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ドSな俺と、ドMなアイツ  作者: 下弦 鴉
第三章 文化祭は所詮前菜?
98/117

97、Sの怒りはどこへいく!?


今回はちょっと短めです。


 「あの馬鹿作者め、今度会ったらあの羽全部むしりとってやる……」

 「まあまあ、お姫様。そうお怒りにならずに……」

 「怒ってねぇよ、イライラしてるだけだ。てか姫様って呼ぶな」

 「それって同じ意味だと思うけど、そのイライラを私にぶつけてくれると嬉しいなぁ……」

 「気のせいだ。てか、引っ付いてくんな」

 「それよりも、この暗号みたいなもの解かなくていいんですか?」

 「解かなきゃならねぇんだけどさ、このイライラと馬鹿をどうにかしてくれねぇか?」

 右に馬鹿、左に影薄。共に近い。近い、近すぎるんだよ!

 「えっと、森野さん達。瀬川君が迷惑そうだから……ね?」

 「大丈夫だよ、うん」

 「そうよ、うん」

 「何がどう大丈夫なんだよ。てかいい加減に離れろや」

 「今この瞬間にこうしてないと、二度とこういうチャンスがないと思うんだよな」

 「こういう危機的状況の時にこそ、ラブラブしなくっちゃ♪」

 「……無視するんだ、俺。大丈夫だ、やれば出来る、出来るさきっと!」

 てな訳で、馬鹿共は放置決定。気にしてたら話が一向に進まんし。

 「んで、なんだっけ?」

 「何ってなんでしょうか……」

 「あのー、あれだ。暗号みたいなのなんて書いてあったんだっけ」

 ちなみにあのメモは、今舘山が保管中。俺が持ってると八つ当たりしたくなるし、小橋が持ってると影薄い存在じゃなくなってつまらないし、森野が持つといろいろと面倒だからだ。

 「最初は『目印は花に従い、野原の向こう』です」

 「目印は花って訳か?」

 「そうかも、しれません……」

 うーんと唸るのは俺と舘山だけ。馬鹿と影薄は、

 「ちょっと影薄、私のダーリンから離れなさいよ」

 「はあ?お前のじゃねぇだろ」

 「あんたのものでもないわ!」

 「俺は瀬川は親友という名誉ある資格がある!」

 「私だって傍にいていい資格があるもん!」

 「お前は狩燐にでも引っ付いてろよ。アイツもSだし!」

 「可愛げがないからダメなの!」

 なんて馬鹿な会話をしている訳で、……うん。

 ……まあ、はっきり言えばウザいですね。

 「あのぅ、瀬川さん」

 まさかのさん呼び!?

 「さんじゃなくて、君か呼び捨てが嬉しいがなんだ?」

 「えと、あの、うぅ……」

 泣かないでくれー!!今ここでこのタイミングで泣かないで!てか、どこに泣きたくなる要素があった!?

 「瀬川、お前……」

 「な、なんだよ……」

 「香ちゃんがタイプだったの!酷いわ、私を差し置いて!」

 「はあ!?」

 「酷い!酷いわ!酷すぎる!!私という恋人がいながら―――あだっ」

 「……うるせぇ」

 とりあえず、鉄拳下して黙らせとく。

 「瀬川に逆らうべからずか……」

 「なんか、言ったか?」

 「いえ!何も申してございません、女王陛下!!」

 「ならいい。……だがしかし、俺は女王陛下じゃねぇからな」

 「あの、せ、瀬川君?」

 俺のスカートの裾をちょっと握って、舘山はある場所を指差す。

 「んだよ」

 「目印の花って、アレ?」

 その指の先には、壁。花なんてない。野原すらない。ただの壁である。

 「アレが何だ?」

 「あの、壁紙花の模様だから、そのね……」

 「つまり、目印はアレかもしれないと?」

 こくこくと頷く。

 左右の馬鹿を引きずるように、俺らはその壁の前に立つ。それは淡いピンクの地に、綺麗な花が描かれたものだった。

 ……今更ながら気付いたけど、ここの壁以外はみんなただの白い壁紙だった。

 「気付かなかった俺はなんなんだ……」

 小橋が面白そうに指で壁の花をなぞる。

 「これ、道標みたいに花が繋がってるな」

 「先端はぁ……ここかな?」

 いつの間にか俺から離れた馬鹿二匹が、壁に描かれた花を追い、立ち止まる。

 「ねね、香ちゃん。『目印は花に従い』の続きってなんだっけ?」

 なぜかはしゃぐ森野に、舘山が答える。

 「『野原の向こう』です」

 「『野原の向こう』ってことは………………………………といやぁっ!!」

 「えぇ!?」

 俺と舘山の声が重なる。

 いや、誰だっていきなり壁に殴りいれる人見たら驚くだろうさ。

 「おぉー!珍しく毒舌女が役に立った!」

 「私はやれば出来る子なのよ!どこかの影薄と違ってね!」

 「んだと!?」

 「誰もアンタの事だなんて言ってないわ!」

 「不毛な争いはやめような。てか、なんでお前らはそんなに仲が悪いんだよ」

 「瀬川君瀬川君!見てみて!」

 なあ舘山よ、いい加減スカート握るのやめてくれない?そして引っ張るのやめてくれない?

 んで、無邪気な舘山が指差す先には、

 「……スイッチ?」

 がありましたとさ。それも夜空の中に。

 「綺麗ねぇ……」

 絵で書かれたにしては綺麗過ぎる夜空に浮かぶのは、小さな黄色いスイッチ。押すなと言われても押したくなるような、あぁ、押してしまいたい……。

 てか、押していいですよね?……はい、そうですよね、押すべきですよね。

 「よぉし、ポチッといこー」


  ゴゴゴゴゴ………………


 何かが動く音がして、

 「原爆?」

 「なんでだ!」

 森野の馬鹿な発言に軽くつっこんで、ふと思った。

 この仕掛け、作者が作ったんだよな……。だったら、ものすごく嫌な予感がす―――


 ガパッ!


 「る!?」

 突然、足元に大穴が開きましたとさ♪

 「マジかよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 「キィヤッホーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーイ!」

 「ひぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 楽しんでいる森野の神経が疑わしい!んでもって小橋よ、女みたいな悲鳴あげんな!

 てか、どんだけ落ちていくんだよおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……!

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