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他人行儀になった幼馴染美少女と何故か一緒に住むことになった件  作者: 戦告
第3章「中学と高校は雲泥の差」
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第71話「テーマパークに入場」

まだ旅行は続きます。

ですが、申し訳ありません。

明日の更新はおやすみしますm(*_ _)m


 ミッキーマウスが開催している夢の国。

 各映画の一コマを体感できるユニバーサル劇場。

 その二大巨頭がトップを争っている中、翔達が訪れたのは三番目に位置しているとあるテーマパークだった。


「翔くん?」

「……何でしょう?」


 来てみたらいいのだが、翔の頭の中は流石、思春期男子高校生と言うべきか、桜花のタオル姿でいっぱいだった。そのため、目の前にいる桜花に背徳感が募り、翔は到着するまで極力桜花の方を向かないようにしていた。


 桜花が呼んでも、翔は妙に意識してしまい返すまでに空白の間があり、敬語になってしまっていた。


 もうかれこれ、時間にして2時間ほどその翔の動向は続いていた。

 旅館はもうチェックアウトを済ませていて、戻ることは無い。見送りの際に、いつまでもお幸せに、と言われたのには苦笑するしか無かった。しかし、旅館は大満足だったので、女将さんに忘れられた頃にもう一度訪れたい。


「嫌でしたのなら謝りますから」


 袖をくいっと引っ張られ、否が応でも注意を引かされた。翔は桜花の真っ直ぐな瞳を見て瞬間湯沸かし器のように顔赤らめた。


「嫌ではないよ」

「なら、何なのですか」


 思い返されるのは鮮明に残る桜花の綺麗な肌。今は服を着ているはずなのにまるで透けてしまったかのように脳内に写っている。


 むっと顰め面の桜花に「裸体を思い出して直視できない」などと素直に言えるはずがない。翔は何とか誤魔化そうと頭を回した。


「ちょっと衝撃が強すぎて」


 そして、翔はあろう事か、言い方を誤魔化した。聡明な桜花はその翔の言葉が真に意味することを簡単に察した。


「お、思い返さないでください!!」


 気恥ずかしさからか桜花がぽこぽこと翔を叩いてくる。


「思い返す、というかずっと残ってると言うか」

「残さないでください!!今すぐ記憶から消してください!!」


 珍しく声を荒らげている桜花はすっかり息も上がってしまい肩で息をしていた。


 そこまで恥ずかしかったのならしなければ良かったのに、と翔は思ったが、口には出さなかった。


 翔も、桜花を抱き寄せた時は元気になって欲しいという気持ちしか無かった。だが、今となってみるとあの時の翔は気障な台詞を吐いており、黒歴史であることこの上ない。


 そんな自分と勝手ながらに重ねていた。


「善処するよ」

「それはしない、と言っているようなものです」

「じゃ、じゃあ指切りでもするか?」


 指切りなら言葉よりも多少なりとも説得力があるのではないか、と思って提案したのだが、桜花はきょとん、としたかと思うと、くすくす、と笑い始めた。


「では指切りの内容は「翔くんは私に嘘をつかない」でいいですか?」

「ちょっと範囲広くないですか……?桜花さん」

「私の……を見たのです……から」


 翔の抗議に対して、桜花が何か言っていたが、声量がすっかり萎んでしまっていて何と言ったのか聞き取れなかった。

 だが、身体をもじもじ、赤みがかった顔でちらちらと見られれば、要求を呑むしかなかった。


 その時最近見たアニメの「かぐや様は告らせたい?」の名言である「好きになった方が負け」という言葉に深く納得した。


「わ、分かったからそんな泣きそうな顔をするなって」

「泣きそうな顔はしてません」

「そうね。泣きそうな顔はしてませんね」


 桜花の意固地は誰が何と言おうと何をしようと、例え世界が終わるとしても治る事はないので軽く流し、翔は小指を立てて桜花の方へと突き出した。


「指切りげんまん」

「久しぶりにする気がします」

「僕もだよ」


 桜花はおずおずと自分の小指を翔のそれと絡ませた。翔は桜花によって絡まっていく自分の小指を見る。


 もう少し小さい頃ならば指切りげんまんぐらい、誰でもやっていたはずだが、どうしてだろうか。指切りげんまんには本来あるはずのない鼓動が波打つ感覚も今、確かに感じているのは。


「翔くんは私に嘘はつけません」

「つきません」


 翔は指切りげんまんが終わっても桜花の指を離そうとはしなかった。

 案の定、不思議に思ったらしい桜花が訊ねてくる。


「翔くん?」

「テーマパークに入るし、人混みだし……だから」


 大事な決めなければならないところで言い淀む自分が憎い。

 そんな中でも必死の様子で伝えようとしていると、桜花はふふ、と微笑むと翔の絡ませていた小指からするりと抜いた。


「あぁ」


 翔は言葉にならない言葉を発した。

 しかし、それは一瞬だった。


 抜け落ちてしまった桜花の手は、先程よりも深く密着し、翔が気付いた時には指の全てを絡ませて、桜花と繋がっていた。


 その事がわかった途端に、先程まで感じていた虚無感が嘘のようになくなり、心の中が満たされていくのを感じた。


「離さないでくださいね」

「死んでも離すかよ」

「さ、さぁ行きましょうか」


 翔が自信満々で答えると桜花は少し先行して何かを隠すようにぐいぐいと引っ張った。


 そして、翔達はテーマパークへと入場した。


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