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他人行儀になった幼馴染美少女と何故か一緒に住むことになった件  作者: 戦告
第3章「中学と高校は雲泥の差」
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第99話「定期テストの結果」

伏線回収です


 あの時のご褒美を思い出し、翔はニヤつい笑みを抑えきれなかった。


 今回の期末テストで苦手教科は平均点以上で、順位が上位五十人の中に入っていれば翔は桜花にぎゅっとして貰えるのだ。


 桜花も結構高いハードルを設け、翔がギリギリで届くか届かないかという風に見切っていたようだったが、今回の翔のテストに対する意気込みは半端ではなかった。


 ご褒美が設定されてから翔はひたすらに苦手科目をやり、苦手を潰していった。


 元々、障害物競走のあとに告白することは決めていたので、それと勉強に関しての揺らぎはなかった。


 了承して貰えたならば、抱き締めてもらいたいし、無理だったなら、それでも桜花とは一緒に住む家族なので、全力でやりきり目標を達成した後に、ご褒美を辞退する気でいた。


 苦手教科は無事、平均点を超えていた。しかも、大幅に大差をつけて。


 その時の喜びようといったらなかった。

 自分で諦めていた教科が輝いた点数で返却されるといつもよりも嬉しく感じる。


「点数がいいと気持ちがいいもんだな」


 心の中に留めきれず、ぽろりと口に漏れてしまう。しかし、それでも桜花の点数にはまだ一歩も二歩も届かない。


 一教科で勝負するならば、翔は桜花に勝てる自信がある。しかし、全教科満遍なく高得点を獲得する、というのは言うだけは簡単だが、実行は殆どの人が不可能に近い。


 それが出来てしまう人もいる。それが翔の可愛い彼女でもあるということに周りの人は驚きを隠せないに違いない。


「点数はどうでしたか?」


 翔が自分のテストを眺めてニヤついていると、桜花がエプロンを解きながらリビングへとやってきた。


「お疲れ様。ありがとう」

「お互い様ですから」


 料理担当はいつの間にか桜花になっていた。それは翔が怠けて仕方なしに桜花が受け持った、という訳ではなく、彼女になった際に「料理は私がします」と言い切られたからだった。


 翔は初めこそ渋っていたのだが、意固地の桜花には耐えられず、渋々了承した。


 普段の桜花では考えられない押しの強さに、翔はどういう意図があるのだろうか、と頭を捻ってみたが、特にこれといって思い浮かぶものはなかった。永遠の謎である。


「今回は頑張ったぞ」

「見せてください」

「ん」


 翔は堂々と桜花にテストを渡した。

 まるで、母親にテストを見せているようにも見えるそれは、ある意味で翔が子供らしく見えた。


「平均点を超えていますね!おめでとうございます」

「桜花のおかげで頑張れたよ」

「私はほとんど何もしていませんよ。翔くんの努力のおかげです」


 胸を張る翔に褒める桜花。母と子供の影が見え隠れしているような気がした。


 翔からご褒美を強請るのはそれこそ本当に子供になってしまいそうなので、じっと待つことにした。


 桜花はしげしげと翔のテストを眺めており、ふむふむ、と頷いていた。きっと、間違っている箇所を脳内でピックアップして、次のテストまでに苦手として克服させる気なのだろう。


 家庭教師よりも万能な彼女を持った翔はとても幸運だろう。

 それを言うなら、幼馴染だったというところから幸運に恵まれていたのかもしれないが。


「翔くん」

「何でしょう」

「立ってください」


 言われるがままに立った。

 これから何が始まるのだろう。もしや、もう克服させるためのプランが始まってしまったというのか。


 確かに桜花はテスト後の気が抜ける時すらも勉強をさせるが今回ばかりは点数もいいし、そこまで早くすることはないだろう。と、翔は心の中で叫ぶ。


 すると、桜花が真っ直ぐ翔の方へ向かってくる。何をする訳でもなくただ漠然と立ち竦んでいると、桜花が前から抱き締めてきた。


「……ご褒美ですから」


 恥ずかしそうに言う桜花に翔はそっと苦笑したあと、抱き締め返した。


 あぅ、と小さな声が桜花から漏れたが、その後は翔が抱き締め返してくるのを確かめるように先程よりも強く桜花は翔に抱きつく。


「かわいいな」


 翔はそっと囁き、右手で桜花の頭を撫でた。


 翔の囁きに返ってくる言葉はなかったものの、桜花は声にならない声を発していたので、どうやらクリティカルヒットをしてしまったらしい。


 ますます可愛いと思いつつも、これ以上言うとよろしくなさそうだったので、畳み掛けることはしなかった。


「み、耳元で……囁かないでください」

「もしかして弱いのか?」

「知りません」


 どうやら桜花も耳が弱いらしい。前の耳掻きの時に上手く流されてしまっただけに、弱点を知れて嬉しいという思いが強かった。


「もうおしまいです」

「ごめんもうちょっとだけ」

「もぅ」


 そう言いながらも桜花は翔の背中をとんとんと叩き、あやしてくれる。


 翔は最近甘え過ぎだ、と自覚しながらもそれをやめられないどころか、日に日に甘え過ぎていく毎日に、本当にダメ人間になってしまうぞ、と危ぶんだ。だが、危ぶんだところで身体は正直に桜花に甘えてしまうので、翔はどうしようも出来なかった。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 本当に甘えているのは翔くんの方なのでしょうか? [一言] 一つ屋根の下で胃袋まで掴まれているのでしたら、恋人すっ飛ばしてもう事実婚ですよね。
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