葡萄と林檎の因縁
友達とグラウンドを駆けた後の、ぶどうの一粒は、
どうしてこんなにもあまやかなのでしょうか。
友達に差し出す、ぶどうの一粒は、
どうしてこんなにも仕合わせにさせるのでしょうか。
好きな人からもらった、ぶどうの一粒は、
どうしてこんなにも舌先を楽しくしてしまうのでしょうか。
そして、
白秋の日を浴びた貴方ぶどうは、どうしてこんなにフカシギな色を身にまとっているのでしょうか。
はたして大地は、貴方にどんな使命を帯びさせたというのですか。
こんなにも毒々しい色彩を託しておいて。
もしかして、ただのおしゃれのつもりでしょうか。
それとも、貴方を違う世界線に下ろすはずだったのかもしれません。
毒を添えて。
だけど代わりに、
永遠に眠らせてしまう為の果実は、
ちゃんとこちらにやってきております。
あぁ、気の毒な林檎よ。
あなたに毒を委ねるつもりはなかったでしょうに。




