12.家に帰るまでが冒険です?
無事従魔をゲットできたリーンちゃん。
あとは、街まで戻るだけですね。
ユーリさんとガイルさんのおかげで、無事2匹のモフモフを入手できたよ。
予定とは違ってワイルドドッグにプレーンウルフという戦闘系モンスター2体になっちゃったけど、ユーリさん曰く「この2匹が一緒ならファーラビットくらい簡単にテイムできる」らしいよ。
ウサギ狩りに狼と犬を使うわけだから当然かもしれないけどね。
街に戻る途中の敵は、ボクの戦闘訓練という事で戦わせてもらっている。
シズクちゃんが全力を出すと、最初のボスすら2発で倒せてしまうらしいのでシズクちゃんはステイ。
黒号とシルヴァンの2匹に手伝ってもらいながら、ワイルドドッグを倒していくよ。
そんな感じでモンスターを倒しながら街に戻ってくると、街門までたどり着いたときにはゲーム内で朝になってた。
草原で眺める朝日は結構綺麗だったね。
門を抜けて街の中まで入ったところでガイルさんが話しかけてきた。
「さて、とりあえずリーンの仲間集めは成功したわけだが、レベルはいくつになった?」
「えーと、基礎レベルと職業レベルは5だよ。あと、【鞭】のスキルレベルも5まで上がってる。それから【使役】と【従魔術】もそれぞれ5と7まで上がってるね」
「流石に初心者支援効果が有効なうちはレベルアップが早いか」
「初心者支援効果? 何それ?」
「うん? ああ、基礎レベルが20までは経験値がアップして成長しやすくなるって言うシステムだな。1年くらい前に初心者支援って事で導入されたシステムだ」
「そうなんだ。それで【従魔術】スキルがあんなに上がりやすかったんだね」
「自分より強いモンスターにテイムを使い続けたってのもあるだろうがな。……さて、俺の付き添いはこれくらいでいいか」
「ええ、助かったわ、ガイル」
「朝からログインして暇だったからな。むしろ、面白いヤツに会えて幸運だったぜ」
「面白いヤツってボクの事かな?」
「他にいないだろ? 最近じゃテイマーってだけでも珍しいのに、ライトニングシーズーを連れてるんだからな」
「むぅ。こんなにモフモフでカワイイのに、皆の評価が低い」
「あー、そいつは悪かったな。ただ、最近のプレイヤーだとプチドラゴンかプチグリフォン連れで始めるテイマーがほとんどだからな。後は無課金で始めるか」
「プチグリフォンは興味があるけど、この子の方がよかったんだよ」
「そいつは結構じゃないか。やっぱりゲームなんだし、他人に迷惑をかけないなら自分が楽しくやるのが一番だぜ」
「そうね。効率重視とか強さ優先って言うのも間違ってはいないけど、やっぱりゲームは楽しくやらないとね」
うんうん、その通りだね。
だから、ボクはもっとモフモフを集めるよ!
「そいじゃ、俺は一度落ちるわ。リーンの嬢ちゃん、縁があったらまたな」
「うん、手伝ってくれてどうもありがとう。縁があったらまたね」
ガイルさんは足下から光り輝いて消えていったよ。
このゲームでログアウトするときはあんな演出になるんだね。
「さて、リーンちゃんはまだ時間ある? もしよければもう少しこのゲームについて教えてあげるよ」
「もう少しぐらいなら平気だよ。ユーリさん、よろしく」
「ええ、それじゃあ……そうね、クエストボードのところに行ってみましょうか」
ユーリさんに案内されて連れてこられたのは、街の中心部付近にある大きな掲示板のところ。
掲示板の前にはまばらに人がいるね。
「ここがアインスベルのクエストボードね。クエストボードって言うのは、住人や他のプレイヤーからの依頼が確認出来るところね。他のゲームだと冒険者ギルドとかで集約されてるけど、このゲームだと街にあるクエストボードからクエストを受ける事になるの」
「そうなんだ。……何かモフモフについてのクエストはないかな?」
「流石にそう言うものはないと思うわ。それよりも、今日取ってきた素材でクリアできる依頼をクリアしてしまいましょう」
ユーリさんに促されるままクエストボードとやらにアクセスしてみると、受注できるクエスト一覧が表示されたよ。
クエスト名が色分けされて表示されてるけど、詳しい話は省略。
とりあえず今すぐにクリアできる依頼だけ受けて見ることになったよ。
受けたのは全部納品系の依頼だけど、どこでも納品できるらしいのでそのまま納品ボタンを押したら手持ちの素材が消えて、代わりに経験値と手持ちのお金が増えた。
演出がないのが不満だけど、ゲームだししょうがないのかな?
