表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/122

スパダリ

悪魔が赤ん坊に憑依する…

昭和のオカルトを思い出していた。


web小説では、いとも簡単に異界に人が転生、憑依をするが、昭和のオカルトでは、その道のりは長い。

まずは妊婦を探す。

気の長い話だと、悪魔に花嫁を斡旋するところから始まる。


どちらにしても、異種混合は難しく、出産するまでなんか、色々とやっていた気がする。


ベルフェゴールはどうしたのだろう?


「まあまあ、そんな深刻な顔をしなくても、」

「するわよっ!剛…女の子に転生で、悪魔に憑依って…もう、ホラージャンルを脱出したいんだよぅ(>_<)」

私は昔みた映画のシーンを思い出す。

悪魔に憑依されると、不気味な肌色になり、なんか、凄く器用な体制で動き回ったり、首がまわったりするんだよなぁ…

「なに、笑ってるんですか?」

メフィストに言われてハッとする。


生前、借金で首が回らなかった剛が、悪魔つきの転生で、首が180度回るようになる…ぷっ…


なんて、バカな事を考えていたなんて…言えないわ。

「わ、笑ってないわよ。はぁ…どうなるのよっ?お城で転生って…まさか、姫に転生して、政敵を悪魔の力で抹殺するとか、教会の坊主を殺して回るとか…嫌よ。」

ああ、昔のホラー映画が脳裏を駆け巡る。

エクソシストとか、出てこないわよね?

それとも…エクソシストの少年と…美少年との恋愛もの?


…ちょっち…いいかも(///-///)


ああ、昭和の少女漫画はオカルトサスペンスものあったなぁ…


懐かしい読み切り短編を思い出す。


「そうですかぁ…随分とにやけていますけど。」

メフィストの意地悪を笑って誤魔化(ごまか)しながら私は話をする。



「で、一体、今は、どうなってるのよ?」


私の質問に、メフィストは、ハッとして渋い顔をした。

「結果的には、お嬢様は憑依出来ませんでした。」

「憑依出来ないって…それ、良い事なのよね?」

なんだか、不穏な顔のメフィストが心配になる。

「どうですかねぇ…私的には、お嬢様に憑依されて欲しかったのですが。」

「いやよ!悪魔の憑依なんて!もう、苦節5年、やっとの思いで人気ジャンルに投稿したのよ…」

私は泣きたくなる。


ホラーは嫌いではないが、なんか、ファンタジーの世界で美少女剛が、政敵を呪い殺してゆくとか…

そう言うのは、もう良いのだ。


私はweb小説のきらやかなテンプレの話をみたいのだ。

「ええっ…そうですか?剛さん、悪役令嬢ですよぅ…」

「あ、悪役令嬢!?って…なに!」

「今流行りのテンプレで作りましたから…お嬢様がノリノリで。

で、スパダリが出てきて、転生美少女、剛さんを溺愛して甘やかすんですよ…」

「スパダリが、溺愛して…甘やかす(-_-;)まずいわね。」

なんか、知らないけど剛を甘やかすとロクデナシになる。

「地獄…ですよ。」

真顔で悪魔に地獄と言われる剛って…


「確かに、スパダリって奴、なんか、魔法とか使えるの?」

スパダリって、ゲームのモンスターとかかな?

著作権は大丈夫なんだろうか…


不安な私を見て、メフィストはため息をつく、

「もしかして、スパダリ、分からないんですか?」

なんか、凄くバカにされた気がした。

なんだろう?凄く人気なんだろうか…

「ごめん、私、ゲームとかしないんだよね…たまに、ネットで用語とか調べたりはするんだけど。

東欧の…妖怪?」

西洋のモンスターはわりと知っているので、東欧のマイナーなモンスターだと思った。

よくわからないが、ドラキュラのような、イケメンには違いない。


メフィストは、私の話を聞いて爆笑する。


「ち、ちょっと、笑うこと無いでしょ?ねえ、スパダリってなによぅ…画家?プログラマー?賢者とか?」

叫ぶ私の頭をメフィストが撫でる。

やっぱり、私、縮んでる気がする。


「スーパーダーリンの略語ですよ。」

メフィストは優しく教えてくれた。

「スーパーダーリン?なにそれ?」

「少女漫画のイケメン枠のキャラの事ですよ。ハイスペックで格好いい…」

メフィストは嬉しそうに目を細める。

「えー。なんか、やだなぁ。王子さま枠の事でしょ?スパダリって、なんか、風呂屋みたいで軽い気がする。」

思わず叫んだ。

読者には不快でも、仕方ない。

作者の私はイメージで話を作るのだから。

いや、これが、飲んだくれのオッサンとか、学生なら、実際に知ってるから良いけれど、


王子さま枠の男なんて…

蜃気楼のように、見たことの無い存在なんだもん。

なんか、凄く…自分の全ての高潔でイケメンのイメージを総動員して作り上げないと出来ないに違いないんだから、イメージの元になる言葉は大切なのだ。神経質にもなる。


「風呂屋みたいって…だからって、『ヒカルの君』だの『ロビンフット様』だの言われても、今の娘には刺さりませんからね。」

メフィストは楽しげに笑った…


ロビンフット様って…

私だって言わないわよ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