20.モフモフを連れて凱旋です!
多くても4,000文字前半を目安にしてたのに約5,000文字まで伸びてしまた本話。
この作品としては長めなのですがお付き合いくださいませ。
ネームドウサギのプリムを入手した後は、シズクちゃんを再び喚びだしてひたすらファーラビット相手に【手加減】を覚えるための修練です。
途中、ユニーク個体のファーラビットを見つけたので、ユーリさんにお願いして【手加減】で瀕死にしてもらいテイムに成功しましたよ。
なお、この時テイムは6回も失敗した模様。
ネームドモンスターの時は1回で成功したのに解せぬ。
……って思ってたら、ユーリさんから解説が入りました。
なんでも、「ネームドモンスターがテイムを受け入れるつもりになったら、初めから同意済みという事でテイムが成功しない事はない」そうだよ。
その状況以外の場合、瀕死の状態まで追い込んでいても抵抗されてしまうので、よほど高レベルのスキルを持っていない限り一回での成功は難しいとか。
ボクの場合はLUKがかなり高くなってるから、これでも成功しやすいんだって。
……それなのに最弱のモンスターと言われるファーラビット相手に6回もテイム失敗したのはやっぱり解せぬ。
なお、仲間になったファーラビットのステータスはこんな感じ。
――――――――――――――――――――――――
名前:白玉
種族:ファーラビット Lv.3
HP:20/20 MP:22/22
STR: 8 VIT: 7 DEX:15
AGI:16 INT:10 MND: 8
スキル:
【かみつき】 【体当たり】
特殊スキル:
【採取】
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ネームドモンスターのプリムとはまったく強さが違うね。
ユーリさん情報だとネームドモンスターとユニークモンスターでは、これくらい強さの差があるのは当たり前なんだって。
ユニークモンスターまでは通常の一般モンスター枠だけど、ネームドモンスターはフィールドボスに近いそうだから強くて当然らしいよ。
あとこれもユーリさんからついでに聞き出せた情報なんだけど、エリアボスって呼ばれてる次のエリアに進むとき一回は倒さなきゃいけないモンスターの中にもテイムできるモンスターがいるんだって。
かなり高いスキルレベルとリアルラックが要求されるけど、モフモフが増えるならテイムを狙ってみるのもありかも。
それから、エリアボスを仲間にしようとするときは、基本的にネームドモンスターのようなテイム条件はないそうな。
ただ、テイムしやすくなる傾向は長年の研究成果から導き出せているらしいので、気になるなら調べてみるといいって言われたよ。
……そもそも、エリアボス自体が未知数だからまだ先の話だけどね。
【手加減】の修練については、スズカちゃんは1時間ほどで終了してたよ。
何でも、昨日も同じ事をやっていたから必要回数が少なくてすんだんだって。
それに対してボクの方はと言うと、結局2時間くらいかけてしまったよ。
シズクちゃんと協力してファーラビットを瀕死にしてるんだけど、ボクの攻撃がクリティカルになってしまうとファーラビットを倒してしまうんだよね。
そう言う訳で、なかなか成功数が伸び悩んでいて、結果として2時間かかってしまったんだよ。
……実際には、『三日月兎のチャーム』の効果でLUKが上昇してたのがクリティカル発生率に悪影響を及ぼしていたんだけどね。
何はともあれ、無事に【手加減】スキルの取得条件を満たせたボクは、早速スキルを覚えてしまう。
覚えるのに必要なSPは4ポイントと少し多めだったけど、必要になってくるだろうスキルだし我慢して覚えたんだよ。
スズカちゃんとSPが少なくてキツいよねって話をしてたら「スキルポイントの書は使ってないの?」と聞かれてしまった。
初心者支援セットの中に入っている『スキルポイントの書』を使用するとSPが30も手に入るんだって。
……使うのを忘れてたのはボクのせいだけど、それなら最初からSP30を多く振り込んでいてくれてもいいじゃない。
何となく恥ずかしい気分を押さえつつ、スキルポイントの書を使用してSPを大量にゲットする。
でも、ユーリさんからは必要なスキル以外はあまり覚えないように注意されたよ。
初期から選択できるようなスキルはSP1~3で覚えられるけど上位スキルになるとSP5~8くらいも使うんだって。
だからSPの利用は計画的にやっていかないとダメだって言われたよ。
そんな事は注意されなくてもボクは平気だけどね!