「昔は納品依頼もいちいち住人のところまで届けなきゃいけなかったんだけどね。手間がかかったり、特定の住人のところに大勢のプレイヤーが押しかけることになったりで、普通の納品クエストは今のような形になったのよね」
……考えてたことが顔に出たのかな?
ユーリさんに解説されてしまった。
「さて、それじゃあもう一カ所行きましょうか。そっちの方が大事だからね」
ユーリさんに改めて先導されてついた先はテイマーギルド。
何でここに連れてこられたのかわからないけど、中に入っていくユーリさんの後についていくよ。
「クエストは各種ギルドでも受ける事ができるわ。というか、こっちで受けるクエストの方が重要ね。ギルドで受けた依頼じゃないとギルドランクが上がっていかないからね」
「なるほど。じゃあこっちでクエストを探してみて、その後、クエストボードの方に行ったら効率がいいんだね」
「そうなるわね。……それじゃあ、こっちで受けられるクエストも確認してみて頂戴」
「了解です。さて、モフモフはないかなー?」
テイマーギルドのクエストだから何かないかと思ったけど、モフモフはなかったよ。
でも、『レア種のテイムモンスターを1体連れてくる』『ユニーク種のモンスターを1体連れてくる』『幻想種のモンスターを1体連れてくる』と言ったクエストがクリアできた。
納品じゃなくてギルドの受付さんに見せるだけでいいらしく、ボクのモフモフ達が減ったわけじゃない。
各プレイヤーが1回ずつしか受けられないクエストみたいだけど、結構いいお金になったよ。
基礎レベルは上がらなかったけどね。
それからギルドランクも『F-4』まで上昇したよ。
簡単に終わるクエストだけでこんなに上がっていいのか不安になったけど、最初の方はギルドランクも上がりやすいんだって。
ユーリさんがいると色々聞けて助かるね。
「……さて、色々と案内してきたけどそろそろお昼だからお別れかな。どう、楽しかった?」
「うん、楽しかったよ。まだ綺麗じゃないけどモフモフも増えたし、初日の朝としては大満足だったかな」
「それならよかったわ。……それでなんだけど、リーンちゃん、私達のギルドに入ってみない?」
「ギルドって『瑠璃色の風』? どうして急に?」
「うーん、急にって訳じゃないんだけどね。元々ギルドには誘ってみようと思ってたから」
「でも、ボクを誘っても何も出来ないよ? ああ、少しならモフモフを提供できるけど」
「そこは気にしなくても大丈夫よ。私達は初心者支援が主な活動内容になってるから。リーンちゃんみたいな初心者がゲームを楽しめるようにするのが活動内容かな?」
「うーん、どうしようかな?」
「しばらくの間は体験入団って形でも大丈夫だから。それに、リーンちゃんと同じくらいのレベルの子達が数人入団したばかりだからフレンドも増えると思うよ?」
うーん、悪い話じゃないよね。
ボクは妹のお誘いを蹴ってこのゲームを始めたから独り身だし、他に伝手もない。
何より『瑠璃色の風』に所属すれば、ユーリさんのモフモフ達とまた遊べるかもしれないよね!
「それじゃあ、まずは体験入団って形でお願いします」
「うん、わかったわ。……ギルドの加入申請を送ったから承諾してね」
「うん。……承諾終わりました」
「私の方でも入団が確認出来たよ。ようこそ『瑠璃色の風』へ。これからよろしくね」
「はい、よろしくお願いします」
こうしてボクはユーリさん達『瑠璃色の風』に入団させてもらう事になった。
まだ勝手はわからないけど、これからももっとモフモフを集めるために頑張っていくよ!
いつもお読みいただきありがとうございます。
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作者のモチベーションアップにつながります。
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それと、誤字報告の際、矢印付きで修正したり、『~だと思います』と言った形で報告してくださる方が時々いますが、そういった報告では修正できませんので削除させていただいております。
誤字報告はとてもありがたいのですが、修正する際は変更箇所だけを変更して、それ以外の文言や矢印などを入れないようにお願いいたします。
~あとがきのあとがき~
話の区切りがいいのでこれで第1章は終了となります。
次回からはギルドに入ってからの活動となります。
モフモフも少しずつ増やしていきたいのでよろしくお願いいたします。