70、夏だ!海だ!温泉だ!? 後編
よっし!ギリギリセーフっ!入学式の前に、投稿完了!
よく頑張った、私。頑張りすぎて、ミスが見つけられなかたよ、私……。
あ、誤字脱字あったら、報告お願いします……。m(_ _)m
……一夜明けて、やっと小橋は帰ってきたけれど、かなり憔悴してる……。一体何をされたのか想像つかねぇけど、ロクな事なかったと思う。
で、今、食事をするために、レストランに来てる。そして、昨日と変わらずに、母さんは言った。
「さあ、今日もはりきって食べましょー」
「べましょー」
「しおこしょー」
まだ違うし……。
無事に食事も終わって、特にする事もなしに部屋へ帰ってきたのは俺と小橋だけ。他は再び海へと意気揚々旅立って行った。
「……」
「……」
存在感ない小橋だけど、しゃべらないと、不気味だな……。
「なぁ」
「なんだ?」
こ、声が暗い!こ、声からして暗い!!
「なんだよ」
「いや、その……大丈夫だったか?」
「何が?」
「あ〜、黒ずくめの人に攫われた後?」
「……聞きたいか?」
「……まあ、あれだ」
「……聞きたいのか?」
「……ちょっとだけ……かじる程度に……お願いしまさぁ……」
「かじる程度で、本当にいいのか!?」
つ、詰め寄ってくるな!こ、怖いんだよ、今の小橋の顔!!必死すぎて、ヤバい事になってるんだよ!!
「……じゃあ、くわえる程度?」
「……同じじゃね?」
「……まあ、よくね?」
「……よくなくね?」
「……別によくね?」
「……ともかくよくなくね?」
「……とりあえず話してくんね?」
「あ、忘れてた」
忘れてたんかい!あの短い間で!?君の記憶力は鶏並!?あ、でも三歩歩いてない……。って、今そんなの関係ねぇし!!
「心して聞けよ」
「おうよ!」
………………………………………………………………。
何故に沈黙!?何この沈黙!?てか、どんだけためるの!?
「言うぞ」
って、まだ言わんのかい!
「……いつでも来い!」
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さっきよりも長くね沈黙!!てかまだ沈黙!?もういいよ!言いたくねぇんだろ!!なら、もう聞かねぇよ!!
「変な暗い部屋に入れられて神経をズタボロにするような悪質非道な言葉を吐かれ続け仕舞いにはみんなで影薄って大合唱された」
って、思ったら、急にスパッと言いやがった!!
「……」
「……俺の昔まで暴きやがってさ。お前の知らないような恥ずかしい事まで言われたんだぞ!でも、イスに座ったまま縛られてたから、逃げられねぇし、耳も塞げねぇんだよ!?それでな―――」
「もういい小橋。辛かったんだな……」
だって、もう目が泣いてるよ?号泣だよ?
「うぅ〜……」
「泣け泣け、小橋」
「ぜが〜〜〜」
ギリギリの台詞だなぁ、おい。てか、『わ』を忘れてるぞ、『わ』を!
ていうか、汚っ!おま、鼻水だらだらやんか!てか、人の服でそれを拭くな!きた、ちょ、きたねぇよ!!突き放すぞ、このヤローーー!!
「痛かったよぉ〜、心の傷、メッチャ痛かったぁ〜」
「……」
「傷を抉られてな、叩き付けられてな、掘られてな、新しい傷を作られたんだよぉ〜」
つまり、弱みを握られた?
「俺は、……俺は、もう生きていけないぃ」
ちょ、待て!その台詞お前が吐くと本物になりそうだからやめろ!てか、積極的にやめろ!!
「……短い間だったけど、楽しかったぜ、瀬川」
え?何々?遺言ですか、それは。
お〜い、ちょっとぉ、どこ行くの?ちょ、お前、どこ行くの!?そっちはベランダだよね?テラスだよね!?ちょ、……待てよ!!
「待てぇぇぇいっ!!」
まさにその時、柵を乗り越えようとしていた小橋を捕まえる!ちょ、待てってばぁ!
「殺せ殺せ!この世界は俺が嫌いなんだろ!そうなんだろ!分かってんだよ、このヤロー!殺したいんならさっさと殺せぇい!!」
自爆行為ぃぃぃぃぃぃぃ!?まだ、大丈夫だよ、平気だから!なんとかなるって!!
