22.モフモフ達をモフモフにするためのお手入れです!
皆様おはようございます、リーンです。
今はユーリさんからパートナー達のお手入れの方法を教えてもらうために中庭に向かっております。
今の時点でも遠目に見るに、色々な種類のパートナー達がユーリさんのお世話を受けております。
これは早めに合流してユーリさんのお手伝いをしなければいけませんね!
「おはようございます、ユーリさん。今日は一段と早いですね」
「おはよう、リーンちゃん。今日が特別早いって訳じゃないのよ。私の場合、面倒を見なくちゃいけないパートナーが多いから、早めの時間にログインしてお世話をした方が楽なのよ」
「なるほど。それで、パートナーのお手入れの方法を教えてくれるという話だったけどどんなことをするの?」
「お手入れの方法というか、ブラシとシャンプー、それから生活魔法の基本的な使い方ね。まずブラシセットはその名前の通り、数種類のブラシが入ったお得セットよ」
「数種類!? それはすごいんだよ!」
「それだけのブラシが1スタックに収まるんだから便利よね。ただし、初期状態では普通のブラシ系しか入ってないわ。ブラシの中には魔法のブラシと言って、毛並みをよりつやつやのふかふかにできるブラシもあるから、そう言ったブラシは別に買いそろえないとダメね」
「……それって、また課金?」
「魔法のブラシのほとんどは課金しなくても手に入るわ。一部、超高性能なブラシは課金アイテムだけど……」
「……課金アイテムを買う余力は今月はあまりないんだよねー」
「そうなんだ。ライトニングシーズー以外にも何か買ったの?」
「ライトニングシーズーだけだよ。それでも課金上限の半分以上を使ってしまいまったけど」
「ライトニングシーズーで半分以上使うって事は、あなたまだ中学生か中学校を卒業したばかりね」
「なんでそれがわかるんですか?」
「毎月の課金額上限は法律で年齢毎に定められているもの。15歳以下が月5,000円ね」
「……その上限額がなければプチグリフォンも入手できたのに!」
「それは仕方が無いわ。大昔の話だけど、スマートフォンって言う携帯端末で小学生や中学生が1カ月で10万円以上課金したって言う悪い実績があるからね。それを規制するためにできた法律で年齢に応じた課金額が設定されたんですもの、どうにもできないわ。それから、実年齢とかリアルの情報がわかる話はあまり他人にはしないようにね」
「リアルの話については了解だよ。課金額については……やっぱり仕方が無いよね。叶わない望みは諦めましょう。それでペットのブラッシングとかシャンプーのやり方を教えていただきたいのですよ」
「そうね、わかったわ。とりあえず汚れのヒドイ、ワイルドドッグとプレーンウルフから始めましょうか」
確かに、この子達の汚れは気になっていたところなんだよね。
野生の獣という事でノミとかも心配でしたし。
「それじゃあ、まず2匹を呼び出してね」
「わかりました。コール、黒号、シルヴァン」
「それで次に、汚れがひどいパートナーには【生活魔法】のクリーンをかけてあげるの」
「ここで【生活魔法】が出てくるんですね」
「そうよ。本来ならブラシとシャンプー、生活魔法のセットは私からプレゼントしたかったんだけど、斬魔に先を越されたのよね」
「……ユーリさんって斬魔さんと付き合いが長いの?」
「大昔に同じパーティだったのよ。その後、そのパーティ、というかギルドが解散してからは疎遠になっていたんだけど、一年半ほど前かな? 彼の方でも新しいギルドになじめなくなってて、それで瑠璃色の風に加入したって訳」
