90.さあ、ドライフラウに行くのです!
「ふははは! 遂にやったのですよ!」
じっくり時間をかけて、カブトムシとクワガタムシを倒すこと数回。
パーティ全員のレベルが45以上になりましたよ!
「それにしても、サーシャの火力が減っただけでここまで苦しくなるとは……」
サーシャと一緒に【羽音の森林】に挑んだ、一周目。
苦労はしましたけど、そこまでピンチになるようなことはありませんでした。
ですが、サーシャが抜けて、そこをボクのパートナーで埋めた二周目、すごくギリギリの勝負でしたよ。
サーシャ、ドラゴンブレスとかは使ってなかったはずなのですが、それでもサーシャとブレンの穴は大きかったようです。
……三周目からはしっかり修正していきましたけどね!
具体的には、魔法攻撃型パートナーを増やしました。
魔法はパワーですね。
「さて、確か、ドライフラウのボスが適性レベル45からのはずでしたね」
ボクは昨日調べた攻略情報を思い返します。
ドライフラウの道を塞いでいるボス、サイクロプス。
適性レベルが45以上のボスらしいのです。
主な攻撃方法は、棍棒による各種打撃と踏みつけ攻撃。
時々使ってくるのが、火炎系の魔法攻撃とにらみつけによる麻痺。
メイン火力は物理でサブが魔法ということですね。
それから、時々飛んでくるらしい麻痺は、そこまで気にしなくても大丈夫でしょう。
ボクのパーティには、ボクと豆太郎がいますからね。
にらみつけは単体攻撃らしいですし、どちらかが状態異常にかかってもすぐ回復できます。
……そうなると恐いのは物理攻撃ですが……そこは黒号に頑張って耐えてもらうしかないですかね。
黒号、レベル50で二段階目の進化らしいのですが、そこまでする必要もないでしょう。
というか、ブレスとダーク以外は全員レベル50で進化らしいのですが。
シズクちゃんもレベル50で進化するとユエさんから聞いています。
ユエさんによると、進化すると【支援魔法】の上位スキル【祝福魔法】が使えるようになるそうです。
どうやら、ルナウィングシーズーの進化系統はサポートメインらしいですね。
「……さて、準備はこれくらいにして、ボス戦に挑みましょうか」
ポーションも十分に持ちましたし、盾も強化しました。
パートナーたちも完全回復済み。
うん、万全ですね!
「さあ、行きますよ、アクア! ボス前までひとっ飛びです!」
「クァ!」
一旦、パートナーたちを帰還させて、アクアで移動開始です。
最近は空の旅しかしていませんが、ドライフラウ周辺からは、空でもモンスターの襲撃があるとのこと。
十分に気をつけなければいけませんね。
「ここがボス前広場ですね。……しかし、人が多いです」
GW期間中ということもあるのでしょうが、サイクロプス前の広場はたくさんの人で賑わっています。
この人たち、皆がサイクロプス目当てですかね?
「うん? リーンちゃんじゃないか、こんなところで会うなんてな」
「おや? クラウスさんですか。こんにちはです」
この間、カースドジャガーの牙を売ってあげたクラウスさんと遭遇です。
「クラウスさんも、サイクロプスを倒してドライフラウ行きですか?」
「いや、俺じゃなく俺の知り合いをドライフラウに案内するところなんだ」
「ほう、そうだったのですか」
「ああ。俺はもうドライフラウに着いてるからな」
そうなのですね。
それにしても、お友達を案内するところとは、いい人ですね。
「人数には空きもあるからリーンちゃんも一緒に行くか?」
「大丈夫ですよ。ボクはパートナーたちが一緒ですからね!」
飛んできたため、一度帰還させていた皆を再度呼び寄せます。
これでフルパーティ完成ですよ。
「そういえば、前に還らずの森で会ったときもひとりだったか」
「ですね。ボクはエクストラテイマーですので、ひとりでもパートナーたちでフルパーティが組めるのですよ」
勢揃いした皆を見せて、ちょっと胸を張ります。
頑張って育てたボクのパートナーたちですよ!
「なるほど。それなら、大丈夫そうだな。数を増やせるテイマーとはいえ、ソロは危険かと思ったんだが」
「ご心配感謝です。でも、ボクは大丈夫ですよ」
「そうらしい。それじゃ、気をつけてな」
別れのお言葉を告げたら、クラウスさんは自分のパーティの元へ戻っていきました。
どうやら、あちらも準備が整っていたようで、クラウスさんが戻ってすぐにボスエリアへと消えていきました。
さて、ボクも準備が整いましたし、ボス戦に突入ですよ!
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「あら、リーンちゃんお帰りなさい。サイクロプス戦はどうだった?」
「ユーリさん、ただいまなんだよ……」
「その様子だと負けたみたいね」
「最後の強化モードが強すぎるんだよ! 黒号が耐えられないとは!」
「ああ、なるほど。黒号はまだ進化していないのかしら?」
「ガードドッグのままなんだよ。……それがどうかしたの?」
「あのね、リーンちゃん。いいにくいんだけど、基本的にパートナーの強さってプレイヤーに劣るの。だいたい同じレベルのプレイヤーに比べて七割から八割くらいの強さね」
「……つまり?」
「ガードドッグのままじゃ、かなりきついわね。せめて、次の段階に進化しておけば別だけど……」
なんということでしょう!
パートナーとプレイヤーがそこまで違うだなんて!
……でも、よく考えてみれば、サマナーやテイマーはパートナー一匹と組んでひとりの計算ですよね。
これは盲点でした……。
「ガードドッグを進化させて、上位のナイトドッグやガーディアンドッグになればサイクロプスでも大丈夫だと思うけど、ガードドックのままだときついわね」
「なるほどですよ……」
これは、まだドライフラウはきついみたいですね……。
「ドライフラウに行きたいなら、私が一緒に行ってもいいけど、どうする?」
「うーん……」
ユーリさんに頼めば、サイクロプスくらい楽勝でしょう。
ボクのレベルにあわせてユーリさんたちもレベルが下がるらしいですが、ユーリさんのパートナーは進化しきった状態の子たちがほとんどらしいですし、タンクをしてもらえばそれだけで安定するのだと思います。
でも……。
「いえ、ボクだけで挑むのです。なんだか、負けっぱなしは悔しいですからね!」
「そう、わかったわ。助けが欲しくなったらいつでも相談してね」
「はいですよ。……とりあえず、デスペナが消えるまで家でモフモフしてきます」
「ええ、頑張ってね」
さて、マイホームに帰還してパートナーたちとモフモフです。
デスペナが消えたら、すぐにでも【羽音の森林】に行ってレベル上げですね。
待っていろ、サイクロプス!
今度こそ数の暴力で、ボコボコにしてやるのです!!
いつもお読みいただきありがとうございます。
毎回の誤字報告本当に助かっています。
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