「お、お前なら、やり直しが聞くよ!だ、だからさ、死ぬのにはまだ早いって!」
「瀬川、お前って奴は優しいんだな……。でもな、俺は死なねぇといけねぇんだよ?そうなんだろう、神様よぅ!!」
ダ、ダメだぁあ!完全に、もう、完っ全にネガティブ入ってる……。
「はははぁ〜、殺せ殺せ!さっさとサクッと殺せぇい!!」
「おち、落ち着け小橋!お前にまだ見ぬ世界が待ってるよ!お前を温かく見守ってくれる世界が待ってるよ!」
「それ、あの世だろ?」
くっらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!ちょ、どうしたんだよ!?暗すぎにも程があるだろ!?
「あの世だったらさぁ、楽しく人生enjoyできる気がするんだぁ」
人生enjoyする前に、人生終わってるから!!もうピリオド打たれてるから!!てか、なんであえて英語!?
「さあ、逝こうか……」
『いく』の字違うよ!簡単の方の『行く』にしよう!?そして部屋に行こう!!
「と、ともかく、そこまで落ち込むなって。大丈夫だよ、人生どうとでもなる!」
「ならねぇよ。だって、影薄いから」
み、自ら言ったぁぁぁぁぁぁ!?ちょ、あんなに嫌ってたのに、『影薄』という言葉を、あんなに嫌ってたのに、どうしたんだよ!!
「どうせ誰にも気付いてもらえりゃしないさ。俺一人いなくなったって、この世界は変わらない。だって、俺、ただの脇役だから」
そ、そんな寂しい事言うキャラだった!?てか、どんだけこの世界を批判するの!?てか、自分を批判!?
「さあ、今がチャンスだぞ、死神ども!殺したきゃ殺せ!HAHAHA〜!!」
か、完璧なまでに壊れてる……。てか、イカれてる?
「よお、小橋に瀬川。そんな所からひもなしバンジーやると死ぬぞ?」
だ、誰だ!?
「……何?俺、なんかタイミング悪かった?」
……すごく悪いよ、狩燐坊ちゃま……。
「……あ〜、あれだ。風呂誘いに来ただけだからさ。あの、あれだ、うん。何も見なかった事にするよ」
いや、見た事にして!お前の記憶にこいつを残してあげて!!
「狩燐か、じゃあな。俺、お前の事、忘れねぇよ?」
「いや、忘れてくれ。うん」
空気読めぇぇぇぇぇぇぇっ!!空気を読んでくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!
「そっか」
何その寂しげな笑み!?ちょ、死ぬなよ!死のうとするなよ!!
「そだ、瀬川。温泉行こうぜ。貸切にしてあるから」
「何!?」
温泉だと!?この上なく和の空気が漂っているではないか!!
「よし、行こう!」
「……切り替え早くね?さ、小橋も行くぞ?」
「え?」
「えじゃねぇよ。とっとと行くぞ、影薄」
「……え?」
「温泉温泉〜♪」
……あれ?なにか忘れてるような……ま、いいか!忘れるような事だし、どうでもいい事だったんだろう!
*
「てか、なんで貸切?」
「ん?息子の特権?」
「いや、俺に聞くな」
「お前なら答えられるぞ、影薄」
「そうだ、頑張れ」
「いや、無理でしょ!?」
てことで、もう夕方でぇす。え?何時間入ってんだよ?まだ30分だ、このヤロー。
「それにしても、温泉いいわぁ」
「どこのオバハン?」
「オバンじゃない」
「HAHAHA」
「……」
度々ムカつくなぁ、狩燐め……。
「てかさ、何で貸切?」
「それもう、俺が聞いたよ」
「忘れるなよ、影薄」
「薄くねぇ!地味なだけだ!!」
……自分で地味って言っちゃう小橋ってどうよ?……どうでもいい。それが正解。
「はぁ〜、和って最っ高」
「お前、典型的な純日本人だよなぁ」
「何でそこまで和食好きなん?」
「ん〜?美味いから」
「……純粋だぁ」
「……らしいっちゃあ、らしいなぁ」
「西洋がなんだ!東洋がなんだ!」
「いきなりなんだよ」
「戦争でも始めんのか?」
「日本食の良さを、日本人が分からないでどうするんだね!」
「いや、急に聞くなよ」
「右に同じく」
「左だろ、馬鹿」
「右だと瀬川だぞ」
「あれ?」
「アレじゃねぇよ」
「影薄はこれだから……」
「全ての影薄を侮辱する事は許さないぞ!」
「影薄なんて、どれも同じようなもんじゃないか」
「最強のラーメン好き魔人にフルボッコにされる惨めな高校生とかさ、鎌持った危ない人にいじられるのだけがとりえの人とか?」
「それはキョタさんとしんさんの事か!?」
……少しずつ、何かが足りなくね?てか、足りないよね?あり?気のせい?はあ、そうですか。じゃあ、気のせいって事で。
「てか、五月蝿い!」
近くにあった、桶を投げる。至近距離で。
「フドッ!」
「あ、面白そう!俺もやろっと!」
「やめい!!」
で、俺が投げた桶を狩燐が取って、小橋に当てる。
「ふごっ!?」
見事命中。小橋は沈む。……沈む!?
