恒例行事
今朝も佐々木は昨日同じホームで電車を待っていた。
ただし、昨日と違うことが2つある。
1つ目は俺がこれから彼と一緒に練習に行くことになったこと。
2つ目は、『紅勲』の1人、「渡邊 兆」がいることだ。
「おっ、君が平瀬くんか。柊から話は聞いたぜ、すげぇボール投げてたろ?? 先輩を空振り三振に打ち取るくらいのをさ。」
と、目を爛々と輝かせて俺にきいてくる。
ちなみに柊とは佐々木の下の名前である。
「まぁな。というか渡邊君は全中ベスト4のキャプテンなんだろ? すげぇよ。しかもめっちゃ打ちそうだし」
実際、彼は俺よりも背は低いが凄い筋肉質
なのは見て取れる。ゴツイからかパワーはありそうだ。
「まぁ、兆は元気と気合いが取り柄でキャプテンになっただけなんだけどね」
と、佐々木が笑いながら言う。
「けど、打つのは打つよ。三振も多いけど」
とフォローも入れたが
「三振が多いのは余計だろ!!」
と、笑顔で渡邊君がツッコミを入れる。ホントに元気がいい。
そんなこんなで3人でワイワイガヤガヤと、練習場に到着。そして早々に着替えを済ませてストレッチから入る。
集合時間になったのでランニングからキャッチボール、ペッパーなどアップなどを難なくこなす。
新入生は軟式出身者が大半だがここ2日間の練習で少し慣れてきたのか、より動きが良くなっている気がする。
ちなみに、上級生は今日が始業式ということで今日は専用グラウンドではなく、校内でウェイトや素振り等を行い、1年生合宿の間は夕方から練習に参加するらしい。
「集合!!」
と奥田監督の掛け声でみんなが集合する。
「明日から合宿だが、変更に伴って内容を言ってなかったな。」
と監督が意味ありげにこちらを見つめる。
「初日は紅白戦を行う。結果次第では次の練習試合、ベンチ入りもあるかもな…。」
紅白戦やんの!?
え、試合とか超楽しみ!!
ベンチ入りの可能性だってあるのか!
と新入生は大盛り上がり。
「まだ話は終わってないぞ?とりあえず聞いてくれ。紅白戦のチーム決めに関しては今の所、推薦入試の結果とここ2日間の練習を見て決めている。が、特に守備位置に関しては本当に守れるかという不安と、コンバートで良くなる選手が出てくるという期待を込めて…」
ゴッホン、と大きく咳払いをした監督は
「午前中は全員に全守備位置のノックを受けてもらう!!!投手も野手も内野も外野も関係ない。全員、全ポジションだ。」
と高らかに鬼ノック宣言をした。
九玄坂高校野球部の恒例行事だという、
地獄の全ポジションノック…開幕…。




