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ドSな俺と、ドMなアイツ  作者: 下弦 鴉
第二章 愉快な夏休みの過ごし方
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66、心配性の変態親父!?



久しぶりに、あの変態さん登場でぇす。

 「ただい―――」

 「慎吾ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 飛び掛ってくる変態をしゃがんでかわす。

 「おわっ」

 狩燐も同じようにかわす。あ、狩燐はバック持ってきてくれてます。

 その結果、あのアホストーカーは、ドアにダイレクトアタック。ああ、ドアが可哀相……。

 「お帰り、慎ちゃん」

 「ただいま、母さん」

 あの馬鹿クソ変態親父のせいで、途中までしか言えなかった台詞を言う。

 「えっと、……あの」

 らしくねぇなぁ。狩燐が戸惑ってみろ、なんか恐ろしい。

 「こんばんは、狩燐君。あ、ちょっと待っててね」

 「……」

 「どした?」

 「なんか、謝る隙を与えてくれねぇなぁと思って」

 「電話で謝ったんなら、それだけでいいんじゃねぇの?」

 「慎吾っ、慎吾!お前の美脚がぁぁぁ……」

 「うるせぇな、変態。しばらく黙ってろ」

 いい大人が号泣って……しかも、美脚ってなんだ。

 「……容赦ねぇな」

 「お前もだろ」

 「俺は手加減してるぞ?」

 「あそ」

 「おまたせぇ。はい、これ」

 狩燐に何か渡す母さん……。そ、それは!!

 「……何これ」

 思うよな、そう思うよな!なんたってそれは、ミッチャルさんのお土産だもの!

 「母さん、何渡してんだよ」

 「お菓子がなかったから、これでいいかなあって」

 そんな適当な理由で、悪魔を呼び出す儀式に使うような仮面を渡しますか!?あ、この怪しい仮面の正体を忘れた方は、10話目を読んでみてくださぁい。

 ていうか、その仮面とってあったんだ……。

 「……一応、もらっておきます」

 「あ、バック重かったでしょ?有難うね、狩燐君」

 「いえ。じゃあ、車待たせてるんで……!!」

 「帰らせん……帰らせんぞ!今夜はみっち―――がはぁっ!?」

 飛び蹴り。実の親に、本気で飛び蹴り。松葉杖を軸にして、怪我してない方の足でやれば、簡単簡単♪

 「じゃあな、狩燐」

 「おう、またな」

 で、狩燐は帰って……。

 「!?」

 「帰らせん……私の大切な、大切なBABYを傷付けた貴様を、帰らせるかぁ……」

 その前に、狩燐の足からその汚ねぇ手を放してやれ。そして、BABYと呼ぶな。

 「……すみませんでした」

 謝らなくてもいいのに、狩燐。

 「土下座しろ!」

 お前がな!!てか、

 「いい加減に……しろやぁぁぁぁ!!」

 「い゛っだあ!?」

 渾身の一撃、松葉杖で、弁慶にダイレクトアタック。クリティカルヒットだったようで、足を抱えてもだえてます♪HAHAHA、ざまあねぇなぁ……。

 「……俺、帰っていいんだよな」

 「ああ」

 「……仮面、持って帰るんだよな」

 「頼むわ」

 「……俺、ホントに帰っていいんだよな」

 「もち」

 「……じゃあな。お邪魔しました、おばさん」

 「はい、じゃあねぇ」

 おっとり手ぇ振ってるけどさ、母さん。お前の夫はこのまま放っておいていいのかい?

 「……慎吾ぉ……」

 キモいな。鼻でもへし折ってやろうか。

 「怪我、大丈夫?」

 「あ?……大丈夫だよ」

 危ない危ない。害のない母さんにも冷たく当たりそうだった……。

 「そう、よかったわ。怪我したって聞いた時、母さんびっくりしちゃった」

 「そ。でさ、ここで話さないで、せめてリビングとか行かない?」

 「ああ、そうね。俊さん、そんなところで寝てると、風邪引きますよ」

 そこで眠らしたの、俺だけどね。

 「慎吾ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 「のわっ!」

 ヤバい!反応が遅れた!それよりも、

 「いっでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっぇぇぇぇぇ!!」

 足!足、足!足ぃぃぃぃぃぃぃ!!踏んでる!踏みつけてる!!潰されてる!!

 「慎吾!どうしたんだ!!」

 「……お前なんて、死んじまえ!!」

 顔面にグーパンチ!!容赦なしに。親父が吹っ飛んでくれたおかげで、潰されてた足が救われた。……あ〜、痛かった……。

 「パパになんて事するんだ、慎吾!」

 「お前こそ息子に向かって何すんだよ!」

 「感動の再会を、心から喜んだだけさ!」

 「怪我した足を悪化させるような事しやがって、許さねぇぞ!」

 「何!?あの子か、あの子がいけないんだな!」

 「狩燐は関係ねぇから!」

 「今からパパ、ちょっと行ってくる!」

 「地獄に逝け、地獄に!」

 「パパはなぁ、パパはなぁ、……グスン」

 だから、その厳つい顔で、その泣き方はやめろって言ったじゃねぇかよ!気持ち悪いんだよ!気分が悪くなるんだよ!!

