カウンターストップ
「計測器が計測不能するのがカンストですよ。
測定をストップしたら、それは機械が故障してるって事ですよ。」
メフィストは笑った。
本当に、容赦なく楽しそうに…(///-///)
「う、うるさいわね。初めて使った単語なんだから、間違うこともあるわよ。」
私はふてくされながら、あの電光掲示板の文字を見る。
「ねえ、これ、壊れてるんじゃない?」
私は嫌みったらしく文句を言った。
そうよ、測定不能って、日本語だから間違ったのよ。
私の文句をかわしてメフィストは電光掲示板を何やらいじる。
で、ふふん。と、上から目線な笑いを漏らし、私を見た。
「データー入力エラーですね。」
「データ入力エラー…」
私は仕事で聞くような嫌なワードにドキドキする。
「データーの入力がされてないから、測定できないみたいですね。ここは異世界と言っても、アストラル界ですから、貴女の空想をベースに作られるわけですね。」
メフィストは興味深そうに電光掲示板を眺めている。
いってる事は理解できなかったが、なんか、バカにされてるように感じた。
「悪かったわね。」
思わず口をついて出た悪態をメフィストは笑ってかわす。
「悪いことなんてありませんよ。なかなか興味深い。」
メフィストは笑って右手を前につき出して、アニメで見る、攻撃魔法の体勢をとる。
「なにするの?」
ここに来て、この草原が日本の情景ではない事を理解した。水平線まで広がる山一つない草原…
メフィストは魔力?を込めて、その水平線の向こうになにかを放とうとしていた。が、アニメで見るような魔法円は見えなかった。
メフィストは黙って地平線を見つめていた。
堀の深い顔に、風で流れた前髪が一房かかって、なんだか凛々(りり)しくみえる。
緊張感が私にも伝播する。
ライブでみると、あの魔法って、ための時間がかかるんだなぁ。
なんて、期待してみていると、メフィストはしばらくして手を下ろして苦笑する。
「やはり、手からビームは出ませんね。」
メフィストは、ははっと笑う。
「なーんだ。」
少しがっかりしたけど、安心もした。
なんであれ、あの手の魔法とか、なんか、レベルあげ?とかはしなくていいらしい。
ボンヤリする私の顔を見てメフィストは少し不満そうに見た。
「すいませんね、期待に添えなくて。では、古来からの方法を試してみましょう。」
メフィストは何やら、また、気をため始めた。
すると、にわかに空がかき曇る。
そして、何かを感じたようにメフィストは、空を見上げ、そして、低く恐ろしげな声で、こう叫んだ。
「出でよ、雷!」
ダダダッーン(○_○)!!
雷が…本当に落ちた。
私はその場に硬直した。
その昔、雷にみまわれたルターは、助けてくれたら聖職者になるから助けてって神に祈ったらしいけれど、その気持ちわかるわ。
少し遠くに落ちたけれど、遠くても…激しい爆発音が恐怖でしかない。
私には、なんか、ビームより、こっちの方が何倍も怖い。
「すいません。ちょいと、調子にのりすぎちゃいましたね。」
メフィストは涙目の私の肩にその手を落とした。




