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ドSな俺と、ドMなアイツ  作者: 下弦 鴉
第一章 彼の周りの不思議人物たち
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8、割れ物注意!?

 今日はやっと、休みの日だ。学校に行かなくていいし、部活もないし、何より森野に会わなくてすむってのは、最高だね。一仕事終えて、やっとタバコが吸える感じ?……よく、分からないですね……。

 「慎ちゃぁん!!お友達よ!」

 友達?小橋?でも、アイツ今、塾の時間だよな。

 じゃあ、誰だ??

 「……まさか……な」

 森野だったらって思ったけど、それはないよな。だって、普通に考えれば、来ないだろ。

 ……でも、アイツは普通じゃないからな。異常だからな、非常識だからな。世の中の普通なんて、通用しない……よな。

 「母さん!!その人、中に―――」

 「入れちゃったけど、何か悪い事でもあった?」

 畜生、一足気付くのが遅かったか。……瀬川慎吾、一生の不覚だ……。

 「ダーリン、休みが明けるの待てなくて、来ちゃったゾ」

 相変わらずむかつく言い方だな。

 なぁにが、来ちゃったゾ、だよ。ハート付けんなって、毎回言ってる気がするぞ。毎回苛立ってる気がするぞ。

 「……ついでに、ついて来てしまったんですが、いいですか?」

 あれ?森野だけじゃないの?誰?この子、誰?

 「あ、ダーリン、紹介するね。同じクラスの、舘山香(たてやま かおる)ちゃんだよ」

 ちゃんだよって言われても、知らねぇんだけど。見た事もないんですけど。

 「て、言う事で」

 「何でそれだけで、一件落着ぅみたいな顔ができんだよ!」

 「え!?どこか至らない所でも!?」

 「ありすぎて困るんですけど」

 「どこか、どう、どういった感じで?」

 「お前の存在全てが謎なんだよ!!」

 「え!?って言う事は、私の謎を解けるのはダーリンだけって事!?」

 「何、嬉しそうな顔してんだよ!」

 「だって、さっちゃんは嬉しいんだぞ」

 「お前は銀○のさっちゃんか!」

 「だって、同じキャラじゃない!!」

 「だからと言って、人様のキャラをパクるでない!!」

 「いいじゃない!!楽しいじゃない!!面白いじゃない、○魂!!」

 「面白いよ、確かに面白い。だけど、それとこれとじゃ、全然関係ねぇんだよ!」

 「あるわ!!SMな感じが!!」

 「全然作品のコンセプト違うから!!」

 もうそれ以上何も言えないように、ぶっ飛ばしてやりました。気持ちは晴れたんですけど、せっかくの休日がこいつに潰されると思うと、かなり悔しいです。

 「ぼ、暴力はいけません!!大丈夫?森野さん」

 「……香ちゃん、これは暴力じゃないのよ。ダーリンの愛のムチなの」

 「愛の、ムチ?」

 「そう。愛情表現が苦手なダーリンが、私に向けて送ってくれる、唯一の愛情なの」

 「お前に誰が愛なんて送るか!慈悲の心だって持ってないぞ!!」

 蹴り飛ばしたら、本棚の角に頭ぶつけて笑ってた。不気味というか、……簡単に言う、キモいってやつですね、はい。

 「や、やめてください!暴力はやっぱり、いけません!」

 「うっせぇな。黙ってろよ」

 「……うう」

 何故に涙目ぇ!?どこがいけなかった?どこが怖かった?何が原因だぁぁ!?

 「とりあえず、今日は帰ってくれない?疲れてるから、休むには、邪魔なんだよね」

 「……うぶぶぅ」

 何故そこで泣く!!?確かに俺、冷たい事言ったよ!?だけど、泣くほどじゃないでしょ!?

 何だよこいつ、小橋並みに繊細だな……。

 「じゃ、邪魔は言いすぎだな。な、とりあえず、今日は帰ってくれないか?」

 「……ううう」

 泣くなってばぁ!!何で泣くの!?どうして泣くの!?何がお前の心を傷つけるの!?

