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真っ白な空間。
ここはどこだろう。知らない場所の筈なのに、何故か心が落ち着く、心地良い空間。
「…ズ、………!……だよ!」
誰だろう?誰かを呼んでいる。知っている声だ。でも、思い出せない。
「カズ!」
俺を呼んでいるのか?誰が?ちょっと待て、今起きるから…
「…!私だよ!……だよ!ねぇ、……よ!……してよ!」
この声は……
「……‼︎」
リナ、か?
「……!」
不意に重力を感じなくなる。
宙に浮くような感覚。
何もわからない。
けれど、本能的に俺は死ぬんだ、と理解できた。
リナ…すまんな…お前には悪いことをした…
こんなただの人間と仲良くしてくれてありがとな…
…満足だ
…こうして俺の人生は幕を閉じた。
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「気がつきましたか?」
声が聞こえる。優しい声だ。
「あなたは今、魂だけの状態です。時間がないので、手短に説明させていただきます。」
お前は…誰だ?
「私は転生神ルクアです。あなたはどうやら違う世界で死んで、魂だけでこの世界に偶然迷い混んでしまったようです。」
そうか…違う世界か…
「あなたはどこの世界の人ですか?覚えている範囲でいいので出身地を教えてください。」
日本だ…地球の…
「日本?地球?ああ、何回か過去にもやってきた人がいましたね。少し待っててください。」
少しして、機械音声が聞こえてきた。
「転移元/३७-६७३-९०३५- 第2568…539…62549宇宙-ラニアケア-乙女座超銀河団-via lactea-オリオン渦状腕-グールド・ベルト-太陽系-地球-ユーラシア大陸-日本ーーー転移先/७८९५३-६८८-१३५४-第56…98235…748…96254宇宙-तकवलप-कमनवीबकं銀河団-йгвкпрча-тыохьд-வை-कवमन४५系-パンドラ-アフロディテ-ウルフルン王国」
機械音声は喋り続ける。
「転生神ルクアによって新しい肉体が与えられます。ーーー個体名/レオナルド 種族/人族 初期レベル1、初期体力……」
永遠とも思える長い時間、流れ続けた機械音声はついに止む。
「準備が整いました。あなたには転生して貰います。申し訳ありませんが、拒否権はありません。本当はまだ説明し足りないのですが、時間がありません。一つ、訳が分からないかも知れませんが、お願いがあります。もし、次に死ぬ時が来れば、あなたの継承スキルは必ず死ぬ前に誰かに継がせてください。お願いします。では、次の人生が良いものとなりますように」
こうして、朦朧とした意識の中、第二の長い人生が始まった。