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ドSな俺と、ドMなアイツ  作者: 下弦 鴉
第二章 愉快な夏休みの過ごし方
69/117

68、ほのぼのなのか!?



う〜ん、ほのぼのした感じのものを書こうとしたら、結果、こういう風になってしまいました。

ほのぼの、してないなぁ……。


 暇だ。今こそ、暇だ。真実の暇だ。意味分かんないけど、暇だ。ともかく、暇だ。

 「……暇だぁ……」

 夏休みの宿題は終わったし、部屋の掃除は(自分で言うのもなんだけど)完璧だし、家でやる事はすべて終わらせたし。あ゛〜、暇っ!

 クソジジイは仕事にやっと戻ったし、母さんはまた『セール』という言葉に負けてどこか言ったし、弟とか妹とか、兄とか姉とか、そういうのいないから、暇だ。ああ、一人っ子だという事を、今だけ呪うよ。だぁ〜、暇っ!

 「どっか遊びに行こうかなぁ……」

 でもなぁ、こんな暑い日に出かけたくないし、面倒臭いし、怪我治ったけど歩くと痛いしなぁ。……おい、そこ。弱虫とか言うなよ。真面目に痛いんだからな。はぁ〜、暇っ!


 ピーーーーーーッポン!


 ……何か、変なチャイムの音が聞こえたような……。


 ピーーーンポーンッ!


 ……普通のチャイムっぽいけど、なんか長くね?


 ピンポーン!


 ……普通すぎてつまらんな。誰だ。

 「森野ですけどぉ」

 ……無視決定だな。

 「夏鈴だよ。夏藍もいるよ」

 ……無視すると泣きそうだな。

 「小橋だぜぇ」

 無視だな。

 「開けてよぉ、いるのは分かってるんだぞぉ、ダーリン」

 誰が開けるか。居留守してやる、居留守。

 「お邪魔しますよ」

 いや、鍵かけてあるから、入れねぇよ。……って、夏藍が言ったのか?なら、何かと間違えたはずだ。

 「親友の俺だけでも入れてくれよぉ」

 誰がお前の親友だ。お前はまだ、友達のレベルだぞ。てか、一人だけ抜け駆けしようってのか。

 よし、小橋以外、入れてやるか。あ、でも、森野は入れたくねぇなぁ。

 「……」

 「ダーリン―――だっ!」

 ドアの間近に立ってたようで、見事に激突。打ち所が悪かったようで、倒れたけど、森野なら大丈夫だよな、うんうん。……俺のせいじゃねぇぞ?アイツがいけないんだ、アイツが。

 「慎吾にぃだぁ」

 「シンドリーだぁ」

 シンドリーって誰だよ。てか、いい加減、俺の名前を覚えようぜ。

 「遊びに来たの」

 「足見に来たの」

 ……どっちが真実?

 「あ〜……、お母さんは?」

 「せーるって言うところに行ったぁ」

 「ばーげんって言うところに行ったぁ」

 ……どっちが事実!?

 「違うよ、夏藍ちゃん。せーるだよ」

 「そうだっけ?せーらーだっけ?」

 違うから、セールだよ、セール。

 「よう、瀬川。足の具合は―――」

 「あ゛〜、ともかく、上がれ」

 「お邪魔しまぁす!」

 「おしゃれしまぁす!」

 おしゃれはしなくていいぞ、夏藍。

 「お〜い」

 さて、麦茶でも出してやるか。

 「おい、無視か?」

 ……せんべいあったかな?

