24、ある意味スゴイ!?
「慎吾、気をつけてな。変質者に襲われそうになったら、すぐ、家に帰ってくるんだぞ」
「……あいあい」
「絶対、パパを呼ぶんだぞ」
「……それはイヤだ」
「絶対に、絶対に、パパって呼ぶんだぞ」
「……いってきまぁす」
「いってらっしゃい、慎ちゃん」
ニコニコ笑いながら手を振る母さんの隣で、涙ながらに親父は俺を見送っていた。……戦争に行く前ですか、俺は。
「慎吾ぉ!早く、帰ってきておくれよぅ!!」
「俊さん、そんな事言っちゃ、慎ちゃん、学校に行きにくいでしょ?」
「ヒッグ、ヒッグ……だってさぁ―――」
なんて会話を背に聞きながら、ホトホト飽きれた。ていうか、……やっぱり飽きれた。
「はぁ、どうして俺って、こんなに変な連中に囲まれてんだ?」
馬鹿すぎるMとか、二重人格とか、ガラスのハートとか、ホモとか……。もう、疲れたよ、パトラ○シュ。……てか、このネタも使いすぎたよ。そろそろ飽きるよ……はぁ。
「す、すす、すみまっせん!」
「はい?」
急に目の前に現れたのは、綺麗な女性。OLかな?
「こ、ここ、告白してください!!」
「はあ?」
告白してくださいって、初対面なんですけど……。
「じゃ、なくて、この道教えてください!」
どんな間違え方!?ある意味、すばらしいよ!!
「は、初めての土地で、慣れなくて、迷っちゃったんです……」
「ああ、そゆ事」
差し出されたメモ書きには、どこに行くかしか書いてなかった。ああ、当たり前だよ、迷って。だってココ田舎だから、道が複雑なんだよね。
「粂燦株式会社は、この道じゃなくて―――」
「え?この字って、クメさんって読むんですか?」
「……そうですけど?」
でも、クメさんって人、どこにもいないから。てか、そんな人いないから。
「私、これ全然読めなくて、道も尋ねられなかったんです!」
「……そう、なんですか」
「はい!足す狩りました!!」
すみまっせぇん!字が違います!おっそろしく、字が違います!!
「じゃ、なくて、助かりました」
「……はぁ」
この人も、危ない雰囲気がするな。早く道順教えて、追っ払おう。
「ココを真っすぐ行って、信号を右に曲がって、また真っすぐ行って、十字路を左です。そうすれば、おっきな看板が見えてくると思うんで、後はすぐたどり着けますよ」
「あ、アリが十匹です!」
た、確かにそうだけど……。そんな感謝の仕方って、ありっすか?
「じゃ、なくて、有難う!!」
そんなこんなで、彼女は去っていった。……まだまだ、なんか不安でけど……。
― 数分後 ―
「しゅ、首里城!」
首里城!?何故に首里城!?首里城に行くんだったら、沖縄へどうぞ!
てか、この人、さっきの女の人じゃん!!
「あ、また貴方ですか?よかったぁ、身罷りました」
……それ、しちゃいけなくね?てか、身罷ってたら、貴方今、死んでますよ?
「じゃ、なくて、助かりました!!」
……なんかもう、ツッコム気力も失いそうだよ。
「あの、また道に迷っちゃったんですけど。すみません、方向音痴で」
「……いや、別に構いませんよ」
方向音痴にも、程があるよ?何で戻って来れたの、ココに。どうやって戻ってきたの、ココに。
また、同じ事を言って、とりあえずすましたけど……。
「上がり症でございます!」
……あっそ。てか、何でニュアンス、○ザエさん?
「じゃ、なくて、有難うございます!」
もう、会いたくないかも……。
― また、数分度 ―
「エクス・キューズ・ミー!?」
カタコトの英語!?いや、話しかけ方はあってるよ、バッチリだ。
だけどさ、ココ日本だよ?何で、わざわざ英語にした!?
「じゃ、なくて、ちょっとよろしいですか?」
「さっきも言いましたよね」
「ああ、君だったの?なんか、緑があるね!」
…………………………………………………………あ。
……緑じゃない、縁だよ。
分かりにくい間違えはやめてくれない?危うく見落としそうだったじゃないか。てかさ、分かる人にしか、よく分からないから。
……あ、よく分からない人、国語辞典で引いてごらん。ビミョーな違いが分かるから。
「また、オゴリッすね!」
「……」
「じゃ、なくて、有難うね!」
この人の人生そのものに、疑問を抱かずにはいられないよね……。
― さらに数分後 ―
「まさにその時!!」
何が起こったぁぁぁーーーーーーー!!?まさにその時、何があったんだよ!?何が起こったんだよ!?ていうか、引っ張り方が、ベタだよ!!
