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ドSな俺と、ドMなアイツ  作者: 下弦 鴉
第一章 彼の周りの不思議人物たち
22/117

22、ドメスティックバイオレンス!?

 「頂きます、慎吾」

 「……俺を食おうとするな」

 箸を持って引っ付いてくる変体親父の弁慶を、容赦なく一蹴り。

 「痛いぞ、慎吾」

 涙声で、親父はそう言った。ざまぁみろ!この、クソ変態が!!

 「美味しいなぁ、慎吾」

 「……そうだね」

 「うまいなぁ、慎吾」

 「……さっき似たような事言った」

 「幸せだなぁ、慎吾」

 「……俺的には不幸だよ」

 「幸福だなぁ、慎吾」

 「……だから、似たような事言ってるっつの」

 「このテレビ、面白いなぁ、慎吾」

 「……ニュースのどこが面白いんだよ」

 「このテレビ、映り悪いなぁ、慎吾」

 「……買い換えろよ。てか、そこまで悪くねぇだろ」

 「慎吾」

 「……んだよ」

 「なぁ、慎吾」

 「……んだっての」

 「慎吾、慎吾、慎吾ぉ」

 「あ゛あ゛〜!!ウザい!!ドメスティックバイオレンス!!」

 持っていた茶碗を、実の親(馬鹿な父親)に向かって一球投げました。もう、ストライクっすね。だって、顔面にヒットだもん。あ、それはちょっと違うか。ま、いっか。

 「どうしたんだい、急に。そんなにパパの事が好きなのか」

 「……誰が好きになるか、こんな親父」

 「そうか、そうか。そんなに好きなんだな。なら、今晩は一緒に寝ようか」

 「……やめてくんない?マジで、やめてくんない?部屋に入った直前に、参考書投げつけるよ?」

 「参考書?ああ、愛のか?」

 ……何なんだよ、この親父。ちょっとした森野だぞ?ていうか、森野っぽいぞ。森野ってるぞ。

 「……そんなんじゃねぇよ。普通の参考書だよ」

 「普通の?普通って何だ?愛の参考書がブナンだろ?」

 どこが、どのへんが、どのように!何でそうなるんだよ、どうしてそっち方面へレッツ・ゴー!!何だよ!!何がどう狂ったら、そんな方向へもっていけるんだよ!!

 「じゃあ、パパとその参考書、開こうか」

 「……ゼッテェに、イヤだ!!近付くな触れるな見つめるな!!」

 「何でだい、慎吾。パパはこんなにも慎吾の事を愛しているのに」

 「……オーバーなんだよ、全てが。もう、手に負えねぇんだよ」

 「そうか、パパの愛情がまだ足りないんだね。よし、じゃあ明日は学校を休んでドライブに行こう。気分転換っていうのも、必要なんだぞ」

 「……じゃさ、早く会社に帰れ。そして、俺が一人暮らしになるまで帰ってくるな」

 「何!一人暮らしだと!!許さんぞ、パパはそんな事認めません!!」

 「……いいよ、勝手に出て行くから」

 「そんな事はさせないぞ!ハリー・○ッターみたいに、鉄格子で窓を固めて、何重も鍵をつけてやる!!」

 「……いいよ、ロ○みたいな友達に助けてもらうから。その家で、仲良く生きていくから」

 「駄目だよ!!パパ、絶対に許さない!!パパ、泣いちゃうよ!!!」

 「……泣け泣け、泣けばいいさ。思う存分泣いて、ミイラと化してしまえばいい」

 「そんな冷めた事を言うんじゃない!!パパ、本当に泣いちゃうん……グスッ」

 体ゴツイわりに、何その泣きかたぁぁぁ!!ムカつくんですけど、異常なほどにはらわたが煮えくり返るんですけど!!

 「あ゛あ゛〜!!もう!!!!ドメスティックバイオレンス!!!!!!」

 鮭を丸まる一切れ、無理矢理そのウザい口に突っ込んでやりました。ああ、俺の好物が……。こんな事に、無駄に使うんじゃなかった……(泣)

 「どうした、慎吾?泣いているのか?」

 もう、俺の心は号泣だよ!崩壊寸前だよ!!ベ○リンの壁だよ!!

