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11 明日なき総力戦の巻 9

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。

ストライク:森で見つけたカメレオン。

スターゲイザー:主人公達を地球から集団転移させた魔術師。

アリン:コリーン国の女騎士。クマ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。

 二人のスターゲイザーの、二機のSハンドレッドアイ。

 それに対峙するのはただ一機、キラーのヒエイマル。

 この状況で、先に動いたのはスターゲイザー達だった。


 ハンドレッドアイがハンドレッドアイに杖を突き刺した!

 黒と白のストライプに彩られた光が二機を覆う。

 その光が膨れ、歪み――そして消えた。

 ハンドレッドアイは分離し、変形し、ハンドレッドアイに鎧のように纏わりついている。

 二機のハンドレッドアイによる合体!

 その全身の、目玉のような結晶が妖しく輝いていた。


『お前の合体相手は‥‥あの戦艦か? 互いに手を出し惜しみする状況でもあるまい。さっさとやれ』

 シンディが乗せられている事を知りながらも促すスターゲイザー。

 それは彼の、絶対の自信の表れでもある‥‥今の己なら必ずや女を救い出せるという自信の。

 それに対するキラーの答えは——

「確かに、このままでは勝ち目は無い。遠慮なくやらせてもらおう。俺の用意した切り札を」

 アイテムを一つ取り出す。

「しかし奇遇だな。奥の手まで同じとは」


 キラーの出したアイテムは‥‥金竜グゴルダーから貰って来た、ファンデーションケース!


 それを開くと鏡にキラーが映る。キラキラと虹色の光が溢れ、帯となった。

 ハッチを開けて立ち上がるキラー。虹の帯を腰に巻くと、カラテの構えをとった。

「変身‥‥!」

 そして外へ跳躍!


 バックルとなったファンデーションケースから虹色の光が広がり、キラーを包むと、その体が急速に拡大した。

 虹が消えた時、そこに現れたのは――身長18m、ケイオス・ウォリアーと同じサイズの金属のニンジャ!

 紫のヒエイマルに対し、こちらは黒が主体。だがデザインは瓜二つ。


『己が自ら変身、だと!?』

「俺の故郷の地球では‥‥巨大ロボットアニメは、巨大変身ヒーローの流れから生まれたのだ。お前の故郷では違うのかな?」

 驚愕するスターゲイザーに巨大ロボ生命体ニンジャ・キラーがそう言うと、その体がマフラーを風になびかせて跳んだ。

 そして宙で、五体がバラバラに分裂する!

 ニンジャ型機だったパーツは稼働し、形を変え、ヒエイマルを取り囲むと、不可視の力で引き寄せられるようにぶつかった。

 肩へ腕へ、踵へ靴底へ、胸部へ背中へ、そして頭へ――ヒエイマルの五体にパーツが装着され、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


『お前がパーツになるのか?』

「今の俺ならばできる」

 驚くスターゲイザーにキラーの声でそう言うと、合体ヒエイマルは合体ハンドレッドアイへと風のように走る。

(悠長に考えている暇もない!)

 不可解に思えたが、スターゲイザーはこの形態でのみ使いうる、己の最大にして究極の破壊呪文を唱えた。


 合体ハンドレッドアイの全身の結晶が激しく光る。それら全てが魔力の光球を生み出し、その手に握る杖の先端に集結した。それは時空の門となるが、その向こうから溢れ出すのは終焉の激しい光。

『ビッグクランチーーーーー!』


 これは空間に関与する時空魔法であり、範囲内を一時的に全く別の空間と置き換える。

 その置き換える先は――別の時空の、寿命を終えて崩壊する宇宙。加速膨張が終わり収束する宇宙の、ビッグバンと同じ高密度状態に戻る寸前の空間である。宇宙の総エネルギーと同等以上の耐久力が無い物は、()になる直前の宇宙空間に呑まれて粉砕される!


 宇宙崩壊の破壊呪文は駆け寄る合体ヒエイマルを吞み込んだ。

 効果範囲が収縮崩壊する宇宙に置き換えられるのは、実際には一瞬。すぐにそこは元の空間に戻る。

 だがそこには何も存在しない。球状の範囲内の物は奇麗に消滅し、それでいて範囲の外には1ミクロンたりとも影響を及ぼさない。

 まさに絶対の消滅を顕現する魔術——!



 そしてスターゲイザーは‥‥驚愕に仮面の下の目を見開く!