 「ほらほら、慎ちゃんも俊さんも、そんな所で話してないで、こっちにいらっしゃいな」

 「麻理ぃ」

 「……」

 あの番犬ケロベロスめ。一体幾つになったら、子離れしてくれるんだ。



 「慎吾」

 「……なんだよ」

 「慎吾ぉ」

 「……なんだって」

 「慎吾」

 「……るせぇなぁ」

 「慎吾」

 「……」

 「慎吾ぉぉぉぉ!!」

 「近寄るな、変態親父!!」

 松葉杖で、変態の顔面を強打。これやるの、何回目やら……はぁ。

 「ほら、俊さん。慎ちゃんが嫌がってるでしょ?」

 「嫌がってないよ、麻理」

 ……かなり嫌いなんだけど。嫌がってるどころじゃないんだけど。

 「でも、慎ちゃん疲れてるんだから」

 「そうなのか!?そうなのか、慎吾!」

 「まあ、疲れてるっちゃあ、疲れてるんじゃね」

 「ならパパが―――」

 「今日はもう寝るわ。おやすみ、母さん」

 「おやすみぃ」

 「パパには言ってくれないのか!?」

 「……何を」

 「パパには、パパには『おやすみ』を言ってくれないのかい!」

 「永遠におやすみ」

 「それはずっと一緒にいてくれるって事か!?一人暮らしとか、そういう悲しい事はしないでいてくれるって事か!?」

 一人暮らしが悲しいって……。それ、お前の事だろ、変態。

 「死んでくれって事かな、じゃ」

 「そんな悲しい事言わないで、もうちょっとパパと一緒にいてくれぇ!!」

 「ヤダね。俺は寝るんだ」

 「添い寝してあげるから!」

 「もっとヤダ」

 「子守唄歌うよ!」

 「お前のは子守唄っていうか、地獄の賛美歌じゃねぇか」

 子供に聞かせちゃいけない歌声だぞ。危ない電波飛ばしてるぞ。それを聞いて俺は育っちまったから、こんな人間になっちまったんだよ、クソジジイ。

 「慎吾が歌ってくれるなら、天国の賛美歌だ!」

 「歌わせるつもりだったのかよ」

 「お前が居ないと寂しいんだよ、悲しいんだよ」

 「キモい」

 「慎吾!」

 「!!」

 だから、その厳つい顔で、急に叫ぶな!心臓に悪い!てか、急に真面目な顔になるな!!

 「実の親に向かって、キモいとはなんだ!パパかダディーと呼びなさいと、会う度に言っているだろう!」

 パパかパピーの間違いだぞ。ま、どっちにしろ呼ぶ気はねぇけど。

 「返事は!」

 「ヤダ」

 「せめてさ、パパと、パパと呼んでくれ!」

 「バーカパパ」

 「それは、バー○パパの間違いじゃないか!?」

 「気にするな、ハゲるぞ。もう30後半なんだから」

 「まだきてない!まだきてないから大丈夫なんだよ!」

 「そう油断してると、いつからか始まってるぞ?ハゲは気付かぬうちに始まるもんだ。……ホラ、もうすぐそこに……」

 「させるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 いもしない敵と戦うために、席を立ったのはいいけど、勢いあまってすっこけるのはやめてくれ。情けなくなるから、惨めになるから。

 「……」

 これ、チャンスじゃね?逃げるチャンスじゃね?

 「どさくさに紛れて、どこへ行くんだ、My Baby!!」

 「ベビーじゃねぇよ。……てか、ホントに寝させてくれよ」

 もう、ホントに頭くらくらするんだよ。一人でさえウザい変態親父が3人くらい見えるんだよ。

 「じゃあ、パパも……」

 「来るな」

 「なんで!?」

 「来るな」

 「いいじゃないか!」

 「来るな」

 「歯を磨くだけかもしれないぞ!?」

 「来るな」

 「じゃあ、せめて、部屋の前まで」

 「来るな」

 「階段のあたりまで」

 「来る―――」

 「慎吾ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 叫ぶな、五月蝿い。

 「大丈夫か!?大丈夫なのか!?」

 えっと、状況を説明すると、めまいがして倒れそうになっただけなのに、抱き上げられてしまった、瀬川慎吾13歳です。てか、軽々と持ち上げられると、ちょっと悲しいぞ……。

 「ダイジョブだからさ、降ろしてくれない?」

 「いや、ダメだ!立っちゃダメだ!」

 「何故に」

 「これ以上お前の美脚が、お前の美肌が傷つくのを見とうない!」

 だから美脚ってなんだよ。てか、美肌って増えてるし。そこまで綺麗じゃねぇだろ、俺の肌。てか、どうでもいい!

 「降ろせ」

 「このままベッドまで運ぶから、安心しなさい」

 ……親父だと、安心できねぇんだけど。

 「あらら、どうしたの?」

 「私の大切な慎吾が、倒れ掛かったのだよ、麻理!」

 「あら、じゃ早く寝かせてあげないと」

 「じゃあ、慎吾を部屋まで運んでくるよ」

 「落としたりしないようにしてあげてくださいね。あと、慎ちゃん、ちゃんと寝させてあげてくださいね」

 ……一人で歩けるのに。てか、この人が俺の部屋まで来るの、すっごい嫌なんだけど。


 で、無駄に抵抗してみたものの、無駄な抵抗だったので、そのまま部屋まで運ばれてしまいまして、地獄の賛美歌を何十年ぶりに聞かされました……。




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