特待生
「あれ!?平瀬?平瀬だよな? 平瀬もこの高校にしたのか!」
俺が落ち込んでることはつゆ知らず山縣がいきなり俺に声をかけてきた。体験練習の1年生は基本自主練。それでグラウンドをぼーっと走っていたもんだから危うくコケるところだった。そしてついでに山縣と走り込むことになった。
「あ、ああ。そうだよ。それよりもなんでここにいるんだよ、山縣様のことだから関東や関西の名門校かどっかに行ったもんだと思ってたわ。なんでこの高校にいるんだ??」
狼狽えながらこの高校に来た理由をきくと、
「うーん、近いからかな」とのこと。
違う、答えにはなってるけどそうじゃねぇ。流石すこし天然なだけある。
「近いなら九州の名門もあるだろ?そこも蹴ってまで、この中堅校にしたのかよ。」
「うん」
サラッとすげーこと言うな…と呟く俺を無視して山縣が続ける。
「この高校からはプロになった人結構いるし、仮にダメでも系列の大学は強いし、いい推薦もらえることだってある。しかも校則も結構緩いし。そして何よりも特待生制度よ!平瀬は何特待だった?」
特待生制度。一般的には勉強面で判断するものだが九玄坂高校ではスポーツでの特待がある。そしてこの学校のウリでもある。スポーツ特待生は上から「S、A、B、C」とランク分けされている。A、B、C、特待は年度ごとに更新され実力が無ければ特待を剥奪されることがあり、逆に実力があれば特待生でなくても進級時に特待生になることだって出来るというなんとも残酷な制度である。しかしこれのお陰で強豪私立に行くよりは経済的負担もあまりかからないのは事実。俺もそこを利用した。
ちなみにS特待だと3年間特待が保証され、
よっぽどしでかさない限り剥奪はない。
話を元に戻そう。
「俺はA特待。本試で結構ミスったのよ」
「マジ? 平瀬なら普通にS特待いけると思ってたわ…」
確かに九州選抜に選ばれるくらいの実力ならこの高校でのS特待はいけるはずだったんだが…。
「まあまあ、特待に関しては俺の実力が
足りんかったってことよ。アンタはよゆーでS特待だろ?」
「うん、でもたまたまよ。結局ここで実力を付けないといけないけど。」
相変わらず彼はすごく謙虚である。
「あ、そういえば明日の放課後すぐ野球部の特待生は集合らしいよ」
「ま、まじで?」唐突な山縣の知らせに驚くと同時にどんな人がいるのだろうと少しワクワクした。
「おう、あそこにいる佐々木君に監督が言ってた。そいつも1年生でS特待だってさ」
「お前だけじゃねぇのか、S特待…。しかし聞いたことねぇな…どんな奴よ」
「えっとね…




