100.草原の目覚めで交流会です! そのよん
「さあ、ドライヤーでパートナーをしっかり乾かせてあげたら、ブラッシングですよ」
司会のお姉さんが次の手順の説明に移りましたね。
次がブラッシングなのも習った基本どおりですよ。
「今日はブラシセット標準で入っているブラシだけなので基本的なことしか説明しませんが、パートナーの種類によって最適なブラシの種類は異なります。ブラシは『草原の目覚め』でも各種取り扱っておりますので、ご興味のある方は講習会の修了後にどうぞ」
ここでもお店の宣伝なんだよ。
でも、基本的なブラシだけでは満足できない子もいるだろうし、ブラシやシャンプーの充実は大切ですね!
「まず、最初はスリッカーブラシという抜け毛用のブラシをかけてあげてください。これで抜け毛はすっきりとれます。強めにかけるのが好きな子もいれば、優しくかけるのが好きな子もいるので、パートナーたちの反応を見ながら最適な方法を見つけてくださいね!」
お姉さんの説明が終わったところで、実戦スタートです。
……もっとも、シズクちゃんにスリッカーブラシをかけてもほぼ抜け毛はとれません。
なぜなら、毎日のお手入れでしっかりブラッシングしているからなんだよ!
「あら、シズクちゃんのスリッカーブラシはもういいの?」
「はい、アサカゼさん。というか、シズクちゃんは毎日ブラッシングしているので、スリッカーは必要ないんだよ」
「なるほどねぇ。それじゃあ、お友達を手伝ってあげましょうか」
「そうですね。サーシャ、手伝うんだよ」
「お願い、リーン。思ったよりも大変だわ」
「ファインは強めのブラッシングが好みですからねぇ。いまブラッシングしてあげるんだよ」
こうして、ファインのお手入れも無事終了。
ファインはボクが時々お手入れしてあげてますから、ブラッシングにも慣れっこです。
なにが言いたいかというと……。
「ああ、この、待ってくれ!」
「痛くしないから、おとなしく、ねっ?」
「ほーら、好物のジャーキーだよー」
ほかの参加者さんはそれぞれ手こずっているのですよ。
力加減が悪かったのか、パートナーが逃げ出して鬼ごっこをしている人。
毛玉に引っかかって痛かったのか、これ以上のブラッシングを嫌がるワンちゃん。
なかなかおとなしくしてくれずに、好物で釣っておとなしくさせようとしている人もいますねー。
あっ、司会のお姉さんたち『草原の目覚め』の従業員さんが手助けに入ったんだよ。
「やっぱり、ブラッシングまでくると毎回大変ねぇ」
「グルーミング講習会って毎回こんな感じなのかな?」
「そうね、大体同じ感じよ。普段、パートナーたちとふれあったことがないプレイヤーが集まるものだから……ね」
なるほどですよ。
なんというか、もったいないことをしてるものです。
「さて、私もヘルプに行ってくるわ。リーンちゃんたちは仕上げのブラッシングに移ってていいわよ」
「いいのです?」
「これじゃあ、最終段階に移るまで時間がかかりそうだからね。待っているのも暇でしょう」
「じゃあ、お言葉に甘えるんだよ。……サーシャのファインから先に仕上げちゃいましょうか」
「ウオォン!」
ボクがファインを仕上げることがわかったのか、ファインは嬉しそうな声で吠えていますね。
というか、あなたのマスターはボクじゃなくサーシャなんだよ?
「次が仕上げなのね。それで、ファインの仕上げはどうすればいいのかしら?」
「ファインはピンブラシで仕上げてやるのがお好みですよ。そして最終仕上げにつや消しブラシがあれば完璧なのですが……」
「そんなブラシはないわね」
「ですよね。講習会が終わったら買ってくるといいのですよ」
使うブラシは決まったので、サーシャと手分けしてファインをきれいにしてあげます。
ブラッシングを受けるファインも気持ちよさそうなのですよ。
……というか、リラックスしすぎて半分寝ていませんかね、この子。
「おい、あの犬、ブラッシングされながら寝てるぞ」
「本当だ……お手入れをこまめにするようになると、あんな風にリラックスしてくれるようになるのね」
「大きい長毛種の犬だけど、ああしてみてると愛嬌があってかわいい……」
「はーい、皆さんもしっかり相棒をブラッシングしてあげて、仕上げに移れるようにしましょうねー」
(店長が連れてきてくれた子たちがいるおかげで、いいお手本がいてくれて助かるわ!)
ブラッシングが終わる頃には、ファインは完全に夢の中でしたよ。
なにはともあれファインのお手入れは終わりましたので、次はシズクちゃんなんだよ。
シズクちゃんはまず獣毛ブラシでお手入れですね。
ボクがブラシでなでるたび、シズクちゃんは次にブラシをかけてほしいところを強調してきます。
ボクはそれに従ってブラッシングしてあげるだけなので、楽な作業ですね!
獣毛ブラシをかけ終わったら、仕上げのつや出しブラシです。
これをかけることで、毛並みがピカピカになるんですよ!
「あら、やっぱり特殊ブラシも持っていたのね」
「あ、アサカゼさん、お帰りなんだよ」
「ただいま。斬魔も初心者にこれだけのセットを渡して……と思ったけど、しっかり使いこなしているようね」
「当然なのです。パートナーたちのためなら、手間と研究は惜しみませんよ!」
「そう、それはいいことだわ。……ほかの受講者はこれから最後の仕上げだし、少し私のパートナーと会ってみる?」
アサカゼさんのパートナーたちですか、興味深いですね!
「ぜひお願いしたいんだよ!」
「わかったわ。コール、ファンダム」
アサカゼさんが呼び出したのは……なんと火の鳥でしたよ!
「この子は鳳凰のファンダムよ。ほかにもいろいろな子がいるんだけど、それはまた今度ね」
「はい、楽しみにしてるんだよ!」
ユーリさんもいろいろなパートナーを連れていたけど、アサカゼさんも変わったパートナーを連れていそうなんだよ。
これはそのうち全種類会わせてもらわないと!