 「聞えてますか?」

 ……あ、饅頭があったか。

 「無視なんですか!?」

 そうだ、アイスの方が喜びそうだな。

 「スルーしてるよね!?」

 よし、そうしよう。

 「その扉を閉めないでぇ!!」

 「……あれ?小橋。お前もいたのか」

 「気づいてただろ」

 「何に?」

 「俺の存在―――閉めるなって!」

 「……ちっ」

 「おい!今舌打ちしたべ!」

 どこの方言だよ。

 「……ぺっ」

 「つばを吐くな!―――閉めるなっての!」

 「うるせぇな。お前は呼んでねぇんだよ」

 「あの子達と、この伸びてる人だって、呼ばれてねぇだろ!?」

 「お前は呼ばないと来ちゃいけねぇんだよ」

 「なんだよそれ!」

 「世界の法則」

 「そんな法則、俺が打ち砕いて―――閉めるなぁ!!」

 ちっ、また失敗か。

 「なんだそのあからさまに悔しそうな顔は!俺を家に入れたくないってか!」

 「そうだよ」

 「即答かよ!迷う事無く答えるな、おい!―――って、閉めるな!!」

 「んだよ、お前に用ねぇんだ。帰れ」

 「いや、俺はお前のみ―――閉めるなってば!」

 「んだよ、しつこいぞ、ストーカー」

 「俺はストーカーじゃないから!ストーカーこっちだから!」

 「お前も十分ストーカーだ。すみまっせぇぇぇん!!変な人が襲ってきます!!」

 「ちょ、お前―――!」

 「でも、足怪我してるから逃げられないよぉぉぉ!!誰かぁ、たすけ―――」

 「変な事叫ぶな!!ご近所さんに、迷惑だ!!」

 「ふごふふふ」

 口を塞ぐな。息が出来ない。

 「てか、そんな見事な棒読みで、助けに来る人なんか―――!!」

 「どうした!?」

 ……いましたねぇ。あ、この人お隣さんです。名も無き、お隣さんです。

 「どうしたんだい?何があったんだい!?」

 「いえ、あ〜、劇の練習なんですぅ。気にしないでください」

 「そうか。じゃあな」

 「……」

 「……来たじゃん」

 「お前が誤解を招くような事をするからだろ!!」

 「慎吾にぃ、のどかわいたぁ」

 「はいはい」

 「わっちもぉ」

 「……はいはい」

 「俺もぉ」

 「さあ、こんな変態さん見てないで、中に入ろうか」

 「変態さんとは何だ!」

 「うるせぇな。黙れ、影薄」

 「影薄言うな!そこらへんの奴よりは、多く出番があるぞ!!」

 「……」

 「無言で閉めるな!せめて何か言え!!」

 「消えろ。じゃ」

 「消えろって何だよ!じゃって何だよ!」

 「そのままそのとおりだ」

 「意味わからねぇから!ともかく―――閉めるなぁぁぁ!!」

 「五月蝿い!ご近所に迷惑だろうがっ!!」

 とりあえず、鼻狙いでグーパンチ。一回、人の鼻へし折ってみたかったんだぁ♪HAHAHA。

 「鼻が……鼻がぁぁぁぁ」

 「……じゃ」

 小橋はほっといても、生き残るよな。地獄からも帰ってきそうだもん。



                     *



 「おいしぃ」

 「おいかわぁ」

 おいかわって魚だよ?それを分かって言ってるのか、夏藍よ。

 とりあえず、リビングで遊んでた双子ちゃんに、アイスをあげた。チョコとストロベリーの。えっと、確か、チョコ持ってるのが夏鈴で、ストロベリー持ってるのが夏藍。

 「おいしねぇ、夏藍ちゃん」

 「おかしいねぇ、夏鈴ちゃん」

 何がおかしいの?何が面白いの!?

 「慎吾にぃは、たべないのぉ?」

 「のぉ?」

 「俺はいい」

 もう食べたし。一日にそんな何個もアイスはいらん。和食だったら、いつでもどうぞ。

 「これ食べ終わったら、あそぼ」

 「明日」

 ……今日遊ぶんなじゃなくて、明日遊ぶのか?ただ単に、夏藍の間違いなのか?

 「今日遊ぶんだよ」

 「キョタ遊ぶんだよ」

 キョタって何?植物?人?地球外生物?てか、『今日』がどうなったら、キョタになるの!?

 「……」

 それにしても、幸せそうに食べるなぁ。

 「……ねぇ、誰かお庭にいるよ?」

 「……兵隊さん?」

 庭に兵隊って、何の特訓中!?てか、瀬川家に兵隊来たら、一大事だから!!

 ……ん?ちょっと待てよ。兵隊さんと間違いそうなのって……あいつか?

 「……やっぱりか」

 庭にいたのは予想通り、まあオマケ付だけど、影薄がいた。しかも、森野と変な事やってる。

 「何やってるのかな?」

 「何死体のかな?」

 おい、不吉な事言うな、夏藍。まだ死んでねぇから、生きてるから、あの馬鹿達。

 えっと、状況を説明すると、じゃんけんしてるのはいいんだけど、かなり白熱してる。あいこが何回も続いているようで、目が血走ってるし。てか、拳に力を入れすぎだ。

 「危ない人?」

 「ハブない人?」

 ハブない人って何?『ハブ持ってない人』の略?ハブない人って。てか、普通にハブは持ってないから。持たないから。

 「ねぇ、危ない人?」

 「ねぇ、胡坐かき?」

 胡坐かき?胡坐かきたいのか?ならご自由にどうぞ。

 「危ない人達だから、無視してな」

 「でも、気になるよ」

 「でも、木になるよ」

 何が!?あいつらが木になるの!?

