49、楽しい体育の時間!?
「えぇ〜。これからの体育は跳び箱!文句がある奴は出て行け!そして二度と体育の授業に現れるな!!」
先生、俺らがそんな事したら、ここに誰もいなくなっちゃいますよ。誰一人として確実に残りませんから。
「せんせぇ」
「なんだ!」
「ハチマキ忘れましたぁ」
「何だと!?それは俺の授業を受けるつもりがないと言いたいのか!?」
俺は受けたくねぇよ、こんな熱血馬鹿の授業。
「はい」
はっきり言った!?
「じゃあ、帰れ!やる気のない奴なんて、俺の授業にいる資格はない!!」
いや、俺達にはあるからね、教育を受ける権利が。
「やったぁ、じゃねぇ」
うわぁ〜。嬉しそうに去ってったよ、あの子。スゲェ神経の持ち主。
「そこ!お前もハチマキしてねぇな!それは俺に対しての―――ああ!!」
何?何?俺??俺ですか??
「お前は人の話を聞かない第一号!!」
何だよその長ったらしい名前。俺はもっとコンパクトに瀬川慎吾だ。たった四文字だぞ、漢字にしたら。
「……長年の怨み、晴らさせてくれるわ!!」
長年って、今年会ったばっかりですよね?
「せんせぇ」
「なんだ!!」
「授業早く始めてくださぁい」
「……分かっている!では、ランニング5周!!」
結構ウチの体育館広いからなぁ。5周なんて、メンドクセェ。
ちなみに、どうでもいい事だけど、体育は1組と合同だ。あ、俺は2組ね。で、森野は1組。ホント、どうでもいいけど。
「なぁ、瀬川。変なのがお前の前にいるぞ?」
「何だ、小橋か。変なのって……確かに変だな」
変=森野だと思わないように。今日の変な奴は、……先生だ。
「何してるつもりだ?」
「邪魔……じゃねぇの?」
「誰の?」
「さあな。でも、軽く蹴る程度に退治しとくか」
「おい、一応先生だぞ?変だけど」
「変だからこそ、適当に始末しとくんだよ」
「……お前って、ホント腹黒……」
「さあ、来るぞ!」
「……何故に楽しそう?」
さり気なぁく、足を出している先生のその足に、勢いをつけて、普通に蹴った。ダイジョブ、手加減したからさ。
「ぐはぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「……瀬川、先生、変な叫び声を」
「気にするな。気にしたら、お前も殺る」
「す、すみませんでした!」
「分かればよろしいのだよ、分かれば」
てことで、1周目クリア〜。
「……また変なことしてる」
「てか、あの先公の名前は何だ?」
「え?お前、もう忘れたの?」
「そういうお前は?」
「……誰だか思い出せねぇけど?」
「だろ?」
で、今度は、バナナを食ってる。しかも急いで。多分、俺の前に捨てるつもりだろうな。てか、俺に何の恨みがあんの?てか、どこからバナナ持ってきたんだ!?
「そろそろだぜ、瀬川。今度はどんな黒い事すんだ?」
「黒くない、ダークブルーだ」
「いや、ダークって言ってる時点で」
「それ以上言ったら」
「すみません!!社長!!」
「それでいいのだよ、平社員A」
急いだ結果、食べ終わったようで、俺が来るタイミングを見計らっているようだ。ああ、哀れな馬鹿に、神の救いを。
投げられたバナナは、見事に俺の前に落ちた。けれど、俺だったそこまで甘い奴じゃあない。拾い上げて、先公の行く先に投げる。これでよし♪
「ダハッ!?」
「せんせぇ、だっさぁい」
「HAHAHA」
「……黒い」
てな感じで、2周目もクリア〜。
「またなんかしようとしてるぞ?」
「馬鹿の考える事なんて、お見通しだっつの」
「いつも馬鹿が近くにいるもんねぇ」
「私を呼ぶ声が!!」
「なんで、お前が2組に混じってんだよ!てか、しかもここは男子だぞ!!せめて女子んとこに混ざれや!!」
「いいじゃない♪体育の時間が、楽しくなるなら」
「出てけ。さもねぇと、あの先公と同じ目にあるぜ?」
「どんな目?」
「ククク……」
「見てりゃ分かるよ、毒舌馬鹿M女」
先公がやろうとしているのは、タライ(もう、お笑いの王道を行くものだね。アレは)を、俺の頭上に落とそうとたくらんでいるようだった。
「さあ、パーチーの始まりだぜ♪」
「なんだよ、パーチーって」
「いいじゃない、面白そうなんだから」
「……いいのかな?」
で、タライは落ちてきました。俺の頭上に。それを俺は、回し蹴りで弾き返して、天井にいた先公にクリティカルヒット!!見事に落下を開始しました♪
「……こんな感じに殺される」
「……今日、私はダーリンに近付かないようにするわ」
「……それが賢明な判断だよ」
落ちてきた先公の跡は、綺麗に床に残ってました♪♪
ヤッベ。なんだか楽しくなってきた♪♪
という訳で、3周目も普通にクリア〜。
先公の回復までに、4周目もクリア〜。
「なんか、すごいもん持ち出してきたぞ、瀬川」
「アレのどこがすごい?」
「いや、普通にすごいから」
その小橋がビビッているものは、弓矢。もちろん、ちゃんと構えてますよ、俺を的としてみたいだけど。
「どうすんだよ?アレじゃ太刀打ち」
「ククク……」
「く、黒い……え、笑みが黒すぎて、どす黒い……」
「あんなもので、この俺が倒せるのでも?甘く見られたもんだな」
「どこのラスボスの言葉だよ」
「だが!あんなもの、この俺様には通用しない!たとえこの地球が滅びようとも、俺様は消えないのだ!!HAHAHA!!」
「だからどこの隠しラスボス!?」
先公が、弓を構え、射ようとしている。でも、そんなのどうでもいい。てか、俺に関係ないし。てか、なんで俺が狙われてんのか、マジにわからねぇんですけど。
「さあ、かかって来い!!」
「……俺らに被害が出ないようにお願いします」
「HAHAHA」
「瀬川、狩燐とキャラが被ってるぞ」
「ハハハ」
「あ、プライドが被るという事を許さなかったんだ……」
で、先公は矢を放った。モチ、俺狙いだけど、俺が当たったら、この話が終わっちまうだろ?かっこ悪い感じで。
てことで、これからはグロいので、効果音だけで伝えたいと思いまぁす♪
バキッ!ドガッ!ズド!!メキ……メキメキメキ……バキッ!
はぁい、終了。あ〜、久しぶりに汗流してスッキリ♪これでしばらくストレスは溜まらんな。う〜ん、気持ちいい♪
「あれ?先生は??」
一部始終を見ていなかった生徒の何気ない一言で、周りが脅えていたのはまぁ、気にしなくてもいいかな?
「あれ?どうしたの、みんな??」
あの効果音で、どうなったのか、それは……。言わないでおきましょう♪
「え?道蓋先生?あれ?道蓋先生!?ウソ?道蓋せんせーーーーーーーーーい!?」
皆さんは覚えてましたか?この先生……。一回チラッと出てきた人です。分かる人には分かるだろうし、分からない人は……そのままでもいいかもしれません。