 「……また今度、別の日に着たら、歓迎してやるから、な?今日は帰ってくれよ」

 「ホント!!ダーリン!!」

 「お前は二度と、俺んちの敷地内に入ってくるな!!」

 「イヤよ!!そうなったら、二度と私に会えなくなるわよ!?それでもいいの!?」

 「いいよ!気持ちがスッキリするよ!お前がいると、この地球がどんどん穢れていくよ!!」

 「それでも構わないわ!愛しい人と、一緒にいられるなら……」

 「だから、一緒にいたくねぇんだよ!!俺は!!」

 抱きつこうとしてきた馬鹿を流すと、あいつは見事にベットに頭をぶつけた。

 気持ち悪い。気分も悪い。今日は、一年で、一番最悪な日かも。

 「暴力はいけませんんーーー!」

 「お前に暴力は振るってないだろ!てか、これは暴力じゃなくて、自己防衛だ!!」

 「それでも相手は、女の子ですよぉ」

 「あんなの女のうちにはいらねぇよ、メスだよ。メスブタだよ」

 「メスブタ!?何なの、このいい響きは!!」

 「お前はうっさい!!黙ってろ!!」

 足にすがり付いてきた森野を振り払って、とりあえず避難した。やっぱキモいよ、こいつ。

 「ぼ、暴言もおやめください」

 「だからぁあ!!」

 「……ぬぶうぅ」

 泣くなぁーーーーーーーーーーーー!!

 何この人!何なのこの人!何故にすぐに泣くの!?どうして泣くの!?扱いにくいんですけど!?

 「……ゴ、ゴメン。だから、泣くなってばぁ」

 「……ううう」

 デリケートすぎるよ。小橋を超えたよ、思いっきり。

 割れ物注意って、どっかに貼っとかないと、危ないよ。この人……。

 「その優しい言葉を、私に向けてよ、ダーリン!」

 「ヤだよ、てか、てめぇは帰れよ!」

 「……もしかしてダーリン。香ちゃんに一目惚れ?」

 「違うわボケ!お前がいると、イライラすんだよ、はらわたが煮えくり返るんだよ!!」

 「……許さないわ、許さないわよ、浮気なんて!」

 「浮気してねぇし!お前に気もねぇし!」

 「え!?嘘!!」

 「本当だよ!!誰がお前なんかに惚れるか!!お前に惚れるくらいなら、母さんに惚れるわ!」

 「……マザコン?」

 「違ぇよ、馬鹿!!例えだっつの!!分かれよ、それぐらい分かれよ!!」

 「それは、お母様に失礼なんじゃ……」

 「お前は黙ってろ!!」

 あ!ヤバイ!やってしまった!地雷を踏んだぞ!泣くだろこれ、ヤバイよな、これ!

 「……うぶうぅ」

 やっぱ泣いたよ!!泣いちゃったよ!だから嫌なんだよ、泣き虫は!!嫌いなんだよ、扱いにくいから!!

 「ゴ、ゴメンな。ほら、泣くなよ、な?」

 「……ぬうぶぶぶうぅ」

 変な泣き方だけど、やっぱり割れ物だよ、この人。割れ物注意どころじゃなくて、触るな注意だよ。

 「……あれ?」

 なんか、服についてない?何これ?……ってこれ!?

 「あ!!それダメです!!お母さんが、お守りにってくれたんですぅ」

 「……これ……を?」

 「そうなんですぅ。はがさないでくださいぃ」

 ……割れ物注意って、ホントに貼ってあるし。しかも、それがお守り?……お母さん、分かってるんじゃないですか、娘の事。でも、お守りって……ありですか?

 「……とりあえず、帰ってくれないか?」

 「はい、そうします。ホントにお疲れのようなので……」

 誰のせいだと思ってるんだよ。誰のせいで、こんなに神経使ったと思ってんだよ。

 「アレ?慎ちゃん。お友達、帰ったの?」

 「……もう、疲れたよ、パ○ラッシュ」

 「パト○ッシュ?」

 「……何だか、すごく眠たいんだ……」

 「慎ちゃん、それって寝たら、危ないんじゃない?」

 母さん、皆さん、さようなら。今回は、本当にダメかもしれません。もし、また会う事があったら、二度目の奇跡だと思ってください。もしくは、天国に逝ってからの話だと思ってください。

 本当に、お疲れ様でした。

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