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第二話 再会回想


 物語は私が考えるより複雑で面倒くさかった。

 大王フランソワはディアーヌの父、ローズマリー公を招集した。

 ここに来て、公が不在の時に狩りなんておかしいと思ったんだけれど、ここに来てローズマリー公には『中の人』がいる事が判明して合点がいった。


 中の人…異世界ものではありふれた存在、気にする気も起きないテンプレなのに、当事者になると嫌悪感が湧き上がるもんだと思った。

 美しい少女漫画の世界に、その皮を被った生身の男がいることはやはり嫌悪感が湧いてくるもんだと思った。

 そう言う事もあって、戦略シュミレーションの参加者で、中身のある人物はゲームが始まる時に舞台から消えることになる。

 そして、女のだけの世界に変わってゆく。


 そんな世界で、ガニメデだけは男のを持ったまま物語に登場していた。彼も知らない前世の記憶に導かれ、愛しい相手に告白するために。


 ガニメデは、すっかり身支度を整えさせられて彼の身元引受人に会おうとしていた。

 この屋敷は、キリスト教の文化を嫌うメフィストの趣味で古代ローマ風に仕上げていた。

 壁はギリシア風の白い漆喰壁で、それが石灰を使ったものであること、その石灰が長間の貝や珊瑚などによるものである事をジオが教えてくれた。


 「貴女はテラフォーミングの初めを機械で行った方が効率的だと考えていましたよね?」

メフィストはなんだか嬉しそうに私に聞いた。

「そうね、あの時は火星移住計画とか話題になっていたけれど、人間をいきなり送るなんて無理ゲーだと思ったんだよね。」

私はその頃の事を懐かしく思いだした。

「そうでしたね。貴女は火星にまずは小さなロボットを沢山火星に送ることを考えましたよね?」

「うん。」

そんな事、今、どうでもいいんじゃないかとは思いながら頷いた。

「移送コストを考えて、目をつけたのゲーム会社でしたね。」

「そうだったっけ。まあ、とにかく、ゲームをベースのものがたりを考えたかったし。私、頑張ってたわ。」

ああ、そんな頃があったことをしみじみ思い出していた。

 ただの探索、黄金も何もない世界に金をかける投資家はいない。どこの国も宇宙開発なんかに税金かかける余裕なんてないと思った。だから、小型の探査機にコントローラーをつけて、地球から一般人が操作できるようにしたらどうだろうと考えたのだった。

「そうでしたね。課金率が高い男性を主な対象に、可愛らしいアイドルAIを装備して、男を火星に誘うのでしたね。」

メフィストは夢見るように言い出して、私は不気味に感じた。

「何よ、まだ作品にもなってないそんな事を言い出して。」

私の顰めっ面をメフィストは嬉しそうに見つめる。

「なったじゃないですか!ここで、この世界の機械生命体は貴女のその子孫ですよ。よかったですね。」

メフィストの笑顔が不気味に感じる。

「別によくないわ。何が言いたいの?」

私は身構えた。が、メフィストはそんな私を気にする事もなく私の頭を撫で撫でする。

「可愛いですね。」

「あんたは可愛くないわ。だからどうしたって言うのよ!」

私は少しイライラしてきた。なんだか、メフィストにいやらしい含みを感じだからだ。

「いいえ。なんでもありません。ただ、機械生物のデザインは貴女が原案だと言うことをここではっきりさせたかったのです。」

メフィストはそう言って、私を抱き上げるとぐるぐると回しながら言った。

「さあ、つまらない事はこれくらいにして、ガニメデさんを追いかけましょう。」

メフィストの意味深な説明は気になるけれど、そんなことよりガニメデ!

彼がこの先どうなるのかを見届けないと。

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