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11 明日なき総力戦の巻 5

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。

ストライク:森で見つけたカメレオン。

サイシュウ:ダンジョンで出会い、仲間になった異世界の上級冒険者。

ソフィア:共に召喚された吉良の同級生。日米ハーフの少女。

ティア姫:吉良が身を寄せるハイマウンテン王国の姫君。

スターゲイザー:主人公達を地球から集団転移させた魔術師。

アリン:コリーン国の女騎士。クマ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。

マンドリオ:ニスケー国の将軍。ゴリラ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。

キャシャロット:カパード国でキラーに買われた元メイドの奴隷少女。マッコウクジラ獣人。

セファラス女王:カパード国の女王。ハダカデバネズミ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。

スフィル王子:アーマルベン国の王子。キラー達に加勢した縁で仲間に加わる。

シャンマウ:ウェスパレス国の女グラップラー。ネコ獣人。

シンディ:旅の途中で拾った、人造人間種族のメイド少女。

(多方面を迎撃できるのは当然か。時間軸に囚われてないんだから、三回分書きました‥‥で三機とも叩き落とせるわな)

 能力の発動前に先制の同時攻撃を仕掛けた筈の三人が返り討ちにあった‥‥その事実を前に、サイシュウは敵首領・スターゲイザーの力に、改めて舌を巻く。

(やっぱ本体だけある。分身とは段違いだぜ)



『おおぉオ! とどめをさせぇえぇ!』

 敵聖勇士(パラディン)修三(しゅうぞう)が叫び、彼の召喚した美少女キャラ達がさらなる攻撃を加えて来る。

 いつのまにか三体目のSSR・汁娘のウチマメジル子が木槌と豆袋を振り回して襲い掛かって来た。


 一気に劣勢へ追いやられるハイマウンテン勢。

 それを見て、戦艦Cバエナガメランのクルーが何人か、焦りながら振り返った。ブリッジの隅に黙ったまま座るシンディへと‥‥。

 彼らが何を考えたのか。この劣勢で、彼女を盾にしたいと思うのは仕方がない事ではあるだろう。


 実際には彼らがシンディを人質にとるような事はしなかったが、Sハンドレッドアイが杖を振り上げる。

 途端にガメランの後ろに炎の壁が出現した!

『逃がさんぞ。先に言っておくが、シンディを傷つけた者は不死者(アンデッド)として造り替え、死んで終わる事もできない拷問を味合わせてやる。全身をくり抜かれても死ぬ事ができない目にな‥‥』

 その言葉に呑まれ、震えあがる、ガメランのクルー‥‥。



 戦場は完全にスターゲイザーが掌握したかに見えた。

 だがしかし。

 召喚美少女キャラの間を縫って走り、敵首領に向かう影が一つ‥‥!

「キラーさん!」

 ティア姫がなぜ名を呼んだのか。心配か、期待か、激励か。

 だが何にせよキラーはそれを振りきり、邪魔な召喚キャラを必殺のカラテで蹴散らしながら、無人の野を行くがごとくスターゲイザーへヒエイマルを走らせた。


 無論、スターゲイザーが動じるわけもない。

 ハンドレッドアイの手にエネルギーが集まる。

『お前と決着をつける時が来たようだな』

 そして魔力弾を放とうした――が。

 ヒエイマルがさらに踏み込み、視認する事さえ難しい速度で一気に間合いを詰める。

 明らかにヒエイマルが先に一撃を加えるタイミング、だが‥‥スターゲイザーの声は弱者を見下す者のそれだった。

『いくら加速しようと、スピードで私の【禁断の魔筆(アストラルフォージ)】は超えられん』

 ハンドレッドアイが杖先で宙に文字を書く。

 神々の亡骸から生まれた超常の能力が、時間も空間も超えて発動した――!



