第一話 いとしのローズマリー遭遇
これが、これが剛だというの((((;゜Д゜)))))))
私は立ち尽くした。
だって、超絶美人!というか、美少女なんだもん!!!
冬の寒空の満月のような輝く白い肌。
古代ローマの彫刻の女神のように額から真っ直ぐに通った鼻筋。
ぱっちりと大きな瞳。
先始めのバラの蕾の綻ぶ花びらの様な透き通ったピンクの唇。
何もかも、完璧だわ!!
でも、中身が剛なんて、中身が剛なんて!!
「こんな美少女、私、どうしたらいいのよ。」
思わずぼやく。
ラノベのテンプレなら、美少女に転生したオヤジは赤ちゃんの頃から記憶があって、お母さんのおっぱいをおぁさん目線でありがたがって呑んだりする。
webで小説書いてるけれどさ、でも、やっぱり、この設定はキモい。
そのTSおじさんが知り合いだと思うと、どうにも我慢ができない。
しかも、何、この完成された美少女!
課金の機能があるならば、私はバックにバラを書き足したいわ。
上品なブルーのドレスで、スクエアー襟が品の良い可愛さがある。
「あのブルーは、フラアンス語で『パステル』と言われるヨーロッパ原産の植物で染色したんだよ。綺麗なブルーでしょ?」
ジオ、こんな時にもワンポイント地理知識。
「そうなんだ。」
なんとなく、上の空で聞いたが、しっかりと花丸は増えている。
「うん。現在はウィードと、英語の方が調べやすいかもしれないね。日本名、大青の仲間だって言われているよ。中世ではよく使われた染料なんだ。」
ジオの説明を黙って聞いていた。聴きながら、剛が青を好きだったことを思い出していた。理由は、男の色だから だった。
ふふっ、
笑いが込み上げる。男の色だから好きだった青を、超絶美少女に転生して上品に着こなす姿が、なんだか皮肉に見えたからだ。
ここからは何も考えなかった。
気が付いたら歩き出していた。
ここまできたら、もう、調べずにはいられない。
あの子の前に行きさえすれば、声を掛ければわかる気がした。
剛の魂の記憶があるなら、私の名前を聞いただけで、ビクッとするのだから。もう、私、何もしないのに。
そう、剛!って声をかけよう。
その後、どうなるのかなんて、知ったことではない気がした。