63、肝試しスタート!?
スタートと言っても、あんまり始まってなかったりして……。
作者に呼ばれて食堂に来たものの、とうの作者はいなかった。で、小橋からの情報によると、今夜、何故か今夜、怪我している俺も含めて肝試しをするらしい。
「で、何で肝試しなんだよ」
「ノリらしい」
「ノリらしいよ」
「フフ、ノリらしいわね」
「ノリって作者が言ってたからな」
……あのボケ作者、何考えてやがるんだよ。てか、なんで松葉杖つきながらも肝試しに参加せにゃならんのだ。
「……」
相変わらず森野は暗いし。てか、あの馬鹿作者はどこ行った。
(おまたせぇ☆ 待ったぁ?)
「何時間待たせりゃ気がすむんだ、馬鹿」
「かなり待ったぞ、アホ」
「退屈で立ったまま寝そうだったじゃない、マヌケ」
「フフ、主催者が遅刻なんて考えられないわ、ドジ」
「俺を影薄影薄けなすから、天罰が下ったんだ、天然」
「……」
(揃いも揃って酷いな!それなりに準備、大変だったんだぞ!)
「てか、なんで怪我人まで連れて来る必要があんだよ」
(ご愛嬌で)
「許さんぞ」
(まあ、そう怒らんで)
「そうだぞ瀬川。じゃないとまた外野から『ハゲる』とか言われるぞ?」
「俺はハゲてねぇよ!てか、ハゲねぇっての!!」
「ともかく、肝試しにルールとかあるの?」
(2人一組になって、屋敷内を回ってもらいます)
「フフ、その時に何かしたりしなくていいのね?」
(これから説明する場所に言った時に、そこにあるカードに書かれた事をやってもらいます)
「カード?」
(う〜ん、例えば……おい、影薄。ちょっと来い)
「何で命令形!?」
(いいから、来いっつってんだろ)
……何か、小橋に対して性格ちがくね?
「なんだよ」
(例えば、こうして私とこいつがペアになったとして、カードを引いたとする)
馬鹿作者が、どこからかカードを持ってきて、それをみんなに見せる。真っ黒のカードには、下弦の月の模様がある。作者曰く、お手製だそうだ。
で、それを裏返すと、何か書かれていた。
『ペアの片方が、相手を平手打ちする♪』
……最後の『♪』はなんだ!?楽しんでする事じゃねぇだろ、平手打ち!
(こう書かれたとしたら、……せいや!)
「なっ!!」
問答無用で、下弦にはたかれる小橋……ドンマイ。
「何すんだよ!いてぇだろ!?」
(すると、カードはこうやって消える)
作者の言うとおり、そこにはカードはなかった。
(で、カードが消えると、次への道は開かれるからね。やらないと、永遠にそこの部屋から出られない)
「何!?」
(何か問題でもありますかな?)
「例えどんなに嫌な事でも、やらないと出れないって事?」
(もち)
「じゃさ、やらないで朝まで待ってても出れないのか?」
(出れないよ。やり遂げるまで)
「フフ、もし永遠にやりたくない事だったら?」
(永遠にそのまま、白骨化していただくまでです)
「残虐だ!」
(ルールはルール。護るためにあるのです)
正論だけど、お前が言うとなんかムカつく。
(じゃ、早速……)
で、作者が取り出したのは、六本の割り箸。
(この割り箸の先に、3色の色が塗ってある。それと同じ色の人と、ペアになってもらうからな)
「嫌でも?」
(嫌でも)
「嫌いでもか?」
(嫌いでも)
「フフ、気に食わなくても?」
(気に食わなくても)
「隣に立ちたくなくてもか?」
(もちろん、隣に立ってもらいます)
「で、何故にみんなして俺を見る!」
視線の先には、臆病者の小橋君。こいつ、お化け屋敷を見るだけで泣くからな……。肝試しなんてやったら、どうなるか……。
(ともかく、引いて引いて♪)
「はいはいっと……」
「どれでもいいのよね?」
「フフ、小橋以外なら、誰でもいいわね」
「……」
「あ゛〜、めんどいぞぉ」
「……俺って、嫌われてるのかな?」
で、引いた結果。
赤が、葛野木と斎賀。
「よかったぁ、良美となら心強いよ」
「フフ、小橋とじゃなくって、よかったわね」
緑が、狩燐と影……小橋。
「置いて行かないでくれよ?」
「……貧乏くじ引いたな」
で、最後。青が、俺と森野。
「ま、よろしくな」
「……」
……何も言ってくれねぇと、寂しいな。ま、頷いたから、いっか。
(じゃ、私は最後の部屋で待ってるんで)
「ちょっと待ってよ、下弦」
(何?)
「フフ、回る道を教えてもらってないわ」
(あ)
「忘れてたのかよ」
(テヘヘ☆)
「『テヘヘ☆』で誤魔化そうとすんなよ」
(はいはい、ごめんあそばせ)
一組ずつ渡された紙に、この家の見取り図が書かれていた。そこに、いくつかの赤い丸印がついている。
(別の組が別の組と会わないように、みんな道は違うから。そこらへん、ヨロシク)
どこらへんだ、コラ。
「何で会っちゃいけねぇの?」
(ん〜、何となく)
「そんな気分でやっていいのか!?」
(いいんじゃね?)
「フフ、この丸印が書いてある場所を巡ればいいの?」
(そう)
「よし!頑張っちゃおっかな!」
(じゃ、順番は適当でいいから。心の準備が出来たらスタートね。じゃ、肝試し、楽しんでねぇ)
「順番は、じゃんけんでいいか?」
「フフ、いいわよ」
「いいぜ」
「じゃ、勝った順で、一番二番な」
で、代表的な人、俺と狩燐と斎賀がじゃんけんした結果。
「一番だ」
「マジですか!?」
という事で、狩燐達が一番。
「フフ、二番よ」
「なんか、微妙ね」
てことで、斎賀達が二番。
「最後だけど、ま、いいよな」
「……」
結果的に、俺らが最後。ちなみに、最初のじゃんけんで、俺は惨敗しました。運ねぇなぁ。
「ともかく、行ってきやぁす」
「お化け様方、出ませんよーに!」
「フフ、私達はあっちからだから、一緒に出てもいいわね」
「楽しもうね!」
「俺らも道ちげぇから、行くぞ?」
「……」
「何とか言えよ」
「……うん」
てことで、森野は暗いままだけど、肝試しは始まった。
次回は、リーダー的な人の視点から書いていきます!
ていうか、なんか引っ張ってしまってすみません……。