」

私は、スケッチブックを手に文句を言う。

白地図に色々書いていた小学以来だ。多分、こんな事。

「でも、手書きが一番、頭に入りますよ。」

メフィストのヤレヤレ顔がムカつくわ。

「別にいいよぅ。今のゲームって、皆、画面に出てくるんでしょ?手書きなんて昭和だよ〜」

RPG攻略のために地味にノートに地図を作り続けていたクラスメイトを思い出していた。


確かに、昔のゲームはアナログな分、知識も身に付いていた気はする。

奴は、その秘密ノートで一目置かれていたし、でも、私は面倒くさいのだ。

「昭和 (の人)でしょ?」

メフィストはからかうように私を見た。

「でも、令和にも生きてるんだもん。困ったら、あの、謎の電工掲示板をだしてくれたらいいじゃん!」

そうだよ。それで良いじゃん。と、口を尖らせてしまう。

メフィストは、そんな私を見て、憐れむような、慈愛のこもった憂い顔で私の頭を撫でる。

「困った貴女(ひと)ですね…でも、ちゃんと頭に地理を叩き込みませんと、不足の事態に対応が遅れてしまいます。」

「ふ、不足の事態って…」

私は緊張した。

異界とは言え、歴史をモデルにしているのだから、16世紀なんて面倒くさい時代、何がおこるか分からない。

「まあ、色々ですかね?他国からの侵略とか、偽装、隠謀…何がおこるかわかりません。それに、これから、世界を細かく作り上げるのは貴方です。地図は、ただの道しるべではありませんよ。そうだ、講師を召喚しましょう。」

メフィストはそう言って、胸ポケットから1冊の本を取り出して、謎の光と共に擬人化した。

昭和の少女漫画に登場するような、羽根飾りをつけたつば無しの帽子を被った中学生くらいの美少年だ。

彼は、凛々しい眉と、輝く大きな瞳で私に笑いかける。

(*''*)…この人、ヒロインにフラれる役の人だ。


昔の少女漫画では、幼馴染みの元気な少年と、麗しいハイスペック美少年がヒロインを取り合うのがテンプレだった。なんて、馬鹿なことを考えて、恥ずかしくなる。


「はじめまして、レディ。僕の名前はジオグレピア。ジオって呼んでください。」

ああ…声も素敵。どうしよう?と、いうか、どうしたいのよメフィスト?

私は無駄にモヤモヤしてしまうジオの美しさに困ってしまう。

「はっ…はじめまして、卯月ですっ。」

ああ、握手の手がっ、汗ばむわっ。

ぎくしゃくする私の手を、ジオの柔らかい手が触れるっ!おおっ…Σ( ̄0 ̄)か、感触がっ…少女漫画の王子さまの…手の感触があっっ…

オバサンの私の脳裏に刻まれて行くっ…

こんな事が可能なら、馬鹿とかネクラと言われても、中学時代にアストラルトリップに挑戦しておけばよかったわ(>_<。)


人は、死ぬ時に人生を走馬灯のように思い返すと言うけれど、夢の王子に手を触れられても、同じようにウレシハズカシの記憶が回る。


が、そこで終わりじゃなかった…奴は、ジオは、そこから、(ひざ)を折り、私の手の甲に…き、キッスをしたのよぅ…


し、死んだわ…今、ワタシ…


薄れる意識…どうなるワタシ。

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