……こういう有限なポイントやアイテムはもったいなくて使えないタイプだから。
自分のスキル取得が終わっても付き合ってくれたスズカちゃんに感謝しつつ、テイム枠の上限いっぱいまでテイムの練習兼納品クエストの準備です。
白玉をテイムした時点で残りのテイム枠は4だったから、4匹のファーラビットを捕まえればいいだけだったので大分余裕でした。
うん、通常種のテイムは2~3回で成功するから楽でいいね。
最弱モンスターのファーラビット相手でも【従魔術】スキルのレベルが上がったし言う事は無いね!
それからテイムをしたときに連れ歩ける枠がなかったときの演出も見たけれど、名前をつけ終わったら消えていっちゃうのは何となく寂しいね。
……どうせ今テイムしたファーラビットは、この後すぐにテイマーギルドに引き取ってもらうんだけどね。
そんなわけでやる事をやり終えて帰ってきました、アインスベル。
スズカちゃんはそろそろ落ちるため、ここでお別れらしい。
「今日は楽しかったよ、リーンちゃん。また今度も一緒に遊んでもらえる?」
「ボクは構わないよ。でも、ボクはモフモフ優先だけどそれでも大丈夫?」
「うん、大丈夫。それから、今度は私にもパートナーを触らせてほしいな」
「うーん、そっちはパートナーが許したらかな? ちなみにシズクちゃんは大丈夫」
「ワン!」
この鳴き方は大丈夫って事かな。
試しに抱きかかえていたシズクちゃんをスズカちゃんの方に差し出しても嫌がるそぶりは見せなかったよ。
スズカちゃんは恐る恐るシズクの事を撫でてくれた。
シズクちゃんも尻尾を振っていたし、まんざらでもない様子なのでよかったね。
「ありがとうね、リーンちゃん。こうしてふれあってみると私もパートナーがほしくなるかな」
「あー……サマナーやテイマー以外がパートナーを手に入れるのは結構大変みたいだよ?」
「そうなんだ。今度調べてみるね」
「あら、調べなくても時間があるときに私が教えてあげるわ。次に会ったときにでも教えてあげるわね」
そうだよね。
テイムの事ならユーリさんに聞くのが一番早いよね。
「ありがとうございます、ユーリさん。……それじゃあ、時間も遅くなってきましたのでこれで失礼します」
「お疲れ様、スズカ」
「スズカちゃん、またね」
「はい、それでは二人ともお休みなさい!」
スズカちゃんはログアウトしていたよ。
スズカちゃんを見送った後、ボクとユーリさんはテイマーギルドを訪れて『ファーラビットの納品』とか『ネームド種のモンスターを見せる』とかって言うクエストをクリアしたんだ。
おかげでまた少し貯蓄ができたね。
あと、地味にレベルが上がったのも嬉しい。
ユーリさんからはレア度の高いパートナーを間違って納品しないようにするための設定も教えてもらったし、今日はボクもそろそろ落ちる時間かな?
テイムの成果を報告するためにギルドハウスに向かうと、入口のところで斬魔さんが待ち構えていたよ。
どうやらボクに用事があるらしいけど、なんの用事だろう?
「戻ったか。……無事にファーラビットをテイムできたようで何よりだ。……だが、2体もテイムしたのは何故だ?」
「ああ、それね。1体目がネームドのファーラビットだったのよ。ネームドのファーラビットって進化するとね……」
「……ああ、なるほどな。それで別のファーラビットもテイムしてきた訳か」
二人の間で何やら話が進んでるけど、ネームドのファーラビットが進化したら何かあるのかな?
「ともかく、今日はレッドが申し訳ない事をした。その謝罪を改めてしたかったのだ」
「……別に斬魔さんが謝る事じゃないと思うよ? 謝るならレッドじゃないの?」
「……レッドは今日はもう落ちてしまってな。代わりに俺が待っていた」
「斬魔さんから謝られてもねぇ。どうしてアイツにそこまで肩入れするのかな?」
うーんレッドの事になるとボクも少しヒートアップしてるかな?
