ブロイラー
ブロイラー
ボタンを押すと肉が飛んできて
俺はその肉へ駆け出し一番にしまう
しまい終わったらまたボタンを押し
次は二番に肉をしまう
九番まで行ったらまた一番に戻る
休憩室でこんな事を話したよ
"もっと勉強してりゃ良かった"
そいつは守衛で醜男で
とんでもなく体臭のキツい奴なんだが
中身はとっても良い奴なんだ
俺はまたボタンを押しに帰る
肉の臭いが体に染み付き
電車に乗れば馬鹿にされる
帰りにビジネス街を通ると
ガラス張りの"オシャレ"なレストラン
そこに俺の給料三ヶ月分の服を着た男と女が居て
血の滴ったステーキを馬みたいに食ってた
俺は牛に同情したんだ
そう、同情したんだ