69、夏だ!海だ!温泉だ!? 前編
夏といえば、海。海といえば、夏。
と、言う事で、適当なノリで書いちゃってます、すみません……。
「海だぁ!」
「浜辺だぁ!」
「太陽だぁ!」
太陽は元からあるぞ。
こんちわっす。毎度おなじみ、瀬川です。てか、主人公なんだから、おなじみで当然?
え?その前に今のこの状況を説明しろ?しかたないなぁ、説明してやるよ!
〜 数時間前 〜
「ねぇ、慎ちゃん」
「何」
「当たったの」
「何が?」
「旅行券」
「そう。……えっ!?」
「商店街の、ほら、ガラガラやるの、あるじゃない?アレで、一等が当たったの」
ガラガラやる奴はないでしょ、母さん……。
「で?」
「豪華ホテル、2泊3日旅行券、当たったの」
「豪華ホテル?」
「ほら、狩燐君の会社が新しく建てた、ほら、何て言ったかな?」
「それはいいから、何名様ご招待?」
「5名様。でも、俊さんはお仕事で無理でしょ?だから、お友達、誘わない?」
「3人も?」
「お食事も、宿泊料も無料なの。それに、旅行費も無料よ」
「……しゃあない、適当に誘っておくよ」
「有難う、慎ちゃん!」
そーゆー事で、今の状況に至る訳ですよ。場所は、南の島。そうやって、旅行券に書いてあったんだから、仕方ない。だから、南の島をご想像してくれ。で、メンツは、俺と母さん、あの双子ちゃん、小橋。あの双子ちゃんを誘った理由は、また遊びに来てたから。小橋は……なんとなく?
「あんまり奥まで行っちゃダメよぉ」
「はぁい!」
「はぁい!」
「OKです!」
……幼稚園生に、溶け込んでるよ、小橋……。
「慎ちゃんは、海に入らないの?」
「怪我にしみたら、嫌じゃん」
「大丈夫よ、きっと」
「……そういう母さんは、入らねぇの?」
「もう年だから、あんまりはしゃぐと次の日の体力がなくなっちゃうの。だから、みんなのはしゃぐ姿を見てるだけで十分よ」
「……あれ、はしゃいでるのか?」
幼稚園生にいじめられてる、哀れな中学生にしか見えないんだけど……。
「慎吾にぃも、一緒に行こう!」
どこに?
「あっちにね、どーくつがいるの!」
いるじゃなくて、あるだから。
「面白そうだぜ!行こうよ、瀬川!!」
すんません、お前に呼ばれると、ロクな事にならない気がするからいやなんだけど。
「行こうよ!」
「以降よ!」
「行こうぜ!」
お〜い、約一名、間違ってんぞぉ。
「母さんは、ここでパラソル立てとくから、行ってきなさい」
「……じゃあ、行ってくる」
「怪我に気をつけてねぇ!」
……十分気をつけるよ。これ以上怪我すると、あのクソ変態エロ親父が五月蝿いからな……。
「あっちだよ、あっちぃ」
「ほらほら、流行りぃ」
「楽しいなぁ、瀬川!」
……だからさ、約一名、間違えてるってば。
*
「涼しいねぇ」
「ずうずうしいねぇ」
「マイナスイオンを感じるなぁ」
……もういい。もうツッコまない。もう、知らん……。
「何とか言えよぉ、瀬川ぁ」
「気持ちいいな」
「だよなぁ〜。あ゛〜、和むぅ〜」
確かに涼しい。洞窟の中は静かで、波の音しか聞こえない。それに、何故か小さな滝がある。それのおかげで涼しいのかもしれないけど、明らかに人工的……。
「もっと深いのかと思ったけど」
「あんまりふかきょんじゃなかったねぇ」
……ふかきょんって、芸能人のあだ名だよね?
「でも、気持ちいいから問題ないなぁ」
「だねぇ」
「種ぇ」
……種はないだろ、種は。
「……冒険できなかったから」
「……そろそろどもる?」
順番が違うよぉ、どもるじゃ他の言葉になっちゃうぞぉ。
「そうだな、戻るか。腹も減ったし」
「もどろー!」
「しどろもどろー!」
……もう、いいよ。
*
「あら、早かったのね」
「あんまりねぇ」
「面白くなかったんだよぉ」
「そうなの?」
「でもねぇ」
「ずうずうしいの!」
「そうだったの。よかったわねぇ、涼めて」
「うん!」
「うん!」
あ〜、和やかに一家団欒?でも、その前に、よく夏藍の言葉が通じるなぁ、母さん。
「なぁ、瀬川」
「何だ、いじめられっこ」
「不名誉な呼び方すんなよ」
「いいだろ、人の好きにやらせろ」
「お前の好きにさせると、一部の人が滅ぶ」
「気のせいだ」
「だといいな……って、俺が言いたいのはそういうんじゃなくて」
「何だ」
「腹減った」
「そういえば、そんな事言ってたな」
「だからさ」
「戻るか、ホテルに」
「おう!」
嬉しそうに笑うねぇ。どんだけ空腹?そこまで俺は、腹減ってねぇけど、もう一時だし、飯にはちょうどいいんじゃね?
「ねぇ、おばさん」
「なぁに、夏鈴ちゃん」
「おなか空いたの」
「私も」
「じゃあ、お昼食べに、もどろっか」
「うん!」
「ぬう!」
……なんか、ちがくね?
