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再会

準備も終わり、白石とブルペンに入ろうとすると、コーチらしき人が

「白石君、君のティー打撃をみたいんだがいいかな?」

と訊ねてきた。


「あの…、今から平瀬君がブルペンで投げる予定で僕が打撃練習に行ったらキャッチャーが…。」

「その心配はないよ、彼がいる。」

そういってコーチが指さす先には佐々木が完全装備でベンチに座っていた。

「平瀬君、申しわけないが佐々木君と投球練習をしててほしい。」


分かりました。と仕方なくコーチに返事をし、俺は佐々木の方に向かった。まさかの再会である。



《 君とは多分合わないと思うよ 》



今朝、彼に言われたことが頭をよぎる。流石に話しかけづらい。緊張で足が止まりそうになる。この位で緊張するとか何やってんだよ、俺は。


「さ、佐々木君、投球練習いける?」

2人の間に少し沈黙が走る。


「もちろん。この格好でキャッチャーしない訳ないでしょ。」

と佐々木は笑いながら立ち上がった。


早く行こ行こと、俺を急かす。彼の表情は朝とはうって変わって本当に穏やかだった。


ブルペンに入って俺達はキャッチボールを始めた。

「そういや山縣の球を初見で捕ったってホントか??」

距離感を意識しつつ正確に佐々木の胸元にボールを投げる。


「まあ、なんとかね。引退してから硬式球を捕る練習をしてて良かったよ。」

そういって佐々木は投げ返す。


「アイツの球すげぇだろ??」


「間違いねぇ。俺がおらんかったら誰もとれてない、あんなボール。」

とおどけた。事実、そうではあるが。


「まぁね、けどそれに比べたら俺のボールなんざカスみたいなもんだから安心しろよっ!」


「なら、よゆーだなっ!」

と笑顔で返球してくる。俺はその球を受け取って


「んじゃ、行くぞ」

とグラブを佐々木の方に突き出して座るよう合図をおくる。


「おう、任せろっ」

と佐々木は座りこみ、左下にミットを構える。


右打者へのアウトローね…分かった。

俺はゆっくりとコースを意識して球を放る。完璧だ。


しんとしたブルペンにミットの音が響き渡る。


佐々木のミットは全く動かなかった。

「ナイスボール!」

と佐々木の声がこだまする。


次は右下、すなわち左打者へのアウトロー。これもバシンと要求通りに投げる。俺が投げたボールは吸いこまれるようにミットに入った。


そんな調子で俺がストレートを10球程度、ほぼ彼の要求通りに投げきったところで佐々木がこっちにやってきた。


「なぁ平瀬、お前の球遅ぇな。」


な、何を言う…。


「ま、まぁ、言っただろ。大したことねぇって。」


確かに俺の球は決して速いとはいえない。が言い方ってものがあるだろう。


「いやぁ〜でもねぇ、コントロールもだけどボールの回転数がえぐいよ。球が俺の手元にめっちゃ伸びてきた。」


「回転がみえるんだな。流石、動体視力が化け物なだけあるな。」


「やろ。てか、なんで知ってんの??」


「山縣さんから聞いた。」


彼はなるほどな、と納得したようだ。

ちなみに当の山縣は白石と共にティーバッティングを行っていて、えげつないバットの音がこっちまで聞こえてくる。


「そんなことより変化球投げてみたい。出来れば直球も交えつつがいい。」

「分かった、じゃあサイン決めよ。何投げてた??」

「ストレート、スライダー、カーブ、チェンジアップたまにツーシームかな。」

おそらく使えそうなのはこの位だろう。


「おっけい、じゃあストレートはこれで、カーブはこれ…」


少し話し合って軽いサインを決定。



そしてマウンドに戻った俺はサイン通り、カーブを彼に向かって思いっきり投げた…


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