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ドSな俺と、ドMなアイツ  作者: 下弦 鴉
第三章 文化祭は所詮前菜?
92/117

91、腹が減っては戦はできぬ!?



地道に地道に書いていたら、ものすごく長くなってしまったので、前後編にしようかと思いましたが、自分なりに纏め上げた結果、こんなになってしまいましたが、最後まで読んでいただけるとありがたいです……。



 空を切る鋭い刃。鎌鼬のように次々と繰り出されるそれを、なんでもないかのように避ける赤星は、やはり只者ではないように、止まる事を知らない刃を操る狩燐もまた只者ではない訳だ。

 ん?作者視点ぽくないかって?作者じゃない、俺様だこのやろう。久しぶりに出番が来たと思ったら、ナレーションとかふざけてるよな。うんうん。

 つーわけだから、主人公である俺、瀬川慎吾が最上階のモニターより、赤星と狩燐の戦いを伝えてやるよ、感謝しやがれ。

 ん?なんかキレてないかって?気のせいだ、多分。俺は出番が全然なかったから拗ねてたり、女装し始めてから感じる視線が鬱陶しかったり、作者の更新速度が遅すぎる事に怒りを感じてなど断じてない。否、感じるはずがないんだよなぁ。

 まあ、そんな事はトイレットペーパーに丸めて流して。

 短剣の扱いに慣れてる狩燐の攻撃から、赤星がなぜかすり傷一つつけずにいられるのか。んで、短剣の扱いになんで狩燐が慣れてるか、めんどくささ100%で教えてやるよ。


 まず赤星。

 のぉんびりのぉ〜んびりしゃべる事、つかみ所がないのがやつの特徴であるが、それは全くの演技って言うかなんと言うか。まあ、とりあえず、演技で。

 奴は先祖代々護衛役、いわゆる、まぁ、うん、あれだな、うん。水戸黄門で言う介さん角さんみたいな仕事を生業としていたわけだ。何流っていうんだったかな……。剛柳赤星流ごうりゅうあかほしりゅう?鋼の様に固く、柳のようにしなやかに。それがモットーだったはずだ。それの、次期後継者だから、奴は狩燐の短剣も見切れるって訳だ。


 で、狩燐はってーと。

 一言で言う殺し屋。暗殺者の末裔だな。親父さんもその道をちょっとはかじってる。まあ、狩燐ほどじゃねぇけどな。

 狩燐は、じっちゃんから人を一撃で殺す方法、闇に紛れる方法、暗闇の中で生きる術の全てを学んだ、これまた次期後継者だな。赤星の奴よりも、ずっと古くからある家系だから、殺しに関しちゃ奴はプロだね。狩燐の殺り方は独自のものだから、なんとか流だのいう宗派は全くない。それに関しての情報も、その家の中でしか広まらない。まあ、広まっててもおかしくはねぇけど、広まる前に消えるだけだね。


 で、奴らの説明はもうめんどくさいから終わりな。分からなかったら文句を作者に言うように頼む。なぜかって?そりゃあ、面倒臭いからだ。

 赤星は光、狩燐は闇。簡単に言えば、こんなもんさ。光と闇の衝突な訳で、奴らは望まなくてもいつかは戦う宿命だ。あぁ、なんと数奇な人生か。

 なんて言ってみたり。

 俺も詳しくは知ってるわけじゃねぇし、触れてもいない。つーか、触れようとすると目が怖いね。特に狩燐。それでも仲良くしていられんのは俺の心の広さだな。

 おい、心広くねぇだろってツッコんだだろ!どこかだ!へタレ作者よりMよりその他諸々よりは広いだろうが!

 まあ、余談はここまでにして、長かったと思うなツッコムな愚痴るな。じっくり奴らを観察しようじゃねぇか。



                    *



 見てる方からすれば、優位に立っているのは明らかに狩燐だ。そりゃそうだ。狩燐は剣術。赤星は体術。やたらに手を出せば、赤星はあの刃の餌食になるしかない。だから、狩燐の隙ができるまでは、あの鎌鼬をかわし続けることしかできねぇ。

 「そういえば、一つ聞き忘れてた」

 「なぁんだよ」

 「……友達だからって、手を抜きすぎんじゃねぇよ」

 「……」

 冷たい、血の通わない狩燐の言葉。痛いねぇ。直には聞きたくないわ。

 「お前の流派と俺の家系じゃ、相容れることなんてできねぇんだ。それを分かっているはずなのに、お前らは……」

 いつもより余計に狩燐の目が細く鋭く見える。

 「何で今更になって、手を組もうなんて言い出した?」

 「なっ!?」

 焦る赤星に、一瞬だけ隙が生まれる。もちろん、それを狩燐が見逃す訳もなく、無感情な刃が赤星に襲い掛かる。

 「……俺らは光と闇だ。分かち合える事なんて何もねぇんだ」

 「なぁんで、その事を狩燐がCってるんだ?」

 「次期後継者だから。それだけだ」

 あの一瞬の隙で、狩燐は赤星の急所を狙って短剣を振ったが、赤星は頬にかすり傷を一つつけただけでいる。ただし、バランスを崩して尻餅をついてしまったようだな。見下す狩燐の目が冷たいのなんのって。

 ていうか作者よ、血が出てるぞ!大丈夫なのかこれ!?もし、もしもだぞ、万が一に狩燐が赤星をこ、殺そうとしたらどうするんだ!