斬魔さんに八つ当たりしてもしょうがないから、冷静にならないとね。
「レッドは俺がギルドに誘ったんだ。だから、俺にはあいつを監督する責任がある」
「……そうなんだ。斬魔さんからの謝罪は受けたから、後はアイツ次第だね」
「レッドにもしっかり言い聞かせておく」
「そう言えば、あの後って結局どうなったの?」
「レッド一人でプレーンウルフに挑んで返り討ちにされたな」
「……ホントに何がしたかったんだろうね?」
「何でも今日までが期限の討伐クエストを受けていたらしい。……結果としては時間切れでクエスト失敗になったがな」
「……ホント、何を考えてるんだろうね」
呆れてものが言えないってこういうことを言うのかな?
「ともかく、レッドの身勝手な行動で振り回してしまったのは事実だ。申し訳なかった。それから、これはお詫びの品だ。受け取ってくれ」
斬魔さんからアイテムを取り出してきたよ。
正直、斬魔さんからアイテムまでもらってしまうのはこっちが申し訳ないんだけど。
「うーん、斬魔さんがそこまでする必要はないと思うよ?」
「そうは言われても、俺の気持ちが収まらない。それに、用意した品は俺が持っていても使い道がない品ばかりだ。どうか受け取ってくれ」
そこまで言われると、とりあえず少しだけでも受けなきゃいけない気持ちになる。
なので斬魔さんが取り出したアイテムを受け取って内容を確認してみると、ボクにとってはとっても嬉しいものだったよ!
「『パートナー用ブラシセット』に『パートナー用シャンプーセット』! こんなのもらってもいいの!?」
「ああ、返されても困るからな。それから、一緒に渡したスクロールも確認してくれ」
「『生活魔法のスキルスクロール』? これって何?」
「【生活魔法】というスキルを覚えられるようにするスクロールだ。……もっとも、【生活魔法】はSP0で覚えられるスキルだからスクロールを使うと同時にスキルも覚えるのだがな」
「【生活魔法】ってどんなスキルがあるの?」
「リーンに一番関係がありそうなのは、『クリーン』と『ドライヤー』だろうな。『クリーン』は部屋やパートナーの汚れを消し去る魔法。『ドライヤー』は温風を吹かせる魔法だ」
「……それってゲームに意味があるの?」
とってもじゃないけど、ゲームをプレイする上で必要なスキルじゃないよね。
「どちらかと言えばフレーバーに近いスキルだな。ただ、実用する上で便利な魔法もあるから覚えておくに越した事はない」
「そうなんだ。……ちなみに、これってどれくらいのお値段なの?」
「『パートナー用ブラシセット』が3,000G、『パートナー用シャンプーセット』が5,000G、『生活魔法のスキルスクロール』が1,000Gだな。俺のレベルになると簡単なクエストを一つクリアすれば貯まる額だ。遠慮せずに受け取ってくれ」
……超初心者のボクからすると結構な額なんだけどな。
でも、どう考えてもテイマー向けのアイテムを今更返されても困るだろうし……
「リーンちゃん。ここはありがたくもらっておきなさいな。パートナーと一緒に生活するならあった方がいいアイテムばかりだし、斬魔も返されても困るのは事実なんだから、リーンちゃんが有効活用するのが一番よ」
ユーリさんにも受け取るように言われてしまったよ。
こうなると受け取るしかないよね。
「わかりました。それじゃあ、ありがたくもらいますね」
「そうしてくれ。それでは、俺はこれで失礼する。今日は本当にすまなかった」
一礼して立ち去っていく斬魔さんを見送る。
斬魔さんってすっごく生真面目な人だね。
「さて、それらのアイテムの使い方はまた明日教えてあげるわ。今日はもう休みなさい」
「そうだね。ボクももう休ませてもらうね」
ユーリさんは明日も午前中からログインするらしいので、明日の午前中にまた会う約束をしてログアウトする事にしたよ。
昨日このゲームの事を知って、今日の朝から始めたばかりだけど、一日で5匹のモフモフをゲットできるなんて幸先がいいね!
明日からもモフモフ天国を目指して頑張ろう!
いつもお読みいただきありがとうございます。
「面白かった」「これからも頑張れ」など思っていただけましたらブクマや評価をお願いします。
作者のモチベーションアップにつながります。
誤字・脱字の指摘、感想等ありましたらよろしくお願いします。
~あとがきのあとがき~
今回も短いですがこれにて第2章終了になります。
ここまで順調にモフモフをゲットできたリーンちゃん。
さて、次はどんなモフモフが待っているのか?





