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ドSな俺と、ドMなアイツ  作者: 下弦 鴉
第一章 彼の周りの不思議人物たち
23/117

23、変質者、風呂に現る!?

 いつも通りに、今日はロクな日じゃなかった。てか、もう、いい日なんて一生来ないと思うんだけど。絶対に。なんか、そんな自信がある。

 「さぁて、風呂でも入るかな」

 塾の宿題も終わったし、エロジジィの偵察もないみたいだし。一安心だな。

 「……まさか、風呂に入ってたりしないよな、あの変態親父」

 ……ヤベ。なんか、不安になってきた。


 自分で言うのもなんでけどさ、ウチの風呂って狭いんだよね。コ○シキさんとか遊びにきたら、風呂は大破しちゃうからね。あ、大体のうちはそうか。

 「風呂風呂〜♪」

 俺、結構風呂は好きなんだよねぇ。なんか、日本に生まれてきてよかったって、思えるんだよ。幸せの瞬間だよ、まさに極楽♪

 「……いや、ないよな。きっとない」

 まさか風呂に変質者がいるとは思わないけど、今はその危険性がある。だって、異常なまでの親馬鹿だぜ?だからって、……なぁ。

 「……か、確認するだけの価値って、あるのかな?」

 嫌な予感がするんですけど。だってさ、誰もいないはずの風呂場から、バシャバシャ音が聞こえるんだぜ?

 え?奇怪現象?ああ、それもありえるなぁ……。だったら、エク○シスト様を呼ばなくちゃ。アレ○とか、ラ○とか、○田とか……。あ、でも、神○はキレると怖いから、ア○ンか○ビがいいなぁ。

 ……って、話それてる!!そして、それに自分でツッコんでしまった!!ヤベッ!!なんだか、恥ずかしい!!やめろ!撮るな!!おい、写メはやめろって言ってんだろぉがぁー!!

 「……んな事はどうでもいいから、まず、内部の調査だな」

 内部っつっても、風呂だからね。いたって普通の風呂だからね。

 「……」

 ドアを開けてまず目に入ってきたもの。

 1、変な奴

 2、馬鹿っぽい奴

 3、気に食わない奴

 4、大嫌いな奴

 5、なぜか服着たまま風呂入ってる能無しの奴

 6、溺れかけてるのに、なんか嬉しそうなMな奴

 以上っ!!

 バンッ!!

 ドア閉めたんですけど、アレは幻覚ですよね。だって、この家にいないはずの人物ですから。いや、ゴキブリじゃないですよ。下弦でもありません。あいつは、どちらかというとSです。もっと身近で、底なしの馬鹿です。

 「ないない。これはああであって、こうであるから、そういう結果になって、これはない!絶対に、ない!!」

 そうそう、アレは幻覚だよ、慎吾。何を想像してんだ?日頃の疲れが、今ここに?じゃあ、今日はゆっくり休むか。そうだよな、たまには体に気を使ってやらないといけないもんな、慎吾。そうだよな、慎吾。

 「アレはきっと、幻覚だ。いや、きっとじゃなくて、幻覚だ」

 もう一度、ドア、オープン!!

 「ギャバッ!ボハッ!クハッ!お、おぼれふっ!!おぼれふぅ〜!!」

 もう一度、ドア、クローズ!!

 お〜い、また見えたぞ、幻覚。しつこいぞ、幻覚。え?幻覚?幻覚のくせして、生意気に話してた気がする。てか、声を発してた。

 「いやいや、いやいや!!ないないなぁ〜い!!これはそうなって、これはこうなってそれはこっちにきて、これがこうなってそうなるから、結論から言うと、それは絶対にない!!」

 「ヘ、ヘルフ!エルフ・ミー!!」

 エルフ!?なんじゃそりゃ!?

 てか、また幻聴が聞えるぞ。落ち着け、落ち着くんだ慎吾。ここで焦ってどうする。焦るな急ぐな呻くな喚くな。とりあえず、落ち着くんだ。

 この家は、誰の家だ?

 俺の家だよな。瀬川家だよな。

 この家は、旅館じゃないよな?

 そうだよな、フッツーの家だよな。

 この家にいるのは、誰だ?

 俺と母さんと変態クソマヌケ親父。三人家族。ミッチェルさんは、所在不明。だから、この三人以外誰もいないよな。

 ここは、銭湯じゃないよな?

 そうだよ、当たり前じゃないか。フッツーの家に銭湯なんて、あるわけねぇよな。

 「って事は、これは幻覚&幻聴って訳だ」

 どうしたんだよ、慎吾。そんなに疲れてるのか?そうか、そうか、そうなのか。じゃあ、今週の休日はゆっくり過ごそうな。なあ、慎吾。

 人のうちの風呂に、森―――。

 「たふっ、たふへへっ!たふけふぇ、ダーウィン!!」

 ダーウィン!?なんか違う!?なんか違うぞ!?

 「ダーーーーーウィーーーーーーーーーーーーーーーーン!!」

 いや、ないよな、ないない。今日は疲れてるみたいだ。もう、風呂はいいから、寝ようか。朝早く起きて、シャワー浴びればいいんだもんな―――。

 「そこにいふんでふぉ!?だふふぇふぇふぉ!ダーウィン!!」

 溺れてるわりには、はっきりダーウィンって言うな。

 溺れてる?誰が?

