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2 状勢激動の巻 2

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。

ストライク:森で見つけたカメレオン。

サイシュウ:ダンジョンで出会い、仲間になった異世界の上級冒険者。

ソフィア:共に召喚された吉良の同級生。日米ハーフの少女。

ティア姫:吉良が身を寄せるハイマウンテン王国の姫君。

サンタナ王:ハイマウンテン王国の王。

スターゲイザー:主人公達を地球から集団転移させた魔術師。

アリン:コリーン国の女騎士。クマ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。

『覚悟!』

 その声とともに、ニスケー軍が攻撃を開始した。

 巨人兵士機が斬りかかり、犬頭の機体が牙を剥き、重装甲の甲虫機が大砲を撃ち、鳥人機が宙へ飛ぶ。

 一斉攻撃がキラーのSゲイルイーグルとサイシュウのSサンライザーへ降り注いだ!


『ヒィー! 劣等病身畜生どもめー!』

 アリンはブッ壊れた機体の中で泣きべそかいて頭を抱えているが、こいつはもう誰からも無視されているので安全だ。


 そして――


 イーグルは空を貫く矢のごとく敵から敵へと高速で飛び、空の敵を刀で、地上の敵を手裏剣で次々と撃墜してゆく。ニスケー軍の砲火はその動きを捉えきれない。多少のかすり傷を与えるのがせいぜいで、ただ狩られるのみだった。


 サインライザーの方はバリアで敵の攻撃をことごとく消去し、破壊光線と刀で敵機を片っ端から撃破した。もはや勝負になっていない。



 ほどなくニスケー軍は壊滅。

 盛り返せる機会などただの一度も無かった。



——コリーン国王城——



「マジひでえ眺めだな」

 溜息混じりのサイシュウ。

 今いる場所は王城内、謁見の間。ニスケー軍を撃破したキラーとサイシュウは、その足で王城に開門を要求し、中へ入ったのだが――


 ニスケー軍兵士の生き残り――大半はサルの獣人――は、皆、壁に手を当てて反省のポーズをとっている。そうしながら一人が呻いた。

「ぬうう‥‥カマセイル隊だと知っていれば最初から逃げたものを!」


 それを前に元気いっぱい、勝ち誇って叫ぶアリン。

「思い知ったか! 死刑だ! お前ら戦犯国の病身兵は死罪だ!」

「お前が勝ったんじゃない。黙っていろ」

 その冷たいキラーの声に、しぶしぶ静かになったが。


 そしてコリーン王——クマの獣人だが、年老いたせいかコアラみたいな顔——は晴れ晴れとした笑顔でへこへこと頭を下げていた。

「爽快でございます! 流石はヘイゴー最強部隊、恐れ入りました。貴方達がコリーン国で戦ってくださるなら帝王の座はとったも同然! 三人組だと聞きましたが、後一人はいずこ? 既にニスケーの劣等猿どもを征伐に向かわれましたかな?」


 うんざりした顔でサイシュウが告げる。

「俺らはハイマウンテン国から来た。侵攻してきたお前らの軍はブチのめしたぞ。で、この本国も叩き潰されたくなければ降伏して停戦しろ、という話をしに来たんだよ」


 みるみるうちにコリーン王の毛むくじゃらな顔が青くなる。そして綺麗に土下座した。

「し、します! 降伏します。責任ならそこの隊長を差し出しますので、いかようにもお取らせください!」

 三度の土下座を三回繰り返しつつコリーン王はアリンを指さす。

「ひ、ひどいー! ジェンダー差別だ、このレイシスト王め! 責任ならこの王を棒叩きの刑にしてとらせましょう!」

 アリンは激怒して叫びながら、後半はサイシュウとキラーへ訴えた。


 物凄くげんなりするサイシュウ。

 一方、キラーは表情を崩す事無く——まぁちょっと強ばってはいたが——淡々と王へ告げる。

「敗戦を認めるなら賠償金をもらう。こちらにも被害は出ているからな。断れば今からすぐ戦闘になると思え」

「支払います! 国民から搾り取ってでも御支払します!」

 即返事の国王。この場で戦闘になれば、次の瞬間、総大将である己が絶命は必至。誰とて命は大事だ。


「さっさと滅ぼしていいんじゃねぇか、ここ」

 サイシュウがげんなりしたまま呟く。

 後ろでニスケーの猿兵達が皆で頷いていた。



——そして場所はコリーン王城の格納庫へ移る——



「戦闘直後という事で期待はしていなかったが、無事な機体も結構あるな」

 格納庫内の、各種量産型機を見渡すキラー。

 現金だとすぐには出せないと言われたキラーとサイシュウは、ならばと現物で貰っていく事にしたのだ。

 すぐに払うとは思えない。踏み倒されたり、ぐずぐずしているうちにここが他の国に滅ぼされるかもしれない‥‥そういう判断である。


「まぁ追いつめられたら第一騎士団隊長が泣き叫んで逃げ出しましたからね。徹底的に戦ったわけじゃありませんよ」

 ニスケー兵の一人が教えてくれた。

 溜息まじりにサイシュウが頭を掻く。

「どんだけ弱い隊長だ。量産機だけの部隊にそこまでボロ負けしたんか」

「違います、違いますぞ! ここを攻めた時、ニスケー軍は倍以上の数がいました! 率いる敵将も白銀級機(シルバークラス)に乗っておりましたし! 数を頼りに攻める、後進国家丸出しの野蛮な劣等猿どもです!」

 慌ててコリーン王が言い訳する。最後の方はニスケー軍を露骨に罵倒しており、猿獣人達が苛々した視線を向けた。


「こんな国に長いこと兵力を割いていたくなかったからニスケーの本隊は引き上げたのか。まぁ賢明だ。ではここの機体と‥‥そうだな、あれも貰おう」

 キラーが指さしたのは、格納庫の一番奥にある巨大な亀だ。


 頭は亀というより竜に似る。

 巨大な甲羅の左右横腹はシャッターになっていた。

 これはこの世界の軍艦であり、ケイオス・ウォリアーを収容・運搬する物なのだ。


「我が国の誇り、Cシェルタートルを持って行くのか!」

 食って掛かるようなアリン。

(誇る割には使った形跡が無いが‥‥)

 装甲が無傷である事を見逃さないキラー。


 そして国王は愛想笑いを浮かべる。

「どうぞどうぞ。先ほど言いました通り、ついでにアリンもつけましょう、煮るなり焼くなり夜の奴隷なり好きにしてください」


 とりあえず交渉はまとまった。

設定解説


・三人組だと聞きましたが、後一人はいずこ?


ヘイゴー連合最強部隊・カマセイル隊は三人組。

いずれも神獣の獣人であり、普通の魔力では説明できない超越的な神通力いわゆるチートをもっていた。

魔王軍との戦いが終了した後に解散。今は各人が個別に活動している。

だが解散宣言をおおっぴらに出してあちこちに伝えたわけではないので、解散した事はこの時点ではまだ広くは知られてない。

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