と、思ったら
「何すんじゃ、ぼけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
叫んで、狩燐が投げた桶を俺に向かって投げてくる。ふ、遅いな。
「遅いっ!」
「かわされた!?」
「敵は一人ではない事を忘れたのか、勇者コバッシー!」
……なつかしぃ……。
「何!?」
狩燐がどこからか新しい桶を持ってきて、こば……勇者コバッシーに投げつける。
「卑怯だぞ、魔王カーリン!」
ダ、ダサい!メッサダサい!!カーリンって、コバッシー並に適当だな……。
「HAHAHA。こっちには、勇者セガワーズもいるのだ。お前に勝ち目などないわ!」
「寝返ったか、セガワーズ!!」
「俺!?」
俺もその幼稚な遊びの中に加われってか!?まあ、始めたのは俺だよ?俺だけどさ!!
「HAHAHA!お前みたいな影薄とは、誰が仲間になるか!」
「よくも言ったな、セガワーズ!」
「勇者コバッシー。所詮、お前はその程度なのだよ」
……ヤベ、結構楽しいかも。
「HAHAHA」
か……魔王カーリンと俺がハモる。
「打倒魔王!打倒セガワーズ!」
「主役に勝てると思うなよ、影薄が!」
「作者の気分に流されるがいい、脇役が!」
「俺は、……負けない!!」
……これだけでも、なんか一作できそうじゃね?
「いざ、」
「尋常に、」
「勝負!!」
一人一個、桶を持っている。誰が最初に動くかで、この勝負は、決まる。てか、なんでこんな事で戦ってんだろ?ま、いっか。楽しけりゃ♪
「……」
「……」
「……」
この状況からして、一人の小橋のほうが不利だ。だからといって、魔王カーリンと一斉攻撃しても、避けられてしまえば終わりだ。桶全てをあいつに独占されてしまう危険がある。ここは、小橋が動くのを待っていたほうがいいのか?
「……」
「……」
魔王カーリンと、目配せする。
『お前が投げるか?』
『命中させる自信はある。だが、もし避けられたら、ここで終わりだ』
『いや、誰かが犠牲になれば、その隙にコバッシーを殺れる』
『じゃあ、頼んだぜ、セガワーズ』
『おう、魔王カーリン』
……てか、何で狩燐は魔王なんだ?って、今更か。ははは……。
「勇者コバッシー、覚悟!」
か……魔王カーリンが、小橋に向かって、桶を剛速球で投げる。
「ふふ、遅いのだよ。俺が影薄だと知っての攻撃か?」
「何ぃ!?」
ふ、風呂にこば……コバッシーがいない!?
「影薄影薄と好きなだけ言いおって!俺の逆鱗に触れた事、後悔させてやる!!」
てか、お前はどこ!?どこから話してるの!?
「とうっ!」
仮面○イダー的に、近くに飾りとしてあった大きな岩の上から、コバッシーは飛び降りた。で、こけた。うん、見事にこけた。
「だっ!?」
「……」
「……」
「いっだぁぁぁぁ!!」
あ〜、頭打ってたもんね。そりゃ痛いねぇ……って、そんなんじゃなくて!!
「お前、せっかく俺らを倒すチャンスだったのに、なんて事してんの!?」
「てか、ここ浴場なんだから、あんな高い所からジャンプすれば、すべってこけるっに決まってんだろ!?」
ごもっともだな。
……てか、受験生これ読んでたら、どうすんだよ。不吉な言葉が、もう既に二つも出てるぞ。
「だってさ、カッコよく決めようかと……」
「それがいけねぇんだよ!」
「普通にやれ、普通に!」
「普通にやったって、俺はどうせ影薄じゃないか!」
「あの上にいても、十分影薄だったぞ!」
「どこにいても何をしてても影薄なんだから、普通にしてろよな!」
「……」
「……」
「……」
う〜ん、急に黙る小橋って、ヤバい匂いプンプンするよな?
「……じゃねぇ」
「な、何か?」
「……逃げるか、瀬川」
「……もう、遅いぜ」
「!!」
こ、小橋の目に、炎が燈ってる!?
「そこになおれ!貴様らの腐った根性、この俺、勇者コバッシー様が叩きなおしてくれるわ!!」
「ヤバい……」
「逃げるぞ、瀬川!!」
「待て!……逃がすかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
そして、その日は仁義なきおいかけっこをして終わった。うん、全然休めなかったけど、何か?