 「……じゃあ、和室に行こう。あそこは庭が見えないからさ」

 「うん!」

 「うぬ!」

 だから、うぬはないだろ?どこの偉そうな大名?



 で、双子達を和室に非難させてから、庭に近い、一番大きなガラス窓を開ける。

 「あいこでしょ!」

 「あいこでしょ!!」

 ……どんだけやってたんだろ。庭の草がしおれてる……。

 「おい、そこの馬鹿共。人様の庭で、何やってんだよ」

 「ダーリン!」

 「瀬川!」

 「……」

 決着、ついたな。

 「あっ!買った!買ったわ!!」

 何を!?何を買ったんだよ!勝ったの間違いだろ!!

 「何!?この俺がまけただと!?」

 お前も発音違うから。まけたじゃなくて、負けただろ?分かりにくい間違いすんな。

 「ところでダーリン」

 「ダーリンじゃない」

 「いいじゃない、恋人同士なんだから」

 「小橋、こいつどこかで頭売ったか?」

 「売ってないわ!せめて、撃ったと間違えて!」

 「両方違うだろ、バカップル」

 「お前に馬鹿と呼ばれたくない。しかも、俺はこいつの彼氏じゃないぞ、影薄」

 「貴方に言われても、嬉しくないのよ、影薄ラー君?」

 「俺はそんな不名誉な―――」

 「さあ、ダーリン。誓いのキスを」

 「うるせぇな、てか、なんだよ誓いのキスって」

 「じゃあ、普通のキスでいいわ」

 「お前にする事は、何もねぇ」

 「え!?」

 「何故にそうあからさまに驚く」

 「てか、人の話を聞けよ、お前ら!!」

 「黙れ、影薄。お前と話すような事はないんだよ!」

 「五月蝿いわ、薄ラー。貴方とは話してないの!」

 「揃いも揃って毒舌か、コラ!!」

 「悪いか、こら」

 「悪かったわね、こら」

 「てか、話の内容、何?」

 「……」

 「……」

 「何故に黙る!?」

 「……いや、そのぉ……」

 「なんていうか、……な?」

 「俺に聞くな」

 「……」

 「……」

 「用がないなら、さっさと帰れ。そして、二度と俺の前に姿を表すな!」

 「それは嫌!」

 「俺もヤダ!」

 「消えろ」

 「嫌よ」

 「失せろ」

 「俺だけ違う!?」

 「ともかく、消えねぇと」

 「何?」

 「何してくれるの?」

 「ミンチにして、人間ハンバーグ作ってみる?」

 「……帰ろっか、影薄君」

 「……影薄君じゃないけど、帰るか毒舌女」

 「待てよ」

 「ごまんなさい!」

 「ごめんください!」

 2人とも言葉が違う!ごめんなさいだろ、ごめんなさい!夏藍に影響されたか!?

 ともかく、邪魔な二人は追い払えたんだ、よしとするかな。



                      *



 「……ありゃりゃぁ〜」

 これまた幸せそうに寝てるなぁ。微笑ましいよ、この平和さが。

 「ぬふふ〜〜〜」

 「くふふ〜〜〜」

 ……何か怪しい言葉を発しているような気がするけど、起こすのは可哀相だよな。そだ、風ひくといけねぇから、タオルケットでも掛けてやらねぇと。

 「ふぁあ〜〜」

 俺も、寝ようかな?ああ〜、ねみぃ……。



 「ただいまぁ、慎ちゃん」

 あら?返事がないわね?どうしたのかしら?

 あら、読者の皆さん、こんにちは。あの、慎ちゃん、どこに行ったか知りません?……和室、ですか。涼村さんの所の夏鈴ちゃんと夏藍ちゃんと一緒なんですか?

 「……まあ」

 幸せそうに寝てるわねぇ。母さんも混ざりたいわぁ。タオルケットに包まった双子ちゃんと、寄り添うように寝てる慎ちゃん。微笑ましいわねぇ。慎ちゃんは一人っ子だから、妹達が出来たみたいねぇ、うふふ。

 「そっとしておいてあげましょうか」

 慎ちゃんにもタオルケットを掛けて、私は夕飯の献立をたてる事にしますわ。



暑い日に暇だと、なんかうつになりそうになりませんか?

まあ、どうでもいいんですけど……。

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