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他人行儀になった幼馴染美少女と何故か一緒に住むことになった件  作者: 戦告
第3章「中学と高校は雲泥の差」
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第84話「中間テストの結果」

一気に時系列飛びます


「翔くん」

「はい……」

「この点数は何ですか?」


 桜花が翔の答案用紙を見ながら光の無い目で見つめてくる。


 今日は中間テストの結果が返ってきたのだ。


 あまり芳しくなかった翔の点数は桜花にとっては考えられない程の点数で、誰が見ても静かに怒っていた。


「五教科の合計が三百と少しとは……」

「満点の人に言われると立つ瀬がないな……」

「努力です」


 翔が修斗に啖呵をきったのはかれこれ一週間程前の話になる。それから、テストを受けて、その結果が手元にある訳だが、翔は妙に意識してしまったせいで、テスト勉強の時点から注意力散漫で、案の定、ぼろぼろになった。


 2人でも大丈夫、と言ってしまった手前、ここで「桜花のことを考えて集中出来ませんでした」など、口が裂けても言えるはずがなく。


 翔は黙って、お叱りを受けていた。


「テスト期間の間は何をやっていたのですか」

「……勉強です」

「それでどうしてこの点数になるのですか。平均点に届くか届かないかの教科もあるではないですか」

「古典です……」


 翔の得意分野の数学は満点に近い高得点を叩き出したのだが、古典が足を引っ張りすぎてしまっていた。


「特に文法的意味が酷いです。壊滅しています」

「全部打ち消しでいいだろ……」

「肯定文を無くさないでください」


 翔は今回、一人で勉強をしていた。一人で自室へと篭って、四苦八苦しながらも勉強していたのだが、脳裏を過ぎる桜花と過ごした旅行の思い出が邪魔をしてならない。


 桜花と勉強しようにも、当の本人なため、捗る訳もなかった。勉強双六も開催されることなく、桜花もやりましょう、とは言わなかったのだ。


「翔くんは一人で勉強は出来ないようですね」

「いや……まぁ……」


 違うのだが、結果がそう語っているので、受け入れるしかない。冤罪はこうして生まれるのかもしれない、とどうでもいいことさえ考えてしまう。


「梓さんが帰ってきてしまいますよ」

「そうだなぁ……」


 大丈夫ではなければ帰って来るのは自明の理。翔は他人事のように呟き、ぺしっと答案用紙で叩かれた。


「他人事では無いですよ」

「もう少ししたら耐性が着くから、きっとその頃にはちゃんと」

「何を訳の分からないことを言っているのですか」


 翔の弁明も桜花には通じない。


「翔くんの学力は私が責任を持って戻します」

「それは一体どういう……」

「毎日この時間は私と一緒にお勉強です」

「え」


 堪らず声が漏れる。

 嫌ではなく、むしろありがたいと思えるほどだったのだが、困惑している、というのが正直な感想だった。


 真面目に勉強が果たしてできるのだろうか。数学なら片手間でも出来るが、他の教科もやるに違いない。そうなれば果たして自分は上手く頭に詰め込むことが出来るのだろうか。


「嫌ですか?」

「嫌じゃない。……けど」

「何なのですか、もう。何かあるならはっきり言ってください」


 ぐっと詰め寄ってくる桜花にじりじりと後退してしまう。


 言ってください、と言われても言えるはずがない。恥ずかしくなって顔を背けると、頬を手で挟まれて強引に桜花と向き合わされる。


 それでも今度は視線を外すと、桜花は触れる直前まで近付いて、囁いた。


「翔くん」


 甘い囁きではなく、覚悟を迫る声色だった。翔は観念し、事実を話すことにした。


「父さん達がアメリカに行ってから妙に桜花が気になるんだよ」

「はい?」

「いや、変な意味じゃなくてな?恋的な意味でもなくてだな。今何してるのかな?とか」

「翔くんが勉強している間は私も勉強してますよ」

「まぁそうなんだけど。わかっていても気になる、というか……」


 歯切れが悪くなる翔に照れたようにくすくす笑う桜花が翔の手の上に自分の手を重ねる。


「翔くんは平気でそういうことを言えますよね」

「これは平気じゃないよ。桜花が言えっていうからさ」


 翔が怒られて拗ねている幼稚園児のような言い方で返すと、桜花は宥めるように翔の頭を撫でる。払い除けてしまおうと、思ったが妙に気持ちが良くて好きにさせた。


「にぶちん」

「何だよそれ」

「翔くんは知らなくてもいいです」


 嬉しそう桜花は笑った。翔は「にぶちん」が意味するものを頭の中で探るが、該当するものは出てこなかった。


「一緒にお勉強すれば、私が何をしているか分かりますよ」

「か、からかうなよ」

「事実ですよ」


 確かに、勉強できるかどうかは兎も角として、桜花のことを考えるのは止まるかもしれないな、とふと思った。


「お手柔らかにお願いします」

「翔くん次第ということで」

「そんな……」

「ちゃんと出来ていなければ罰があります」

「きついなぁ」

「頑張ればいいのです」


 桜花は簡単に言うがそうそう簡単に行くものではない。


 罰が一体何なのだろうか、と気になった翔だった。桜花が考える罰はどれも微笑ましいものしか心当たりがない。


 そんなことを思い出していると、顔に笑みが出てしまったのか、桜花に「ちゃんと聞いていますか」と怒られた。


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