第二話 再会 呪文
「呪文のファイルが一つしかないよ。呪文を集めると様々な言葉で魔法が使えるよ。」
ジオの説明に私は混乱した。いや、普通、魔法があって呪文はそれに付随するのではないだろうか?
「どういうこと?」
私の質問にジオは爽やかに答えた。
「卯月さんは、特殊スキルで呪文の言葉を決めることが出来るんだ。」
ジオの言葉に混乱したが、なんとなく、イレギュラーな存在の私は、セルフで考えないといけないって感じなんだと思った。
「そうね。思えば、あの呪文にも著作権とかあるのかな。やっぱり自分で考えないとけないのか。」
と、ジオを見た。いかん。ジオに聞いたら地理用語になってしまう。魔法の呪文なんだから、もう少し、オシャレ感のあるのがいいな。でも、すぐには考えられないわ。
なんだかんだと言って、『スキルオープン』って、使いやすい呪文だよな。呪文なんかどうなんかわからないけど。
少し考えて、面倒くさくなってスキルオープンでいいやと思い始めた時、メフィストが言った。
「では、私がとっておきの最強呪文を提案しましょうか?」
と、言ってきた。
「最強呪文?それ、著作権とか大丈夫?」
一応、聞いてみる。ここはこの世ではないけれど、ゲーム世界の設定だから、変な罠とかで最後にリスクがあったら嫌である。
ここは、慎重に行きたいところだ。
「大丈夫ですよ。」
メフィストは目を細めて優しく笑う。私はそこに遠い少女時代に出会った物語の王子様の面影を見た気がした。
って、やばい。メフィストが王子に見えるとか、なんか騙されている気がする。何だかんだと言ってもメフィストは悪魔なのだ。
「そう?でも、いいかな。もう、面倒臭いし。スキルオープンでも。」
私はなげやりに言った。まあ、スキルって何だかわからないけれど、言葉には意味があるから、変な風になることもあるかもしれないけれど。
「イーメビコウス。というのはどうでしょう?」
少ししてからメフィストが言った。
「いいメビ子?」
「イーメビコウス。あなただけが使える最強の呪文です。」
メフィストは含みのある笑顔で私をみる。怪しい。
「う、うん。」
胡散臭いから使いたくない気もする。私は黒本を見た。ともかく、ガニメデの様子を知りたい、そう思った。
「まあ、騙されたと思って使ってみてください。」
メフィストに言われて、仕方なしに言ってみることにした。
「開け!イーメビコウス!!」
私は叫んだ。すると、本当に段違いの光が本から溢れてきた。そして、勝手に宙を浮くと、ブルーに輝く画面らしき何かが現れた。
私はメフィストを見た。
「本当に、なんか、すごいね。よくわからないけれど、メビ子の呪文、なんかすごい感じがするよ。で、ここからどうなるの?」
私の質問にメフィスト答えなかった。自分でも少し、驚いているような顔をしている。それを見ながら、なんか、適当なことを言ったんじゃないかとこう思った。




