第二話 再会ミニゲーム
気がつくとガニメデは立っていた。
1時間。
10歳の少年を1時間。
「ねえ、こういうの、大丈夫なの?主にコンプラ的に。」
そろそろジレてきた私がメフィストに聞いた。
「大丈夫だと思いますよ。これ、このイベントはミニゲームになっていて、ここでサトゥルヌスの好感度がアップするのでプレイヤーは皆、ガチで一時間以上やり込見ますよ。」
メフィストは右の親指をグッと突き出した。
「は、ミニゲーム。」
ああ、あったな。なんか知らないけどRPGの世界ではミニゲーム確かにあった気がする。そして、私は下手だった。
あれ、やり込みたい人間っているんだろうか?前から気になっていた。
「はい。ミニゲームは大事ですよ。ギャンブル要素満載で一気に好感度爆上がりさせられますから。」
メフィストは楽しそうに言った。それを見て、私も嬉しくなる。そう、ネットの噂のレベル上げって面倒なんだもん。
本当にジオの豆知識を聞きながらこうしてガニメデを観察。それでも話は進行しない。ゲームで一気にこれが減るなら私だって頑張りたいわ。
「すごいわね。それって私も出来るの?なんか一気にレベルが上がるって素敵。それで一気にディアーヌの好感度を上げたら、さっさと話を進めたいの。」
私はいいながら変な感じがした。こんなんでディアーヌの好感度がどうやって上がるんだろう?
「あ、違いますよ?ここではサトゥルヌスの好感度が上がります。」
メフィストはそう言って両手でハートを作る。
「は?ハート?サトゥルヌスとハートって。」
私は嫌な予感がした。その予感を確信に変えるようにジオがタブレットで説明してくれる。
《このミニゲーム ドキドキ恋のバランスゲームは、攻略対象の好感度を耐久時間で爆上げするんだよ。耐久時間が10分毎に10%のボーナスポイントがつくんだよ。高レベルになると告白もあるかも(ハート)》
(ハート)って…
私は思わずメフィストを睨んだ。
「ねえ、まさか、ガニメデにサトゥルヌスに告白されたりするの?」
不穏な空気を感じた。メフィストは微笑んだまま頷いた。
「え?まじ?まじでそんなBL設定あるの!!!」
私は叫んだ。そして、少し怒っていた。折角、ガニメデが剛との物語を始めようとしてるのに。ここで、いきなり他の人物と、しかもBL要素なんていらない。頬を膨らませて文句を言う私をメフィストは呆れてみながら呟いた。
「でも、これは乙女ゲームの要素があるので、登場キャラの男子に恋される。
それは仕方ないですよ。」
「いや、BLの表示無しは批判されるって!」
私は喚いた。それをメフィストは鼻で笑ったぁ!
「ふ、仕方ないのですよ。乙女仕様に無理やり男子を入れ込んだのですから。」
メフィストは私を責めるように見た。それで、ガニメデがチートで無理やり入れ込んだことを思い出した。
「は?それって、本来は私がサトゥルヌスとかと恋愛しながらプレーする話だったというの!」
叫んだ。何だか小っ恥ずかしい仕様だったことと、ガニメデがそこにブッ込まれたこと、そして、これのこの先を考えた。
「もう、そんな顔をするとワタシ、僻んでしまいますよ?悪魔の嫉妬は醜いんですよ?」
いいんですか?と聞くようにワタシを見ないでほしい。
「嫉妬って、ああああっ、本当に、毎回、毎回、美形だからって、恋愛っぽいワードで騙されないんだかね!何とかしてよ。もう、チートでも、大バックでも!!!」
私のセリフにメフィストは肩を落として笑った。
「だバックって、何ですか、それ。ディバックですよ。でも、チートも修正パッチもここまで大きい修正はできませんし、すでに1話が進んでしまった以上、強制終了しかありませんが、そうすると、すぐにでも貴女は私と地獄へと行くことが決定します。」
と、花嫁のように頬を染めるのはやめて、メフィスト!
「それはいや!」
「それでは、これで進めるしかありません。この選択は、貴女がした事ですよ。」
メフィストは凄く甘い感じに笑いかける。それを見ながら、22時代の大人のドラマのアバンチュールの場面を押し入れに隠れてみた少女時代を思い出していた。あの役者さん、悪魔の甘さを演じていらしたのね。
「わかったわよ(//ー//) いいわ。もう、でも、これって、パラメーターをあがなきゃいいんでしょ?」
私は叫んで、パラメータという、何とも懐かしい言葉を思い出していた。
90年代は恋愛シュミレーションが流行っていて、私の友達もハマっていた。
男子用のソフトだったけれど、そして、女の子を攻略して何がいいのかわからないけれど、友達は楽しそうにしていたっけ。
ともかく、その記憶で行くと、確か、告白は1ゲームで1人だああった気がする。パラメータが上がらないとそういう展開にはならな…
はっ!(◎_◎;)
ここで、意外な落とし穴に気がついた。
「ねえ!まさか、パラメーターの調整を間違うと、ディアーヌに告白されないの!!て、か、他の人とのエンディングになるの!!!」
面倒臭い!!!
何なのっ、この展開は!私はしゃがみ込んだ。
おかしいわ。だって、いろんな最近の深夜アニメとか、小説読んだもん。
悪役令嬢とか、そういうの。
でも、こんな、こんな面倒な展開はなかったもん!!!
愕然とする私に、メフィストは優し気に私の肩を抱いて、地獄のセリフを囁いた。
「なりますよ?勿論。でも、それはガニメデさんではなく、欲に溺れてBLを諦めきれなかった貴女の心に端を発するのです。」
いやぁあああ
頭が爆発しそうになる。
そして、私がゲームが苦手だったことを思い出した。そういえば、私、自分で買ったゲームの最上のベストエンディングにたどり着いたこがなかった事に気がついた。
大丈夫だろうか。
心配になった私にジオがより沿って慰めてくれた。
「大丈夫です。そのために僕がいるんですよ。危ない時は、アラーム鳴らしますから。ほら。」
と、無邪気に言われて、アラームの音とともに、サトゥルヌスのガニメデを見る目が違うのに気がついた!
どうする私?そして、何をしたらいいの、これからぁ。