てか、またお前かよ!?
「じゃ、なくて、すみません!」
もういいよ。飽きたよ、人生に。そろそろ、13年という、短い人生の終止符を打つ時が来たんだな。
分かったよ、死ねばいいんだろ!?もういいよ、分かったよ、作者!俺に死んで欲しいんだろ!?いいよ、死んでやるよ!!死ねばいいんだろ、馬鹿作者!!
「あの、もう一度―――」
「もう好きな道行けよ、これ以上俺の傍によるなよ、貧乏神!!」
あ、言っちゃった……。
「貧乏神じゃない!疫病神よ!!」
何気に自分の立場理解してるーーーーー!!
偉いっ!森野と比べれば、かなり偉い!!……でも、本当に、偉いのか……?
「あ゛あ゛〜〜〜!!私のダーリンが、他の女性とデートしてる!!」
「このどこがデートに見えんだよ!朝7時半からのデートって、どんだけだよ!!てか、俺はお前のダーリンなんかじゃねぇっつの!!」
「許さない、許さないわよ、サナエ!!」
「誰だよ、サナエって!!てか、勝手に新キャラ作るな!!下弦が怒るだろ!!」
(そうだ、そうだ!……と、思いつつ、その名前、使わせていただきます!)
「使うのかよ!!」
(使うさ!だって、名前とか、考えるの面倒だもん)
「それだけの理由かよ!!」
(知らぬ間に、下弦は去って行っていた)
「勝手に終わらせようとするな!ボケ作者!!」
「……ダーリン、誰とお話してるの?」
「誰って、下弦に決まってんだろ?ヘボ作者の」
「ああ、女神様」
「……は?」
「女神様とお話できるなんて、やっぱりダーリンはすごいね!!」
「……」
(フフ、思い知ったか、俺様の存在を!!フハハハハハハ!!!!)
……ひとまず、二人目の馬鹿は置いといて、まずは、一人目の馬鹿をどうにかしなくては。
(おい!女神様を無視するな!!)
「ウッセェ!!黙ってろ、数学2馬鹿!!」
(それを言うなぁぁぁぁぁぁぁ!!)
「言われたくなかったらとっとと消えな、馬鹿が」
と、言う訳で、無駄な行を使ってしまったけど、本題(?)に戻ります。
「ダーリン!サナエから離れて!ていうか、サナエ。貴方が離れなさい!!」
「……はい?」
絶句する女性と、憤慨してる森野。勝手に一人で怒ってる馬鹿は、ほっとくが一番だ。
「まあ、気にしないでください。同級生の馬鹿ですから」
「はぁ……」
「馬鹿じゃない!愛の知識は、盛りだくさんよ!!」
「ほっといていいんで。そのうち、静かになるから」
「ほ、ほっけ」
……ほっけって、魚かよ。
「あ、じゃ、なくて、はい」
「カワイ子ブリッ子してないで!!ダーリンから―――」
「だからですね、こっちを曲がって―――」
「はい」
「ちょっと!距離が近いわ!!18禁よ!!」
「こっちを曲がったら―――」
「はい」
「ちょっと!!唇が!!唇がぁーーーー!!」
「ココに来ますよね。で―――」
「はい、はい」
「ねぇ、聞いてるの?ダーリン!私だけの、王子様っ!!」
「マッ○が見えてくるんですよ―――」
「○ックですね―――」
「お姫様は、あたしだけで十分でしょ!私がダーリンのお妃様なの!!」
「そこを抜けると十字路で―――」
「へぇ、そうだったんですかぁ」
「その女、本当は道順とか全部知ってるのよ!ダーリンと話したいだけなの!!私から、ダーリンを取り上げた―――グホッ」
耳元でワンワン喚く蚊を叩き潰して、話を続ける。
「十字路に出たら―――」
「左に行けばいいんですね?」
「右よ!右に行きなさい!!そして、そこで人生に終止―――」
「だまっとれ!!ストーカー馬鹿M使えない女!!」
再び蚊を叩き潰して、話し続行。
「左に、曲がればいいんですね?」
「そうです」
「まぁ、親切に、お訪ねてください」
「……」
「じゃ、なくて、新設に、有難うございます」
もう、いいよ……。
そのあと、無事に目的地にたどり着けたか分からないけど(俺的に無理だと思う)、その女性は去って行った。
……結局、彼女の名前って、なんだったんだろう。
ちなみに、彼女の名前は、(一応)佐々原 幸江です。
え?読めない?辞書でも引いてください。
え?めんどくさい?ささはらさちえですよ。そのまんま、字の通りに読めば、間違いねぇだろ?……ちっ。
暴言、失礼しました!!(焦)