控え室
そこでようやく私は一息つけた。
手野芸能社でアイドルをしている私は、今日の3公演も無事に終わり、控室へと戻っていた。
「あー、やっと終わった……」
アイドルとしてしてはいけない格好をしているのは分かる。
まるでマッサージチェアでマッサージを受けながら寝ているような格好だ。
だが、それでも気合を入れなおして立ち上がる。
今度は家に帰るまでが問題だ。
週刊誌にすっぱ抜かれた日には、どんなことになるかわからない。
もっとも、そんな人はそうそういないだろうが。
「変装よし、さあ帰ろう」
荷物と一緒に、私は控室から出る。
いつも通りの変装に、少しだけ手を加えて、疲れた顔をしないようにしながら。