28、人の話は聞きません!?
「ねぇダーリン。スウィートホームは、どこに建てる?」
「建てねぇよ、そんなもん。てか、お前のダーリンじゃねっつの!」
「じゃあ、私の王子様?」
「んでそうなるんだよ?」
「だって、私は、……私は、ダーリンの奴隷ですもの!!」
「あっそ。奴隷になりたかったら、世界100周してワンと吠えな」
「……え?」
「え?じゃない、ワンだ」
「……それって、無理っぽくない?」
「そうか、無理だよな、無理って言ったよな!?じゃあ、俺に付き纏うな、この雌ブタが!!」
「ああ、心地いいひ・び・き」
「ハートマーク付けんなって言ってるんだろぉがぁーーーーーーーーー!!」
サブバックで顔面強打!
笛とか折りたたみ傘とか入ってるから、結構痛いだろ!!ハハハッ!!ざまぁねぇな!!!
「……ま、前にも言ったでしょ?ダーリンの愛のムチが―――」
「ダーリンって呼ぶなーーー!!」
木刀で頭を強打!!
いってぇ!!想像しただけで、いってぇよぉ!!!弁慶が泣いちゃうよ……。
「それが、私の生きる糧と……な、る」
いや、生きる糧になってないみたいだよ?何だかもう、ザ・リン○みたいになってるよ?井戸から出てきてる途中だよ?
「……ダーリン、私は、もう、だめみたい……。私の分まで、強く、強く生きて」
「ああ、いいよ。お前さえいなくなりゃあ、俺の世界はバラ色に変わるからな」
「……私がいる時は?」
「きたねぇドブ色。てか、もう汚すぎて、目が汚れてきた。ちょ、おまえさぁ、半径100メートル離れろよ」
「え?」
「きたねぇんだよ、お前の存在そのものが!!てか、嫌いなんだよ!!大っ嫌いなんだよ!!あっちいけ、バァカ!!」
「酷い!酷いわ、ダーリン!そんなに愛していたのに、今まで黙っていたなんて!!」
「愛してねぇし!!愛したくねぇし!!存在して欲しくないし!!!」
「ふふ、不器用なのね、ダーリンは。ホントは私が大―――」
「それ以上言ってみろよ?あん??ガスバーナーでじっくり狐色になるまで炒めてやるよ」
「炒めないで、痛めつけてください!!」
「お前、ホントドMだな!!」
「それよ、その勢いよ!!ダーリンは、そうでなくっちゃ!!」
「ダーリンじゃねぇっつの!!」
「そのツッコミは、もういいわ!!さあ、次は新しく、下の名前で呼び捨てよ!!」
「馬鹿」
「……?」
「お前の名前、馬鹿だろ?え?ひょっとして、違った??」
「それ、素?」
「ああ、素だよ。俺はいつでもSだぜ?」
「……S……じゃ、なくて、素?」
「そうだっつってんだろ!!!」
「じゃあ、私の名―――」
「森野馬鹿」
「森の馬鹿??」
「ちげぇよ。森野馬鹿」
「森のかば?」
「ちげえっつの!森野馬鹿!」
「海苔の馬鹿?」
「何回言ったらわかんだよ!!森野馬鹿!!!!!!!」
「……本気で、そう思ってるの?」
「本気と書いて、マジでしょ」
「マジで??」
「マジで」
「本気で??」
「本気で」
「うっそぉん!!!」
「何が嘘だよ!!どこら辺が嘘なんだよ!!」
「今まで言ってきた事全て!!」
「んな馬鹿な話あるかよ!!」
「馬鹿よ、そうよ、私は馬鹿!!!でも、名前まで馬鹿じゃないわ!!」
「馬鹿だろ!!どっからどう見ても、存在も言葉も生きている事も馬鹿だ!!!」
「酷いわ!!もっと、もっとダーリンは私を愛してくれていると、思っていたのに!!」
「勝手な妄想してんじゃねぇよ!!誰がお前なんか愛するか!!!地球が月になるほどありえない!!」
「ツッコミが分かりにくいわ!!」
「それはお前が馬鹿だからだろ!!!」
「読者様もきっと思ってるわ!!普通、太陽系から外れるじゃね?的な事考えてるわ!!」
「違うね!!地球が公転しなくなるってことか、スッゲェな。だよ!!」
「五月蝿い!!そこ、ちょっと黙りなさい!!!」
「そっちこそウゼェんだよ!!!てか、お前誰だよ!!」
「誰ってお前―――!!」
「失礼よ、ダーリン!!アレは、銅像でしかないわ!!!」
「銅像じゃねぇよ、人間だよ!!」
「ははぁ〜。どうりで堀が深いんだぁ……」
「感心するなぁ!!!」
「銅像は黙ってなさい!!ここは、人が生きる所よ!!銅像は銅像らしく、庭にでも建ってなさい!!!」
「いや、だから―――」
「馬鹿だろ、お前。銅像が歩ける訳ねぇだろ!!何言ってんだよ、バーカッ!!」
「馬鹿でいいわ!!ダーリンのお傍に居られるなら……」
「何気にキモい事言うんじゃんぇよ!!」
「お前ら!!人の話を聞きなさい!!!」
「銅像風情が人様に向かって何言ってんだよ!!銅像は銅像らしく無表情で池の近くにでも建ってろ!!!」
「だから、銅像じゃねぇよ!!」
「じゃあ何?何な訳?二宮金治像?」
「惜しい!!……って、そう言う事じゃない!!」
「じゃあ、しょんべん小僧?」
「お前たちは、像から頭を放しなさい!!私は人間だ!!」
「はぁ!?何言っちゃってんの!!?お前、どっからどう見ても銅像じゃん!!」
「はぁ?何を言っているの!?あなた、どこらへんが人間のなのよ!!」
「お前たち!!先生に向かって、その暴言!!罰を受ける覚悟は―――」
「はあ!?先生ぃ!!」
「どっからどう見ても、あなたは銅像でしかないわ!!」
「ていうか、それ以下!!!」
「し、失礼だぞ!!お前たちは、私を何様だと―――」
「だぁかぁらぁぁぁぁ(激怒)」
「どっからどう見ても、銅像だろぉがぁーーーーーーー!!!」
登校指導中の先生(家に帰ってから、気付きました)を、思いっきりグーパンチ!!
ヤバくね?これ、ヤバくね??不良少年みたいじゃね??成績落ちんじゃね??
「ふんっ、人の会話にのこのこと首を突っ込んでくるのがいけねぇんだよ、銅像が」
「はんっ、人の恋路にのこのこと首を突っ込んでくるのがいけないのよ、銅像が」
「どのへんが恋路だコラーーーーーーーー!!!」
最後に森野にも一発きつめにグーパンチを入れておきました。まあ、効き目はないに等しいんだけどね……。