「なるほど。色々あるんですねぇ」
「そうね。色々あるわ。……さて、続きなんだけど1回だと汚れが落ちきっていないはずだから、あと2~3回クリーンをかけてあげてね。クリーンをかけてあげれば基本的には綺麗にできるから」
「意外と頑固な汚れなんだね。ところで、パートナー達にノミとかダニってついてないの?」
「これはゲームだからね。ノミとかダニみたいなモノはついてないわ。クリーンで大まかな汚れを落とし終わったら、次はシャンプーセットの出番ね」
黒号もシルヴァンもクリーンだけで大分綺麗になりました。
でも、毛並みを触ってみるとごわついてるのがわかるんだよ。
「シャンプーセットから適量のシャンプーを出してパートナー達を洗ってあげて。このとき、力加減はパートナー毎に好みが違うから、そのパートナーに適した力加減を上手く見つけてあげてね」
なるほど、シャンプーの仕方一つをとってもペット毎に好みがあるのですね。
……でもそうなると、覚えるのが大変そうだよ……
「パートナーについてのメモは、メニュー画面からパートナー一覧を選択すればパートナー毎にメモを書き残せるわよ。お気に入りのシャンプーとかお手入れの方法をメモしておくといいわ」
おお、メモ機能があるのですね。
これは便利です。
「それからシャンプーなんだけど、コンディショニングシャンプーとかリンスインシャンプーとかクレンジングシャンプーみたいに色々種類があるわ。詳しくは、昨日送ったテイマー向けサイトに詳しく書いてあるけど、今日のところは私が説明するわね」
「はい、お願いします」
「まず、この子達2匹は汚れがひどいからクレンジングシャンプーで一度洗ってあげて。クレンジングシャンプーは汚れがひどいときに下洗いとして使うシャンプーね」
「なるほどです。では黒号、シルヴァン、こっちに来るのですよ」
「ワオン」
「ガフゥ」
黒号は乗り気なようですがシルヴァンはあまり乗り気じゃないようですね。
でも、ここは大人しくボクの指示に従ってもらいましょう。
2匹を近くに呼び寄せたらシャンプーを適量取り出して、2匹を洗い始めたよ。
シャンプーは泡で出てくるタイプでした。
なかなか芸が細かいですね。
ペット用シャンプーは泡タイプで洗うのがいいという話を聞いたことがありますよ。
早速シャンプーを始めましたが、2匹とも1回ではあまりよく泡立たず、噴水の水で洗い流してからもう1回シャンプーで洗い直してようやく泡だったんだよね。
なお、シャンプーでの洗い方は2匹とも強めにガシガシ洗われるのが好みだったみたいですよ。
……そう言えば、噴水の水を汲むとき、噴水の水があまり冷たくなかった、と言うよりぬるま湯くらいの温度だったのですが何か理由があるのでしょうか?
「それくらい泡立つようになったら大丈夫でしょう。それではシャンプーを洗い流した後は、今回は薬用シャンプーで洗ってあげましょうか。2匹とも最近まで野生だったわけだし」
「薬用シャンプーですね。どの種類を使えばいいのかな?」
「そうね。とりあえず最初だから止痒性シャンプーでいいかな」
「なるほど。かゆみ止めのシャンプーだよね」
「そうだけど、よく知ってるわね」
「ボクの将来の夢はペットのトリマーですから!」
「なるほどね。……ともかく、まずは止痒性シャンプーで2匹を洗ってあげて」
「うん、わかったよ」
止痒性シャンプーで2匹を洗ってあげて、噴水からくみ出した水で洗い流してあげる。
この時点で2匹とも最初に比べて見違えるほど綺麗になりましたよ!
