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9 雄飛の決意の巻 6

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。

ストライク:森で見つけたカメレオン。

サイシュウ:ダンジョンで出会い、仲間になった異世界の上級冒険者。

ソフィア:共に召喚された吉良の同級生。日米ハーフの少女。

ティア姫:吉良が身を寄せるハイマウンテン王国の姫君。

スターゲイザー:主人公達を地球から集団転移させた魔術師。

アリン:コリーン国の女騎士。クマ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。

マンドリオ:ニスケー国の将軍。ゴリラ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。

キャシャロット:カパード国でキラーに買われた元メイドの奴隷少女。マッコウクジラ獣人。

セファラス女王:カパード国の女王。ハダカデバネズミ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。

スフィル王子:アーマルベン国の王子。キラー達に加勢した縁で仲間に加わる。

シャンマウ:ウェスパレス国の女グラップラー。ネコ獣人。

シンディ:旅の途中で拾った、人造人間種族のメイド少女。

「そうか。ソフィア、よろしく」

「よろしくね、キラー!」

 高速の空中戦を演じながらキラーと言葉を交わすソフィア。

『おいおい、なんか仲良いいじゃないか! 俺よりもそのコスプレ男の方がいいのか? ありえないだろ!』

 敵聖勇士(パラディン)球十(きゅうと)が抗議の声をあげる。

 だがソフィアは操縦席で首を傾げた。

「え? 私、そんな事言われるほど球十(きゅうと)君と仲良かったっけ?」


 果たして、相手の言い分は——

『俺がチアリーダーをお勧めした時は断ったくせに!』

 ソフィアは思い出すのに少しの時間を要した。

「‥‥あったかしらね、そういう事も。なんで顔知ってるだけの男子からそんな事を勧められるのか、ちっともわからなかったけど」


「チアガールにパツキンハーフな子もいたら嬉しい、とかじゃねーの」

 サイシュウが横から口を挟む。

 すると球十(きゅうと)は、なんと笑顔で親指を立てた。

『他の学校に羨ましがられるしな!』

「何その理由!?」

 当然、ソフィアとしては驚くしかない。そんな理由を堂々と肯定する事も含めて。

 だが球十(きゅうと)には悪びれる様子など全く無いのだ。

『自分の活躍をより華やかにしたいのは当たり前だろ。活躍と縁の無いクソダサ陰キャとは違うんだからさ』


 そしてモニター越しにサイシュウへ視線を映し、ニヤニヤと笑う。

 わざとらしく「な?」と確認まで投げかけて、だ。



 サイシュウが空亡の獣人に転生する前、地球ではぼっちのオタク少年だった事は、わざわざ言いふらしたりしていないので知る者は少ない。

 だが完全極秘の情報というわけでもないので、全く知られていないわけでもないのだ。



 そしてサイシュウはギリギリと奥歯を噛んだ。

「よく言った。テメーの頭上に死兆星光ったぞ」


『へえ? よくわかんないけど、それでこれは防げんの?』

 そう言って球十(きゅうと)は乗機Sリーガーバードに球を握らせ、大きく振りかぶる。

『スカイラブ大魔球!』

 叫んで投げたボールが戦場を貫き、サイシュウのSサンライザーを直撃した!


 ‥‥と見えて、やはり光のカーテンに阻まれる。

 サイシュウのスキルで作り出したバリアは健在だ。


 ‥‥と見えて。

 球は消滅せず、落ちもせず、バリアの表面で衝撃波と高熱を纏った!

 さながら大気圏で燃える帰還ロケットのごとく。

 バリアと一瞬、拮抗はしていたが、激しい火花とともに光のカーテンを球が突き破る!

 そして今度こそ、魔球はサンライザーを直撃した。


 球の爆発とともに吹っ飛ぶサンライザー。

「そんな!? サイシュウさんが!」

 スフィル王子が驚愕し、その遥か遠くで球十(きゅうと)が笑う。

『ははっ、俺、強すぎ?』


 だがサンライザーは、煙を上げながらもゆっくりと立ち上がる。

 重装甲・大出力のパワー型機体だ。そう易々とやられはしない。

 とはいえ装甲に走った亀裂を見れば、ダメージが小さくない事もまた確かだ。


 そんなサンライザーを見て球十(きゅうと)は呆れた。

『はいはい、横からしゃしゃり出たから相手してやったけど、もう退場してくれよな‥‥スーパーシュート打法!』

 球を軽く浮かせると、自らバットで叩きノックの要領でサンライザーへと打ち込む!


 恐るべき攻撃に狙われながら、しかし、サイシュウは操縦席で不敵に笑った。

「‥‥ふん。さっきのはデッドボールだ、塁に走ってもいいんだろ?」

 そしてサンライザーは刀を構えて走った!


 リーガーバードの放った打球はサンライザーに正面から命中!

 だがバリアが球を遮る。

 しかし今度の球もバリアを突き破り、敵を捉えた。

(はい勝った)

 敵を見下し球十(きゅうと)は笑みを浮かべる。

 が、その顔は一瞬で驚きに歪んだ。

 サンライザーは被弾しながらも真っすぐ突っ込んで来る!


『な!? バリアは破ったのに!』

 叫ぶ球十(きゅうと)は気づいていなかった。

 確かにバリアは破れたが、それはサイシュウにとっても予想内。

 だから光のカーテンの角度を斜めに調節し、球のコースを誘導するよう仕向けていたのである。

 球の威力は決して低くは無かったが、機体の真芯を捉える事はできず、脇腹のあたりを抉るに留まった。

「無傷で勝てる相手なら無傷で勝つが、それは無傷で勝てる相手にしか勝てないって事じゃねぇぞ」

 サイシュウの叫びとともに繰り出されたのは、貫手。

「ディスインテグレートフィンガー!」

 原子分解の光を帯びて、その手がリーガーバードを貫く!


『う、わ、あぁ!』

 操縦席で悲鳴をあげる球十(きゅうと)

 装甲が、内部機構が、光の粒子となって傷口から吹き出した。

『あ、あ‥‥!』

 絶望に呻く敵へ、サイシュウが無慈悲に声をかける。

「散る時も華やかに逝ってみろや」


 爆発!

 リーガーバードが吹き飛んだ。

 その炎と爆風をバリアで防ぐサンライザー。

 その操縦席でサイシュウが「はん!」と嘲りの声をあげた。


反則能力(チートスキル)を使うまでもなかったぜ」


【消去自在】の能力を使わず敵を倒したサイシュウ。

 それはこのセリフを敵へ吐くためだ。

 許しがたい敵を前に、サイシュウの命と意地をかけた渾身のナメプが決まった。

設定解説


・地球ではぼっちのオタク少年だった事は、わざわざ言いふらしたりしていないので知る者は少ない。


地球で恨みのある連中を転生後にブチのめして回った事は隠す事も無く喋っていたので、それでだいたい察する者もいた。

自分がバラしてんじゃねーか、と思うかもしれないが、本人にしてみれば話題の中心はそこではないのでノーカンなのだ。

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