 ……あ、良く考えれば、もう崩壊してた、それ。

 「泣くな慎吾!パパが、抱っこしてあげるから!!」

 「やめろ!寄るな!!このクソエロジジィ!!」

 顔面にグーパンチ。あ、遂にやっちゃった。ノックアウトだよ、もう真っ白に燃え尽きたよ。

 あ、そうそう。一つだけ言っておきます。俺は、産まれた頃から反抗期です。親父に対して。多分、これからもそうだと思うんで、その辺、覚悟お願いします。

 「効いたぞ、慎吾の愛のムチ。こんなにもパパを愛してくれてたなんて、パパ、知らなかったぞ」

 そりゃそーだろーな。だって、一ミクロンも親父の事愛してないからな。現在進行形で。

 「……愛してねぇし。……ご馳走様でした」

 「もう行っちゃうのか、慎吾。まだ、パパと一緒にいたいだろ?」

 「……いや、いたくねぇよ。どちらかと言えば、とっととこの部屋を去りたい」

 「嘘をついても駄目だぞ?」

 「……嘘なんてつかねぇよ。吐きたくもねぇよ」

 「本当はもっと一緒に居たいんだろ?」

 「……だから、いたくねぇえっての」

 「分かってる、分かってるよ、パパは。離れたくないんだよ、慎吾!!」

 「それって、お前自身の事じゃねぇかぁ!!!!!」

 「パパをお前呼ばわりか!せめて、パピーと呼びなさい!!もしくは、パパで!!」

 「イヤに決まってんだろ!!この、クソエロ変態ホモ親父!!!」

 洗剤で泡立った水をぶっ掛けて、抱き付いてきそうになったモンスターを撃退しました。てか、退治しました。

 「いいか、よく聞けよ、キモ親父!俺の部屋に一歩でも入ってみろ、二度と口利いてやんないからな!!」

 ドタドタと親父の横を通って、リビングのドアを開ける。その時、足をつかまれた。

 「放せっ、薄らハゲ親父!!」

 「ハゲてない!パパ、まだ健康だよ、毛根も、体も!」

 「精神的な面がハゲてんだよ!!もう、国民的アニメのサ○エさんの○平さん並なんだよ!!」

 「そんなのいやだぁ!!イヤだけど、放したくないぃ」

 「甘えた事言ってんじゃねぇよ!それでも副社長かよ!大人かよ!!」

 「永遠の18歳だよぉ!!」

 「それは妄想だろ!!!」

 「行かないでくれよぉ!!慎吾ぉ!!!」

 ズルズルと廊下まで引きずってきて、階段に頭をゴツゴツぶつける。でも、離れない。

 畜生!このクソ親父め!!いい加減にしねぇと!!塾の宿題ができねぇんだよ!!

 「もう、俊さん。慎ちゃんが困ってるじゃないですか。放してあげないと、本当に口利いてくれなくなっちゃいますよ?」

 「麻理〜。どっちもイヤだよぉ」

 おお、神様!!どうか、この馬鹿を説得してください!!

 「なら、どっちか一つ選ばなきゃ。ね?」

 ね?って、それは俺に対してなのか?そうなのか?いや、この親父だよな、うん、きっとそうだよな。

 「ね?慎ちゃん」

 「え!?」

 「ウフフ。そんなに驚かないで。どっちか決めてくれたら、俊さん、許してくれるよね?」

 いや、あの、許すも何も、かなり重度に許したくないんですけど。できれば、この世から消えて欲しいかも。

 「じ〜ん゛〜ご〜」

 「触れるな!それ以上、這い上がってくるな!!」

 引っ張られて悲鳴を上げている服を救うため、汚いあの手を振り払ってやりました。

 「い゛がな゛いでぐれ゛〜」

 濁音多すぎ!!逆に読みず……じゃなくて、言い辛い!!

 「さぁ、俊さん。放してあげたんですから、また口を利いてくれますよ」

 「ぼんどうに?」

 「ええ、慎ちゃんは、根は優しい子ですから」

 嬉しいけど、母さん。それは間違ってるよ。自分で言うのもなんだけど……。性根、腐ってるからね、俺。もう、ボロボロだよ?真っ黒だよ?

 「じゃあな、慎吾。また、はなじてづれよ」

 ……まだ、泣いてる……。

 「じゃあね、慎ちゃん。あ、寝る時は、歯、磨くのよ」

 ……それよりも前に、風呂はいるからね、母さん。そして、寝る時に歯は磨かないよ。寝る前に、歯は磨くけど。

 「慎吾!アイ・ラブ・ユーー!!」

 「……死ね」

 そうして、子離れできないクソッタレジジイは、母さんに連れられて大人しく部屋へ戻っていきました。一件落着ぅ……なのかな?

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