 「愛しのハニーふぁ、おフォれふぇルふぁフォ!?」

 「何でここにいるんだぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!」

 ドアをバーン!ってやって、中にいないはず(いるんだけど)の奴を睨んだ。

 「あふぁ!ダーウィン!!」

 「ダーウィンじゃない!!瀬川慎吾だっ!!」

 「たふっ、たふ、たふ!」

 「んだよ!出てけよ!どこから入り込みやがった、このストーカー!」

 「たふっ、たふぇっ。たふぇふ!!」

 「何言ってんだか、さっぱりわからねぇよ!てか、何人の家で服着たまま風呂に入ってんだよ!!」

 「着衣水泳よ!!」

 「人の家でやるなぁーーー!!」

 やっと立ち上がったキモ女を、再び浴槽に静める。いっそ、このまま殺してしまおうか。

 「おまえさぁ、礼儀とか親から教わってねぇのかよ!普通、人の家で服着たまま風呂に入るか?靴まで履いて!?汚ねぇ事すんなよ!」

 「ブクブク!!ブッククゥ!!」

 「んだと!?屋根裏から忍び込んだって?お前、プロの空き巣かよ!!」

 「ブククククブク!」

 「空き巣じゃない、愛の空き巣だぁ!?ウゼェんだよ、お前のその一言一言がムカつくんだよ!!腹立つんだよ!!」

 「ブクッ!ブクク!ブ、ブブブクブクククククブ!!」

 「ダーリンのその一言一言が生きる糧になるだと!?ダーリンじゃねぇって、何度言わせたら分かるんだよ、ストーカー!!」

 「ブブクク!ブッククッブク!」

 「恋の仕方が陰湿なだけ?それがストーカーがよ、馬鹿野郎が!!!」

 浴槽の底に頭がぶつかるまで沈めて、何度も頭を強打する。これは、虐待ではありません。教育です!!

 ……はい?何で『ブクブク』としか森野は言っていないのに、話ができるかって?勘です!!ていうか、なんていうか、大体予想ができるんです!!いやだけど、非常にいやだけど!!好ましくないけどっ!!

 「プッハーー!」

 いくらなんでも殺すのは可哀相な気がしたんで、沈めるのをやめてみる。

 「やっぱりダーリンだったのね!美咲、ずっとここで溺れて待ってたんだゾ」

 「……よく死ななかったな。死ねばよかったのに」

 「最後に不吉な言葉が聞えた気がするんだけど、美咲、それでも嬉しいです!」

 「……何で死んでくんなかったかな?何で生きて、俺の前にいるのかな?」

 「……え、あの、ダーリン。私を助けに来てくれたんじゃ―――」

 「だぁれがお前なんか助けに来るかよ!!馬鹿クソ変質者!!!」

 「変質者じゃないわ!!ちょっと、相手の行動が気になっただけ!!」

 「それで十分だよ、十分ストーカーだよ!!」

 「ストーカーじゃない!ダーリンの愛のキューピットよ!」

 「キューピットだぁ?どこが、どの変が!?」

 「私の存在、す―――」

 「お前を母なる水に還してやるよ!!」

 「ブククゥ!!」

 「フハハハハハハァ!!さあ苦しめ、そして喘ぐがいい!!」

 「ブクゥ〜!!」

 「ハハハ!!苦しめ、苦しめ!!」

 ……かれこれ十分くらい沈めて。

 「ブバッ!!」

 「これに懲りたら、二度と家の敷地を踏むな」

 「シキチ?」

 「んなのも分からないのかよ!」

 「だって、あたしには、ダーリンしか見えていないもの!!」

 「じゃあ見るな、二度と見るな、俺の前に現れるな!!」

 「イヤよ!!それじゃ、死刑みたいなものじゃない!」

 「死ね死ねぇ!!お前は地獄に行って、魔王とチークダンスでも踊ってろ!!」

 「踊るんなら、ダー―――」

 「はぁい、何か言いましたか?」

 「……言ってまふぇん」

 「よろしい。では、さっさとお家に帰りたまえ、子羊君」

 頬をつねって伸ばした。いい気味だ、このままずっと伸ばしといてやろうか。

 「……ひとふ、いっへもいいへふは?」

 「何だ?」

 「……愛してまふ」

 「……」

 「……(照)」

 「なぁに(照)だよ!何照れてんだよ!何頬赤く染めてんだよ!!死ね!お前は一度死んで、人生そのものをやり直せ!!」

 「いや!!ダーリンと離れたくない!!」

 「積極的に離れたいんですけど!心の底から離れたいんですけど!」

 「やぁね、そんなに照れなくてもいいじゃない」

 「照れねぇよ!てか、お前は出てけぇぇぇぇ!!」

 殴ったり、蹴ったりして、とりあえず大人しくなった森野を、家の外に放り出す。

 「いいか、二度とココには来るなよ!分かったな!!」

 ……もう、家、引っ越していいですか?毎晩こんなんじゃ、生きていく気力を失います。誰か、助けてください……。

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