 (大丈夫、血が流れてるように見えてるだけで、本人は痛いという感覚だけが伝わるようになってるからねぇ)

 そうか、ならいいや……。ってバ鴉!?

 (バ鴉はないんじゃない!?ちゃんと考えてやってるんだよ、これでも!)

 バ鴉も考えるって事ができたのか……。

 (考えますとも!)

 まあ、怪我してはいないってことだな?

 (うん。相手から見て痛々しい格好になったとしても、現実は全くの無傷。ただ精神的にダメージうけるだけ)

 ……精神的ダメージの方が痛くね?

 (この二人と、影薄とMなら平気でしょ)

 あぁ、そうか。この二人は大丈夫か。影薄は影薄なりに影薄ってるし、Mはその存在自体が精神的ダメージの塊だからな。うん、心配点ゼロ。

 つーか前の話で負傷したんじゃなかったのかよ、ちっ。

 (痛かったよ、ものすごく。負傷したけど頑張ってるのよ、鳥なりに。ていうかなぜ舌打ちした!?)

 気のせいだ。

 (いや、気のせいじゃないだろ!?)

 木の精だ。

 (……ごめん、まだ平気じゃないみたいだから、この後任せたよ……)

 おう、あの世でも地獄でも逝って来い。

 (薄情者めがっ)

 二度と現れるなヘタレ作者め。

 「お前らが護った命だけ、消えた命があるのに」

 「……だろうなぁ」

 「なのになんで今更手の組もうなんだ?」

 狩燐は短剣をきつく握る。怒り、憎しみ、憎悪。こんな怖い目をした狩燐を見るのは初めてだ。

 「……俺は何も聞いてなぁいよ」

 「……そんなはずねぇ」

 少し間を空けて、狩燐は大きく深呼吸をする。

 「前、俺の家にお前の師匠が来た」

 「……」

 その言葉に赤星は眉を少しだけひそめて、すぐにまた無表情に戻る。

 「『争いは争いを生むだけだ。もう、いがみ合うのはやめよう。後継者とももう話し合った』と、こっそり聞いた」

 「それぇで?」

 「それをお前は知らないはずがないだろう?なんで知らないなんて言ったんだ」

 狩燐が赤星の首筋に切先を向ける。少しだけ食い込んだそれに、血が伝う。

 「……知らないから、知らないってEったんだ」

 「ウソを言うな。……師匠に何か言われたのか?」

 「……」

 「そうなのか?」

 「……言うなって言われてたのに。仕方ないか」

 「……?」

 む、ん?赤星が標準語でしゃべってる?え、あの変なしゃべり方じゃなくてか!?

 っと、俺は騒ぐところじゃねぇよな。うん、ダメだ、つっこみ魂に火をつけるな。水かとけ水。

 「はっきり言うと、僕らの流派は潰れかけてる。否、消えかけてるとでも言おうか。狩燐の家は代々息子が継いでるからいいものの、こっちはどこの馬の骨とも知らない奴に継いでもらわないといけないときがある。そのせいで、純粋な鋼柳赤星流が薄れ始めた」