この後はコンディショナーで仕上げをして総仕上げです。
コンディショナーを使い終わったら、シャンプーセットの中に入っていたタオルでよく拭いてあげます。
このタオル、使い終わったら洗濯せずにシャンプーセットの中に戻せば、また新品のようにふわふわになって再利用できるんです。
リアルでもほしい逸品ですよ。
タオルで水分を拭き取ってあげたら【生活魔法】のドライヤーで乾かしてあげてシャンプーは完了です。
ユーリさん情報によると、シャンプーをしてあげるのは2週間に1回くらいでいいそうだよ。
多くても1週間に1回にしないとパートナーが嫌がるんだって。
あまり頻繁にシャンプーをしてあげるのもよくないという事らしいね。
でも、クリーンの魔法を毎日かける分には問題ないそうですよ。
それからペットの中にはシャンプーを嫌う子達も多いと聞いてますが、うちのパートナー達は思ったより嫌がりませんでしたね。
ゲーム補正なのかこの子達の性格なのかはわかりませんけど、手間もかからずとってもお利口さんなのですよ。
さて、しっかりシャンプーされてピカピカになった黒号とシルヴァンですが、まだお手入れは終わりませんよ。
次は仕上げのブラッシングです。
ブラシセットを開けると既に20種類くらいのブラシが詰め込まれてました。
スリッカーブラシと呼ばれる抜け毛用ブラシにピンブラシ、コームに獣毛ブラシなどなど様々なブラシが入っていましたよ!
それも、犬用だけじゃなく猫用ブラシとか珍しいところで鳥用ブラシなんかも入ってます!
ブラシセットとは聞いてましたが、ここまで揃っているとは驚きですね!
「リーンちゃん、どうしたの?」
「ブラシセットの充実具合に感動してました!」
「うん? ブラシセットも初期段階では6種類ぐらいしか入っていないはずだけど」
「……ボクのブラシセットには20種類くらいのブラシが入っているんだよ?」
「……ああ、これは斬魔が事前に買いそろえておいたのね。シャンプーセットも、本来ならコンディショニングシャンプーに保湿シャンプー、それからリンスとコンディショナーしか入っていないはずだから、私が言ったシャンプーを取り出せるのはおかしいと思ってたのよ」
「……それって本来のブラシセットやシャンプーセットに比べて、大分お高くなっている気がするよ?」
「……値段については聞かない方がいいわ。とりあえず斬魔の厚意に感謝しておきなさい。それでブラッシングの仕方は知ってるかしら?」
「最初にスリッカーブラシで抜け毛をとって、それから別のブラシで仕上げるんですよね?」
「そうね、その方法で間違っていないわ。それじゃあ、早速ブラッシングしてあげましょう」
シャンプーをしてピカピカになった2匹はお座りをして待っていてくれました。
ではまず、先にパートナーになった黒号からブラッシングしてあげましょう。
スリッカーブラシで抜け毛をとると、かなり盛大に抜け毛が取れましたね。
最近まで野生だったので仕方が無いのかな?
次は獣毛ブラシで仕上げですよ。
スリッカーブラシの時もそうでしたが、黒号は強めにブラッシングされるのが好みみたいですね。
早速メモを残しておかないとですよ。
お手入れの終わった黒号は、モンスターだった頃の薄汚れた姿とは比べものにならないほどピカピカでモフモフになりました!
短毛種ですのであまり毛皮のモフモフ感はありませんが、これはこれでいいものです。
次はシルヴァンの番ですが、こちらもスリッカーブラシで抜け毛処理をした後に獣毛ブラシで仕上げです。
お手入れの終わったシルヴァンはピカピカになりましたが、毛並みはモフモフと言うよりも結構硬めな感じです。
もちろんこれはこれで全然ありなのですが!
仲間にしたときはあんなに汚れていた2匹ですが、きちんとお手入れすればこんなに見違えるようになりました。
やっぱりお手入れは大事ですね!
いつもお読みいただきありがとうございます。
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~あとがきのあとがき~
本当はシズクとウサギ達もお手入れする予定でしたが、文字数がかなり多くなってしまったので次回に持ち越しです。
ペット用ブラシやシャンプーについて色々調べながら書きましたが、作者では把握仕切れない程度には色々な種類があって驚きです。
プロのトリマーさん達とかはやっぱりプロなんですねぇ。
なお、スリッカーで抜け毛処理を行っていますが、ゲームの仕様上抜け毛処理をしなくても抜け毛が絡みつく心配はありません。
パートナー達とのふれあいが目的ですね。
なお、しっかりとした手入れをするとそれだけでグングン愛情度が上がっていきます。





