TS剛の家庭2
気球はゆっくりと風に流れている。
メフィストは、私のためにリュートを弾いてくれた。
昭和の少女アニメの主題歌を…
ああっ…なんか、ドキドキする。
最近の少女漫画って、初恋の甘酸っぱい感じがないのよね…
今の少女に好かれなくても、やっぱり、昔のテンプレのラブコメとか見たいわ。
おてんばで、純粋で、一途な主人公( ´艸`)
素敵な王子さまと、ドラマチックな出会い。
そして、めくるめく恋…
ワクワクした…が、中身が剛だと思い出して気が重くなる。
こんな…オープニング曲みたいな恋をする中身が剛を私、見守るの?
珍獣観察…
ふと、そんなワードが込み上げる。
「いやーん。私、出来ないっわ。」
こんな事言われたら、剛を叩きたくなりそうだが、幼女の上にコンプライアンスがあるから、暴力はいけない。
生前の剛の悪行を思い出してきた。
雨が降ってきても、奴は、荷物の片付けを手伝わず、
「足がいたいな…痛風かな?」
とかボヤくのだ。
あれを…幼女に転生してやられるのだろうか…(-_-;)
「これ、楽しいのかな?剛、まともに育つのかなあ?」
なんだか心配になる。
もともと怠惰な上に、屋敷のお嬢様に転生した剛…
ロクデナシにならなきゃいいけど。
「それは、貴女と私が導いて行くのですよ。」
メフィストに言われてハッとした。
ああ、そうか、私が作る物語だから、昭和仕様なんだ。
「私達…剛の指導霊みたいなもんなのか。」
私は、少女時代に愛読したミステリーまがじん『みぃ・ムー』を思い出した。
人の魂には、その人生を守り、見守る守護霊がついている。
悪い方向に行かないように、メッセージをくれるのが指導霊…なんていわれていたなぁ。
「嫌ですね、webファンタジーですから、ここは育成ゲームと、言ってほしいですね。」
メフィストは苦笑する。
マルチエンディング。育成ゲーム…
そう言えば、友人はそれにはまっていた。
ドラマや漫画と違って、ゲームはエンディングが複数存在する。
で、好きなイケメンを攻略するんだよなぁ…
ふと、複数の王子に囲まれて、ちやほやされて鼻の下を伸ばす剛を想像してため息が出る。
なんでだろう?こう言う想像だと、剛はオッサンのイメージで頭に浮かぶんだよな。
「ハーレムエンドとか言うんでしょ?王子に囲まれて…イヤダナ」
ボヤく私にメフィストは困った顔で首をかしげた。
「やれやれ、本当に、ゲームに弱いですね?
それは『恋愛シュミレーション』これは『育成ゲーム』恋愛を含めた成長を愛でる物語ですよ。」
「『育成ゲーム』って、そんな話なんだ?」
と、言いつつ、頭には、怪しげなモンスターやら、古代生物しか浮かんでこない。
「大体、フリーの王子なんて、そうそういませんよ。生まれたときには、婚約者が決められているのですから。」
メフィストに言われて、これが私の話なんだと思い知る。
最近流行りのweb小説を真似てみたくても…私の深層心理が受け付けないと、面倒な設定の中で、作り込んで行くしかないのか…(T-T)
剛と自分の先行きを星に聞いてみても…やはり、答えてはくれない。




