32、お弁当は大切に!?
「ダーリン!一緒にお弁当、食べましょう!!」
「ウッサイ、近付くな。お前はそこら辺の女子と食ってろ」
「嫌よ、ダーリンと食べなきゃ、お弁当を食べた気になれないわ」
「じゃあ、食うな、永遠に」
「永遠に愛を誓う?……もう、こんな所で、照れるじゃない」
「何勘違いしてんだよ!!気持ち悪ぃんだよ、クソ馬鹿!!」
……どうも、休む暇を与えてもらえない瀬川です。何故、今の状態になったのか、ちょっくら説明します。
今日は、学年の親睦を深めるために、遠足(?)的な事にする事になって、弁当を持参しました。以上!!分かりにくいかもしれないけど、説明的な事は嫌いなんで、何とか理解してください。
え?無理??何とかなりますよ、多分。……絶対に無理??仕方ないなぁ、説明しますよ、分かりましたよ、説明すればいいんでしょ?説明すれば!!
今日は、近くの公園……といっても、ただの公園じゃなくて、自然公園って所に来てます。そこで遊んだり弁当を食べたりする事で、学年内の親睦を深め、絆を強くするためにこの計画を立てました!って、実行委員会長が言ってました。確か、……こんなんだった気がする。
「ねぇ、ダーリン!一緒に食べよ!?」
そのため、クラス関係なく弁当を食う事が許可されてる。その為に、この馬鹿はしつこいんだ。
「ヤだっつってんだろ?俺は、小橋達と食うの」
「じゃあ、混ぜて」
「ヤダ、ほな、サイナラ」
「ちょ、即決!?」
「そうですけど、何か問題でもおありで??」
「おおありだわ!せっかく愛妻弁当持ってきたのに……」
「ンなもん、持ってくんなぁーーーーー!!」
「きゃぁ!何するのダーリン!?ドメスティックバイオレンス、再び!?」
「ウザい、黙れカスが」
「カスじゃない!まだ、食べかすじゃない!!」
「その事言ってんじゃねぇよ!!」
「じゃあ何!?私が作ったお弁当、食べてくれないって言うの!?」
「当たり前だろ!?誰がお前なんかが作ったもんを食うか!!俺には、母さんが作ってくれた、弁当があるんだよ!!」
「マザコンマザコンマザコン!!」
「デ○ノートよ!今こそ降ってくる時がきたぞ!!さあ、来い!来るんだ、○ューク!!」
「ごめんなさいごめんなさい!もうしませんから、死神は呼ばないで!!」
「リアリ??」
「リアリ」
「なら、この場から去り、絶対に近付くな」
「それは無理であります、軍曹!!」
「だぁれが軍曹じゃ!!」
「す、すみません!!でも、こんな事しちゃいけません、軍曹。みんな噂してるんですよ?私達、できてるんじゃないかって」
「お前が勝手に近付いてくるからだろぉがぁーーーー!!ていうか、コレのどこが仲良くしているように見える!?そう思った奴らの目は節穴か!?」
「いえ!!巣穴でございます!!」
「なんのだよ!!」
「……ツバメ……的な??」
「テキトーに答えてんじゃねぇよ!!ていうか、考えるなら、言わんでいい!!」
「はい、瀬川一等兵!!」
「おい!この短期間で何があった!?一気に位が下落したぞ!?」
「気ニシナーイ」
「勝手にパクるな!!せめて、許可を得なさい!許可を!!ていうか、お前が言うと、かなりムカつくんだけど!!」
「もっとムカつきなさい!そして、私をいじめてください」
「小橋ぃ、飯食ったら、何する??」
「え?……アスレチックで遊ぶとか?」
「いいなそれ」
「じゃ、早く食っちまおうぜ」
「いきなり放置プレイ!?しかも、二人で!?」
「なぁ、アスレチックって何だ?」
「アスレチックは……アスなレチックだ」
「そうか、分かった。流石小橋。物知りだなぁ……」
「ねぇ、ダーリン!?今ので何が分かったの!?ハッキリ言って、何も分かってないじゃないの!!」
「……小バエがウゼェな。ちょっと退治してくらぁ」
「お、おう……」
シートを敷いたりするのは小橋に任せて、馬鹿クソ森野と向き合う。……キモい。
「やっとダーリンは私を見てくれるのね!!これからも、末永くお願いします!!」
「勝手に話を進めるな」
「……今日のダーリンは冷静なのね」
「腹減ってるからな」
「なら……」
「なら?」
「抱きつきのチャンス!!」
抱きつこうとしてきたハエを、
「甘い!!」
と、一喝。そのまま、突っ込んできた勢いを使って、腹にストレートをかます。どうだ!参ったか!!