「お兄さん方もいいかな?」
「いいともぉ!」
……ハイテンションだなぁ、小橋……。いつもこのテンションでいたら、きっといじられる事はないだろうに……。哀れなり、影薄。
「早く行くわよ、慎ちゃん!」
「早くぅ」
「はばたくぅ」
「先行っちまうぞぉ!」
「え、あ、ちょっと待てよ!!」
いつの間に、パラソル片付け終わってるんですか!?いつの間に、そんなに離れた所にいるんですか!?
「すっごぉい!」
「ストラァイク!」
「スッゲェ!」
「……あんまりさわいじゃダメよ?他の人に迷惑だからね」
「はぁい」
「はぁい」
「はい!」
……。素直な奴らはいいとして、ストライクはないでしょ?どこの草野球チーム所属ですか?
「……好きな所に座っていいのかしらね?」
「かしらね?」
「頭ね?」
……ずれてるって。
「どうなのかしらね」
小橋!?おま、お前はそういうキャラだったのか!?
「ちょ、瀬川。何で俺を避けるんだよ」
「いや、お前がまさか、おねぇ系だと思ってなかったからさ……」
「今のはノリだよ、ノリ!だから、そんなに避けなくても」
半径1メートル以内に近付きたくねぇな。
「こういう場所、初めてだから、困っちゃったわね」
「たわね」
「束ね」
……違うってば。
「どうしましょうか?」
いい加減、キモいぞ小橋。……あ、元からか。
「……あれ?瀬川達じゃん」
「あら」
「あら?」
「粗?」
……かすってるけど、違うよ。
「あれ、狩燐じゃん」
「よ」
「『よ』じゃなくて、何でお前がここに?」
「親父に攫われたから」
「攫われたって……」
「聡佑ぇぇぇぇぇぇ!」
「うげっ。ちょ、背中借りるぞ、小橋」
「え?な、なに?」
「あれ、狩燐は?」
「小橋の後ろにいるが?」
「あ、いたいた。親父さんが叫んでるけど、いいのか?」
「こっち来たら、適当に追い払ってくれ」
「分かった」
で、疾走している狩燐の親父さんは、猛烈なスピードで、こちらに突っ込んできた。
「母さん、あの人に聞けば、何か分かるよ」
「そうなの?じゃあ、聞いてみるわね」
怯えてる双子ちゃんを従えて、目の前に来た狩燐の親父さんと向き合う。
「あの、こういう場所は初めてなので、よく分からない事だらけなんですが」
「え?あ、じゃあ、あそこの業務員に聞いてください。私は愛しの一人息子を探しているので」
「愛しのだってよ」
「お前も言われてるだろが」
「ちょっと、いいかい?」
「な、なにか?」
目の前にはかなり怖い顔をしたおっさん。この人が、狩燐の親父さんです。
「君の後ろあたりから、聡佑の声が聞こえた気がするんだが?」
「ソウスケ?誰ですか、それ?」
「とぼけても無駄だよ、瀬川君。君の事はリサーチ済みさ」
リサーチって、何してんだよ……。
「私は、あの子の周りの者には、常に目を光らせているからね。はっはっはっ」
いや、豪快に笑われても困るって言うか、ほら、双子ちゃん、泣きそうだし……。
「で、ちょっといいかな?」
「なんです?」
「聡佑をどこへやった!?」
「何で俺ぇぇぇぇ!?」
無関係な顔をして、あらぬ方向を向いていた小橋が奇声をあげた。つまり、逃げようとしてた。
「……」
「……な、なんですか?」
「君が、小橋君かい?情報通りに影が薄い」
「失礼な!」
「そっちこそ失礼な!」
「どこらへんが失礼な!」
「聡佑を誘拐しようなど、百億万光年も早いのだ!」
「どんだけ!?てか、誘拐なんて、とんでもない!―――うえぃ!?」
胸倉をつかまれて、遥か高くへ……。
「おい、お前たち、こいつを連れて行け」
「はっ!」
で、黒い人達が小橋連れて、どこかへ行きました……。ご愁傷様、小橋……。あの世で会おうな……。
「瀬川、どうなってんの?」
テーブルの下に隠れてる狩燐に聞かれた。
「小橋が誘拐された」
「殺されないように、説得しとくよ」
「で、瀬川君」
「はい!?な、なんでしょう?」
「聡佑は、どこへ行った?」
「か、狩燐は、あっちの方へ、行ったかなぁ……?」
「そんなあいまいな答えは聞いていないのだよ」
脅し!?これは、脅しですか!?ナイフがちらついているんですけど!?
「あのぉ」
母さん!この人に近付いちゃダメ!危ないよ、かなり危ないよ!!
「まだ何か?」
「慎ちゃんは嘘をつきません」
「は?」
「なので、返していただきます」
強引に腕を引っ張られて、拷問から解放された。……あ゛〜、怖かったぁ。
「おたくのお子さん、貴方の事が嫌いなんじゃなくって?」
「なっ……!」
「子供に逃げられる親なんて、親じゃありません!教育方針を変えたらどうです!?」
……そ、そんな挑発的な言葉……、後が怖いよ。
「……」
「行きますよ、夏鈴ちゃん夏藍ちゃん、それに、慎ちゃんも!」
「は、はい!」
い、今だけ、母さんの方が、怖いです……。
えっと、明日、入学式で、今度から更新が遅れると思いますが、どうかご了承ください。
家から高校まで、結構遠くて、書くのも遅いので、謝っておきます。すみません……。
ですが、これからもよろしくお願いいたします。