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第二話 再会 体力


 一瞬で雰囲気が変わった。

 

 美しい男性と乙女(魔法って便利)。それが同じ椅子に座って読書を始める。

これだけで一気に雰囲気が変わる。

 メフィストはとてもエレガントな顔と、絶妙な支え方で私を抱いていた。

 こういう時、ラノベだったら、焦って変なところを触ってしまったりして「触らないでよ!」とか言いながら場を離れる場面である。

 が、メフィストはとても上品に、そして紳士的に私を支えている。騒いだりしたら、私の方が自意識可能と思われる気がする、そんな雰囲気を醸していた。そして、私が、この何でも手に入れられそうな男が持ってない、何だかいいものを持っていると錯覚させるような優しい視線を私に向けた。


 メフィストの存在が、一気にジャンル恋愛へと変えてゆく。

 夏目漱石の話になった時は、ここから国語の授業みたいな話になるんじゃないかと思っていたけれど、少し環境を+するだけで違うもんだと思った。

 「メフィスト、あなた、悪魔としての才能はわからないけれど、編集担当の才能はあると思うわ。私、多分、本職の編集者の人と知り会うことはないとは思うけれど、きっと、あんたほど小説の書き方を上手くは教えてはくれない気がするもん。あんたさ、私なんかに粘着してないで、もっと若くて将来性のある子についた方がいい気がするよ。」

ああ。私は本当にそう思った。

甘さは自分で加えるものだなんて、そんな事考えたこともなかった。

そして、こんな風に恋愛小説にしてゆくのかと感動もした。

「褒め言葉、として受け取っておきますよ。さあ、ここで、私の膝の上で、いにしえの恋物語を読んでください。」

メフィストは調子に乗って恋人にでも囁くように言う。

私は本を手に深呼吸をした。ここで本当に音読していれば何とかなるのだろうか?


 少し不安にもなる。そして、こんなことをしていていいのかと焦りもする。でも、人生が短くなって、ついでに遅筆な私がここで失敗したら終わりな気もする。

 

これが最後の恋愛小説かもしれない。


 そう考えると、ここは大切に進みたい気もした。多分、メフィストの意見は正しい気がする。でも、これでいいのかと躊躇もする。

 そんな私の様子にメフィストが囁いた。

 「ちゃんと読み上げられたら、ご褒美を差し上げましょう。ガニメデさんの様子を、一節読むごとにお知らせします。」

と、メフィストに言われてドキッとした。そうだった、なんかを攻略しなきゃいけないのは私だけではなかった。

「ガニメデ?!ねえ、ここでうまくプレゼンできたら、ガニメデになんかいいことが起こるの?」

「はい。彼1人では体力が疲弊しますが、ここで貴女が評価を受ければガニメデさんを祝福、体力回復しますよ。」

「体力の回復。」

何だか、本当にゲームのような気がしてきた。 

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