 天も地も無い、ただどこまでも白い視界。

 どこかの空間というわけでもない――スターゲイザーが己の反則能力(チートスキル)を使った時に見る、力の発動の認識である。

 そこにはヒエイマルの姿もあった。【禁断の魔筆(アストラルフォージ)】の対象となるべき者の姿は、時間も距離も無関係にここへ映されるのだ。

 そのヒエイマルへ、スターゲイザーの持つ神の力が降り注ぐ。流星のような光条がヒエイマルの頭を穿った。

 いつも通りの光景‥‥この力を防げる者など存在しないのだ。


 だがしかし。


 この時だけは何かがおかしかった。

 【禁断の魔筆(アストラルフォージ)】の力は確かに敵を捉えた、筈だったのだが――

『‥‥違う! あれは、僕だと?』

 力が炸裂したそれは、ハンドレッドアイの姿だった!


 驚愕するスターゲイザーの耳に、囁くようなキラーの声が届く。

「邪道逆順反転(ぎゃくじゅんはんてん)(てん・てん・てん)‥‥」

 その声を聞いた時、スターゲイザーは気付いた。

 確かにヒエイマルはこの世界に映っている。スターゲイザーが立っていた筈の位置に。

 そしてスターゲイザーが立っているのは、ヒエイマルが映っていた筈の位置だった。


 衝撃!

 ハンドレッドアイの頭部が、飛来した金属バットに打ちのめされる。

『バカな!? 僕の反則能力(チートスキル)を反射した? 時間も空間も超越した能力を!』

 信じられないスターゲイザー。

 だがキラーは冷たく言い放つ。

「己が超越しておいて、他人が超越した事に文句を言うとは片腹痛い」

 時間と空間を超越する権利は、スターゲイザーに発行権があるわけではないのだ。


 まぁ有ってもキラーは従わないだろうが。


 もちろん、スターゲイザーは納得できなかった。

『どうやってお前が時間と空間を超えたというんだ! なぜ反射などできる?』

「反射ではない。完璧なタイミングと高速の体術により技のかけ手と受け手を入れ替える忍術で、俺とお前が入れ替わったのだ」

 割と親切にキラーは答えた。

 だが()()と訊いたのはそこではないのだ。スターゲイザーは絶叫する。

『体術? 忍術? 僕の反則能力(チートスキル)を、そんな事で返しただと!?』

()()()()でできないと思うのはお前の勝手。やるのは俺の勝手だ」


 スキルと言えば理屈無視で何でもできると思っている奴が、他人(ひと)のする事にだけ理屈を求める――そんなムシのいい話はキラーに通用しない。しないのだ!


『僕の反則能力(チートスキル)は! 神々から、その命の残滓から造り出したんだぞ!? 神の力を持たないお前が、同じレベルの事をできる筈が‥‥』

 やっぱり納得いかないスターゲイザー。

 しかし彼には見えた。


 エヒイマルの操縦席にいるキラーが。

 その肩には一匹のカメレオン‥‥ストライク。

 体色を目まぐるしく変えるそいつが何なのか。スターゲイザーには直感的にわかった。


『神、の‥‥』


 それはスターゲイザーが同質の力を取り込んだが故だったのだろう。

 聖域で息絶えていた神の一柱に【隠れ身の神】もおり、ストライクはその神の欠片なのだ。


「どうした。隙だらけだぞ」

 キラーのその言葉で我に帰った時。

 ハンドレッドアイの頭部は、跳躍したヒエイマルの両足で挟み込まれていた。

竜虎(ドラゴンタイガー)噛み付き投げ(げ・げ・げ)‥‥!」

 自らエコーをかけつつ機体を横に高速回転させるキラー。

 ヘッドシザーズ・ホイップの一種に分類されるのであろうその投げ技で、ハンドレッドアイは宙で振り回され、受け身をとる事もできずに大地へ叩きつけられた‥‥!

設定解説


・完璧なタイミングと高速の体術により技のかけ手と受け手を入れ替える忍術で、俺とお前が入れ替わったのだ


「スピード入ってるじゃねぇか! 相手の技は速度無効のはずだろ!」と思われるかもしれない。

だがこれは問題に値しない。


・速度だけでやっているわけではない。

・速度無効を無力化する速度だったのだ。

・信じたくない気持ちはわかるが作中の真実を直視すべきだぜ。


以上複数の観点から完全論破。

ニンジャの世界では常識など一切通用しない——常識は通用しないのだ!

以後反論ひ不要です。

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