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12 欲しがった想いがそこにあるなら‥‥の巻 3

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。

ストライク:森で見つけたカメレオン。

ソフィア:共に召喚された吉良の同級生。日米ハーフの少女。

サンタナ王:ハイマウンテン王国の王。

ノムアラ王:コリーン国、クマ獣人。最初にハイマウン国へ侵攻するも、キラーに敗れる。

タイコウサン王:ニスケー国、サル獣人。開戦の隙をついてコリーンを占領するも、ハイマウンテンにも手を出してキラーに敗れる。

セファラス女王:カパード国、ハダカデバネズミ獣人。魔王軍残党と手を組むもキラーに敗れる。

エウリュア女王:アーマルベン国、ベニクラゲ獣人。魔王軍残党に占領されるもキラーに助けられる。

マックス王:ウェスパレス国、トラ獣人。ハイマウンテンに挑戦するもキラーに敗れる。

インディブル王:シソウ国、カエル獣人。魔王軍残党と手を組み連合を二分する勢力となるもキラーに敗れる。

——数日後、ハイマウンテン城——



 その日、謁見の間に各国の王達が集まった。

 新帝王誕生を祝う会に、連合の全国王が出席したのである。

 いくつもテーブルが並べられ、料理が並べられ、既にパーティの様相だ。


「即位おめでとう、サンタナ帝王。今後に期待させてもらう」

 ウェスパレス国の虎王マックスに言われ、サンタナ王は困り顔で微笑んだ。

「歴代でも最弱の帝王でしょうけどね」

「そういう事を言ってしまうのは問題だな。ケイトとナーラーの二大国がほぼゼロからの復興におおわらわな今、一早く立て直せるヘイゴー連合は確実に優位だというのに」

 ニスケー国の猿王タイコウサンが、魔王軍のせいで壊滅したかつての大国の名を出す。



※以前はこの大陸に三大国と呼ばれる国々があった。

 ヘイゴー連合もその一つで、それと並び立つのがケイト国・ナーラー国だった。

 だがその二つは王家の大半が命を落し、領土も維持できずに事実上分解の憂き目にあっているのだ。



「我らヘイゴー連合が世界最優秀先進国家だ! 落ちぶれた二大国など属国にして土下座させてやろう!」

 威勢よくコリーン国の熊王ノムアラが吠えた。

 一方、カッサン国の恐竜王レックスが口を挟む。

「しかしあの二大国に従属していた国や地域が次々とスイデン国に服従していますな。既に今のヘイゴー連合を超える勢力に成長しておりますよ」



※スイデン国は三大国に比べれば小さな中堅国家だったが、魔王を倒した勇者達はその国を拠点にしていた。

 そのため周辺各国——元ケイトやナーラー領も含む——が次々とその傘下に入り、前帝王が討たれて頭を失っていたヘイゴーをも凌ぐ一大勢力になっているのだ。



 しかしアーマルベン国の女王エウリュアは楽しそうに笑った。

「ははっ、今後はそこと睨みあっていくのかねぇ。相手にとって不足なしだよ」

 その後ろでカパード国のセファラス女王はじっと考えている。

(勇者どもはやっぱりイケメンなのかのう。結構大所帯のパーティだというが、どうにも詳細のわからん奴が多いのじゃが)



※勇者達も大半が召喚された聖勇士(パラディン)であり、しかも魔王打倒後に多くが旅だってしまった。

 残った二人——今では夫婦となった、令嬢騎士と霊能力者(サイオニック)——はすっかり有名人だが、他のメンバーに関しては意外なほど情報が少ないのだ。



 だがそこでシソウ国の蛙王インディブルが陽気な声をあげる。

「我ら連合が一丸となればヒケは取りますまい。新帝王の誕生を祝いましょう!」

 各国の王達が盃をあげて乾杯した。既にかつての敵味方は無い。皆がヘイゴー連合の王達なのだ。

 帝王が代替わりする度に何らかの形で争いはするものの、誰かが即位すればそこで纏まる。この帰属意識がヘイゴー連合を大国にのし上げた最大の要因だった。


 まぁ奇麗事で済む奴ばかりでもない。

 蛙王インディブルを、熊王ノムアラが横目で密かに睨む。

(チッ‥‥先日まで敵対していた不敬国が。ハイマウンテン国に最初についたナンバー2の我らコリーンがある以上、大きいツラはさせんぞ)

 そして蛙王インディブルも、熊王ノムアラを横目で密かに睨んでいた。

(チッ‥‥最初に負けてヘイコラしていた事大主義の雑魚国が。最大対抗勢力として最後まで戦ったシソウ国がナンバー2だ。大きいツラはさせんぞ)


 つまる所、獣人といえどこの世界の”人”なのであった。



——ハイマウンテン城、廊下——



 城内のあちこちが宴会場になっている。部屋の一つはキラーの同級生達が使わせてもらい、城内で働く者も街に出た者も、今日は一緒になって騒いでいた。

 ソフィアは空の皿を積んだ配膳カートを押して部屋から出る。向かうはもちろん厨房、次の料理を取りに向かう——のだが。

 彼女の横に誰かが追いついてきた。

「キラー?」

 そう、宴会の主役でありながら一人黙って飲んでいたキラーだ。彼はカートを掴み、ソフィアの代わりに押し始めた。

「手伝おう」

「あ、うん‥‥ありがとう」

 礼を言うソフィアを、キラーは横目で見つめて切りだした。

「どういたしまして。話がしたかったから、そのついでだ」


 キラーが話したい事とは——

【登場キャラ解説】

元地球人の魔術師 三河(みかわ)大樹(たいき)

 主人公達を異世界インタセクシルに召喚した張本人。

 最近滅んだ最新の魔王軍でマスターヴォイドと名乗っていた魔術師であり、魔王軍残党を率いて真魔怪大隊を結成。ヘイゴー連合を手中に収めるべく暗躍する。


 その正体は地球から召喚された当時17歳の少年。

 強力な聖勇士(パラディン)であった彼は、その異界流(ケイオス)で増幅された力でこの世界の魔術に習熟し、魔王軍の幹部となる。

 だが魔王軍には他にも常軌を逸した力の持ち主達がおり、彼の力は10点満点中7点というところ。諦めるには強いが頂点を望むには弱いレベルで悶々としながら過ごしていたが、魔王・暗黒大僧正がかつて神の聖域を滅ぼした事を知り、その跡地へ向かう。

 神々の躯から命がけで神力の残滓を吸収し、あらゆる物を超越した力を得た。


 ‥‥と確信して帰還してみれば、勇者達の奮闘により魔王軍は既に壊滅。

 涙の日々を送りつつ自分が造った最愛の人造人間メイドに慰められているうちに「このままじゃヒモになる」と察して一念発起、魔王軍残党をまとめて最後の勝負を決意した。

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