「……な、内臓的なものが出てきそう……」
「どんだけぇ!?」
「そ、そんなダーリンも、だいす、きよ。……私がいなくなっても―――」
「シート敷けたぞ、瀬川。早く弁当食って、遊びに行こうぜ」
「おうよ!!」
「……あれ?」
森野完全無視で、自分のシートに座り、弁当の包みを開く。
おお♪流石母さん♪俺の好きなもんばっかじゃねぇか♪♪
「あのぉ、ダーリン、無視ってやつですか?これは」
「お、お前の美味そうだな」
「やらねぇぞ」
「……ケチ」
「ケチで結構、大いに結構」
なんて話しながら笑って、森野再び虫。……じゃなかった、無視。
「私の愛妻―――」
「おぉ!うっめぇ!!さっすが母さん。料理の腕は、ミッチェルさんを超えるよ」
「誰でも超えられるよ、あの人の料理なら……」
「あ、確かに」
「お前、あの人の料理を甘く見ちゃぁ、いけねぇぜ」
「お、お前の弁当も美味そうだな、狩燐」
「一口、やろうか?」
「一口と言わずに、もっとくれよ♪」
「ダメだ。それ以上食う気なら、もうやらん」
「ゴメン、誤るから、大地の恵みを恵んでおくれ♪」
「ホラ、玉子焼きやるよ」
「あざぁっす!」
「……」
弁当持って、孤立中の森野。やっぱり馬鹿は、無視に限る。
ていうか、弁当ウマウマ♪♪
「美味しいねぇ、お弁当♪」
「って、何故にお前が混じってんだよ!!」
水筒パーンチ!!アソパソマソ風。
……たまに、こういう風に『ン』が、『ソ』みたいになってる人、いるよね。その一人、俺だから。
「酷いわ、ダーリン!!さっきの一撃のせいで、弁当がグチャグチャだわ!!」
「自業自得だろ」
「……もういい!ダーリンのお弁当もらうから!!」
「誰がやるかよ!!」
「えぇ!?くれないの!?!?」
「ったりめぇだろ!?くれると思ってたのか、この小バエが!!」
「だって、だって!私は貴方の―――」
「俺はおめぇの、何??」
あんまり怒気を効かせて言ってる訳じゃねぇけど、みんなが一歩引く。
一人だけの例外、それは小橋だった。当たり前だとも言いたげに、黙々と弁当を食ってる。……いいなぁ、幸せそうで。そういうの見てると、崩したくなるんだよな。うん。
「あ!!」
「いっただきぃ♪」
隙を突いて、から揚げゲッツ!!(笑
「何が(笑 だ!!ふざけんなよ、コラ!!」
「俺に逆らう気?お前、いつからそんな力得たの??」
「すみませんでしたぁ!!」
再び周りが一歩引く。……あ、シートからはみ出してるぞ。
(この食い物の怨み、いつか晴らしてくれようぞ)
「お前、どこの戦国大名?信長か?信長なのか??」
「豊臣です」
「ああ、惜しい」
……何だ、この会話。歴史の勉強??
って、自分で自分にツッコんでしまった!!瀬川慎吾、一生の不覚……!!
「ていうか、人の心読むなよ」
「ていうか、遅くね」
「まあ、気にするな。ていうか、さりげなくから揚げ盗ろうとすんな」
「いいじゃんか!一個や二個!!」
「もうお前は一個食べただろ!?」
「足りまっせぇん!!」
「だったら、自分の食え、自分の!!」
「嫌であります!!織臣 信秀康様!!」
「誰だそれ!!何人混ぜた!!」
「3人であります!!」
「混ぜたの分かってんなら、混ぜんじゃねぇ!!」
「気のせいであります!!」
「気のせいじゃねぇだろ!?ていうか、自分でさっき言ってたろ!!」
「ウゼェな、気のせいだっつってんだろ?黙ってろ、サルが」
「……す、すみませんでしたぁ!!」
「くるしゅうない、さあ、わびとしてから揚げでももらおうかのぅ」
「ははぁ!!」
三度、一歩引くみんな。もう、シートに乗ってません。というか、半泣きです。……何故に??
「あ〜ん♪」
「って、お前はまだここにいたのかよ!!」
「放置されてて寂しかったゾ」
「……さあ、みんな怖がらなくていいから、一緒に食おうぜ」
「お、おう」
「ダメ!!ダーリンは私だけのダーリンよ!!近寄らない―――グバァッ!!」
「気にしない気にしない。さあ、食おうって」
満面の笑みで飯を食う俺と、強烈なジャブをくらって、ダウンしてる森野。再び引きかけたみんなが、ゴクンとつばを飲み込んで自分のシートへと帰ってくる。何で、つばを飲むんだ?
みんなが、遠慮気味に、おかずを譲ってくれるのは、何故かな?まあ、美味いからいいけど。
そのあと、みんなが帰るまで、森野は目覚めなかったとさ。めでだし、めでたし♪