 全てが消滅する範囲から、ヒエイマルは全く速度を落とさず飛び出し、駆け抜けていたのだ。

 合体ハンドレッドアイの頭上に跳ぶ、()()()()()()()()()()ヒエイマル。

「邪道凄嵐従地拳(せいらんじゅうじけん)(けん・けん・けん)‥‥!」

 キラーのセルフエコーとともに必殺の正拳が合体ハンドレッドアイを打った。大地が砕けて口を開き、その奈落へ拳から放たれた竜巻が敵を押し込む!


 絶叫とともにハンドレッドアイが地の底へ消えた。

 一瞬、間が開き——爆発四散!


 だが本体のスターゲイザーが乗るハンドレッドアイは、穴の側の地面を転がっていた。

 間一髪、打たれた瞬間に分離する事で、奈落に落ちたのは分身スターゲイザーの乗機だけで済んだのだ。

 そして彼は気づく。

『そうか‥‥お前も同じか。撃破される瞬間に分離する事で、犠牲になったのはガワだけ‥‥内の機体は生き延びたのだな』


 合体ヒエイマルは、撃破されるとガワが外れるタイプの機体だったのだ。これは今までの戦いでわかっていた事である。

 そしてハンドレッドアイの合体もまた同じ形式だったのだ。


 だがスターゲイザーには疑問があった。

『しかしなぜ、メカ生命体となって鎧状に装着されていたお前は無事なのだ? なぜヒエイマルの中にいる!』


「合体ヒエイマルが元のヒエイマルに戻る‥‥その操縦者は俺だから俺は操縦席に戻る。消滅したのはメカ生命体キラーであり、操縦者の忍者キラーはデータ上別キャラなので別カウント。完全に道理だ」

 体色を黄色く変えるストライクを肩に、断言するキラー。

 しかしスターゲイザーには納得がいかない。

『どっちもお前だろ! そんな理屈があるか!』

「お前に無かろうと俺には有る。否定しようと俺はここにいる。そして俺はお前を倒す! この拳で!」

 キラーは跳んだ。地獄のようなカラテがスターゲイザーを襲う!

 スターゲイザーは必死に呪文を唱えた。恐るべき魔術がキラーを撃つ。


 高角度からの飛び蹴りがハンドレッドアイの頭部を打った!

 敵を吸い付ける重力球がヒエイマルを撃った!

 互いに吹き飛ぶ両機。

 損傷したハンドレッドアイが膝をつく。

 損傷したヒエイマルが膝をつく‥‥が、損壊した装甲が見る間に修復されてゆき、雄々しく立ち上がった!



 かつてアリンがシンディにアイテム変換してもらい、作成した強化チップ。運動性と装甲を強化し、HPが減少すると一度だけ回復効果を発揮する装備品。

 アリンが「こんな後ろ向きなアイテム要らん」と言った物を、キラーはヒエイマルに装備していたのである——!


「えっ! 聞いてないぞ?」

 アリンが敵機に馬乗りになったまま驚いた。

『奥の手を、一体どれだけ用意しているんだ‥‥』

 スターゲイザーも機体を立ちあがらせながら呻く。

「無論、勝つのに必要なだけ」

 スターゲイザーにはそう答えながら、キラーはヒエイマルを走らせた。


 ハンドレッドアイはもう一度、重力球を生み出す。それを駆けよるヒエイマルへと放った。

 にわかに暗雲が立ちこめ、稲妻が落ちる。ヒエイマルはそれを右拳で受け止めた。


「邪道黄金雷昂拳(おうごんらいこうけん)(けん・けん・けん)‥‥!」

 雷鳴の中にセルフエコーが響き、稲妻の正拳(ライトニングボルト)が重力球を、それを放ったハンドレッドアイを貫く!


 DOGOOOOON!


 仰け反りながらハンドレッドアイが天高く吹き飛んだ‥‥!

設定解説


・撃破される瞬間に分離する事で、犠牲になったのはガワだけ‥‥内の機体は生き延びたのだな


倒されると変身し、HP満タンで戦闘を仕切り直す敵キャラは昔からRPGに多い。

こういう奴らは高度1万メートルの高さから落ちて地面に叩きつけられ粉々になっても、砕けて吹っ飛ぶ変身前の欠片を尻目に「ふう、変身を残していなかったら危なかった」と言いながら無傷の変身後形態が立ち上がったりするのだろうか。


餓死からでも腹いっぱいで変身するのか?

酸で溶かされたら?

異次元追放技くらったらガワだけ吸い込まれていくのか?

絞め技で窒息したらガワを残してすり抜けてリングの中央に戻るのか?


ガキの頃に考えこんで30分ぐらい眠れなかった思い出。

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