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ドSな俺と、ドMなアイツ  作者: 下弦 鴉
第一章 彼の周りの不思議人物たち
26/117

26、変な先生登場!?

 漸く一日が終わり、部活の時間。剣道部と、演劇部は場所が全然違うから、あの馬鹿に襲われる……いや、出くわす心配がない。良かった、良かった。

 「じゃあ、素振りから初めるよぉ」

 「はい!」

 う〜ん、久しぶりに清々しい返事だ。懐かしいよ、この瞬間だ。いつも怒鳴ってばっかだもんな。

 「……の、前に、一つ話がある」

 いつの間に!?いつの間に来たんだよ、コーチ!!あんたは忍びか!?

 「今日から、俺の一緒に剣道を教えてくれる、江堂(えどう)先生だ」

 「どうも、よろしく」

 お〜。なんかカッコいい先生が来たなぁ。女なのに、コーチよりカッケェ……。

 「俺より、江堂先生がカッコいいと思った奴、外周十周な」

 「なっ……」

 「ん〜?どうした、瀬川。もしや、今俺が言った事、そのまんま思ってただろ?」

 「いえ!そんな事は、全くもってございません!!」

 全くもってございます!!てか、バッチリ当てられて、かなり心臓に悪かったんですけど!?

 「まあ、いい。じゃ、一年生に江堂先生についてもらうから、頑張れよ」

 「はい!」

 俺ら一年、一応返事をした。

 ……ああ、みんなもそうだったんだな。カッコいいって、思ってたんだな……。


 「私が教える剣道は、ただの剣道じゃないわよ」

 え?ただの剣道でいいんですけど……。

 「江堂流、最強剣道よ!」

 「おぉ〜」

 いやいや、みんな!?これ、感心ちゃいけなくね?江堂流って、本当にあるのかよって、疑った方がよくね?

 「まずは、私が見本を見せるから」

 いやいや、見本とか、そうゆうのいらないから。ホント、フッツーの剣道でいいから。

 「はいっ!」

 みんな〜〜〜!『はいっ!』じゃ、ねぇよ!!『え!?』だよ!!

 「まずは、構える」

 それ基本だよ、当たり前だよ。

 ……てか、先生!?なんてポーズしてるんですか!?構えるって言ったのに、脅え越し!?

 「さ、みんなも!」

 「はい!」

 『はい』じゃねぇぇぇぇ!!!『いいえ』だ馬鹿ヤロォーーーーー!!!

 やるのかよ?マジでやるのかよ、みんな。これ、どっからどう見てもおかしいだろ?剣道じゃねぇよ!?何だよこれ、負け犬か!?

 「みんな、負け犬の気持ちになって、もっと腰を低く、申し訳なさそうに!」

 「はい!!」

 だからーーーーーーーーーー!!!これ、キョヒるところーーーーーーーーーー!!!

 「瀬川君!何やってるの!?もっと、腰を低く!誰にも手出しされないように!!!」

 いやいや、手出しされないよね、きっと。でもさ、何で負け犬!?

 「金子君!!そこはもっと、低く!!こうよ、こう!!!」

 いやいや、腰低いって言うか、もう土下座?

 「はい、先生!!」

 おいっ!何故に返事!?

 「いいわ、その調子よ!」

 いやいや、もう見るも無残な光景だよ?何これ?番長にやられて、手も足も出ないヘボですか?

 「もっと深く、頭をさげるの!!」

 いやいや、さげすぎてもう地面にめり込んでるよ??額に土がついてますよ??

 「そう、そう!それでいいの!!もっと激しく、もっともっとよ!」

 いやいや、激しすぎて、頭痛くなってきてるよね、みんな。先生、周りをよく見よう。地面に馬鹿らしく頭ぶつけてる、マヌケな連中が見えてくるから。

 「もう、瀬川君!?何突っ立ってるの?あなたもやりなさい!!」

 「はあ?」

 あ、ヤベっ!!先生に対して、敬語使うの忘れた!!!

 「Sのちょっとしたプライドなんて、捨て去りなさい!!Sを忘れて、Mとなるのです!!」

 絶対、いやだぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

 俺がSを捨てたら、この物語、どうなると思ってんの!?この物語から、Sという存在が消えたら、どうなるか分かってるの!?

 「さ、あなたも構えなさい」

 いやいや、それ、構えるって言うけどさ、逃げるためじゃね?

 「……さあ、どうしたの?Sを捨て、Mとなりなさい!」

 だーーーかーーーーーーらーーーーーーーーーーーーーーー!!!!(激怒)

 聞けよ先生、心の中で言うけど、聞けよ?

 この物語から、Sを消そうとするな。Sがなくなったら、ただの馬鹿の集まりだよ?Mが世界を制する、不気味なものにはや代わりだよ?世界中がMで溢れるよ?それ、ある意味恐怖でしょう!?世界恐慌再びだよ!!!

 「ちょっと、境さん?Mっ気が足りないわよ!もっと、すまなそうな目でSを見つめ、追い詰めなさい!」

 「は、はい、先生」

 やらんでいいわぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!

 何、何なのこれ?一種の宗教ですか?コシヒクー教ですか!?

 「片瀬君!いいわ!!とってもいい!!さあ、みんなも片瀬君を見習って、腰を低く、すまなそうに!!」

 なんだよそれぇぇえぇーーーーーーーー!!

 腰が低ければ、それでいいのか!?すまなそうにしてれば、それでいいのかよ!?

 てか、片瀬ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!お前、Mだったのか?Mだったのかよ!!何故にそんなに嬉しそうにやってのける?ある意味すごいぞ!?

 「みんな、基本は身に着けたみたいだから、秘伝の技を伝授するわ」

 いえ、結構です!!そのまま墓まで持っていってください!!一生のお願いです!!

 「私を良く見て、真似てみて」

 ……いや、積極的に、真似たくないんですけど。

 「はい!!」

 お前らはいい加減に目を覚ませ!!その目を見開け!!!目の前の現実を受け止めてはいけない!!!!目を覚ますんだぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!

 「瀬川君、ぼうっとしてないの!!先生を―――」

 「もう、剣道部やめますわ」

 「え?」

 「さよなら、みんな。さよなら、M馬鹿先生」

 「Mじゃないわ!!ドをつけて!!」

 そんな叫びを背中で聞きながら、俺はその部を去って、帰宅部となりました。

 ……この選択、正しかったよね?

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