 「それと組む事は関係ない」

 「そっちになくても、こっちにはある」

 「目的はなんだんだよ」

 「……」

 「……黙るなよ」

 さらに狩燐が短剣を突きつける。ほぼ赤星は寝転がった状態だ。そして、赤星のしゃべり方に違和感を感じるのは、絶対俺だけじゃない事を信じてる。

 「護りと攻めが手を組めば、より発展に繋がる」

 「……つまり、俺らを利用して、自分達を護ろうってか」

 「そう言われちゃうと、そうとしか言えないね」

 たははと苦笑いする赤星に、狩燐は不満で顔を歪ませる。

 「そのためだけに、あの師匠が来るとは思えない」

 「あはは。狩燐は勘が良すぎて困るよ」

 「……」

 「あれは偵察もかねての訪問だよ」

 「やっぱりか……」

 「消えそうな僕たちを抱え込んでも大丈夫なところかどうか。今の当主の実力はどうか。……次期後継者の育成状況も覗きたかったけど、会わせてもらえなかったらしい」

 「家の門に、お前の師匠が見えた時点で、部屋を出るなと閉じ込められた」

 「あれ?コッソリ聞いてたんじゃないの?」

 「逃げ出すのも戻るのも、暗殺者の末裔としては簡単なことだ」

 狩燐は暗殺者と言って、ちょっとだけ悲しそうな顔をした気がする。

 「まぁ、これくらいしか話すことはない」

 「……」

 「またいずれ……。そうだねぇ、僕らが当主になった時にでも、また話し合いがあるかもぉね」

 徐々に元のしゃべり方に戻るにつれて、赤星の声はフェイドアウトしていった。

 「……俺は、俺らは、お前らと組む気なんてない。今はそう言っておこう。親父と俺の答えは同じだ」

 「いつか考えが変わる日を待つさぁ」

 「そんな日なんて、来る訳―――」


 ぐううぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。


 え。

 「え?」

 モニター越しに、赤星と俺の声が重なる。うん、驚くよね、当たり前に。

 「……腹減った……」

 「えぇ……」

 緊張の糸が途切れたかのように、狩燐は短剣を手放して床にひれ伏す。

 「昼飯が、昼飯が俺を呼んでる」

 「……確かぁに、はらへったぁな」

 「腹が減って力が出ない。よって、戦いは引き分けでよろしく、バ下弦鴉」

 「……どういけぇん」

 (バ下弦鴉じゃない!一言余計なんだよ、お前たちは!)

 「なぁんだ、生きてたのか。ちっ」

 「よくぶGでいられたぁね。ちっ」

 (なぜ舌打ち!?出てきて欲しくないなら呼ぶな!ていうか、なぜ舌打ちされなきゃいけないのさ!)

 「ん?なんかお前見てるとイライラするから」

 「ん〜。なんとぉなぁく、狩燐を真似ただKだから」

 (そんな理由アリ!?)

 「アリだな」

 「アリだぁね」

 (いいよいいよ。どうせ私はバカなんだへタレなんだ腐ってるんだバカなんだ)

 「あぁ、作者。もといバ鴉、負の感情に塗れる前にここから出せヘタレ」

 (ヘタ……!?)

 「飢え死にだけは、したぁくないねぇ。だから頼むよ、腐った鴉」

 (腐った……!?)

 「いいから早く出せ」

 「そして飯よろCく」

 (うん、自分の人生こんなもんだって分かってた。受け止めたけど、前言撤回。もうしらない。出たかったら勝手にして、出口は……)

 鴉が、いや腐ったバ下弦アホ鴉が羽を抜いて、狩燐に渡す。

 「いらねぇよ、汚い」

 (それ使えば外にいけるの!いらなくてももらいなさい!というか、汚いとは何だ!)

 「んじゃ、出るか赤星」

 「だぁな」

 「文化祭といえば、あれだ。焼きそばだ」

 「そうかぁな?」

 「とりあえず、腹減ったから」

 「いつでも話はできるぅしね」

 「よし、腹を満たしに行こう!」

 「おぉー」

 (ちょ、無視した!?もしかして、私無視された!?)

 俺に問うな、バ鴉よ。んでもって、俺も腹減ったんだが。

 (その辺の草でも食べてりゃいいさ)

 草も何も生えてねぇから!

 (んじゃあれだ、ダンボールとか新聞紙食べて見なさい。おいしいらしいから)

 ホームレスなんたらじゃねぇし!

 (じゃああれだよ、冷蔵庫に麦茶と爽健美茶とウーロン茶と十六茶とおーいお茶とごえもん入ってるから、それ飲んで空腹を凌ぎなさい)

 どんだけ飲み物の揃えはいいんだよ!ていうかごえもんってなんだよ!

 (私もお腹減ったなぁ)

 流すな阿呆作者!飯よこせ!

 (うるさい!たまには私にも八つ当たりさせろこのやろう!)

 八つ当たりなら影薄にしろ!もしくは影薄に!

 (結果影薄じゃないか!まあいいけどね!イジりがいあるから!)

 だったらとっとと失せろ!

 (えぇ消えますとも。お前のために買ってきた焼きそばパンなんてなかった事にしますから!)

 ちょっと待った!それはないだろ!飯はおいていけ!

 (いやだね!作者に逆らうとロクな事がないことを知るがいい!!)

 へそ曲がりへタレバカアホ鼻曲がり作者め!

 (鼻曲がってない!真っすぐだボケ!)

 どうでもいい!

 (よくないわ!!)

 ともかく、飯よこせ。

 (……未来永劫孤独に死ねばいい)

 不吉な事言うなっ!

 (じゃ、私も腹減ったからバイ!)

 待てコラ!俺の飯ーーーーーーーーーーーーー!!



 って、こんな戦いの終わり方でいいのか?ありなのか?

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