20、逃げるSと、追うM!?
「あ゛あ゛〜、疲れたっ」
「もう?まだ昼休みだぜ?」
「もう?じゃねぇよ。昼休みは、そろそろ疲れてくる生徒達のための、休憩の時間だぞ」
「でもさぁ、瀬川。疲れたって、朝来た時から言ってたぜ?」
「……気のせいだと思っとけ」
「それは無理だな、きっと」
「だったら、納得できるように、努力したまえ、小橋君」
「何?急に塾長気取り?」
「いいだろぉ。たまには酒に溺れてみてぇんだよ」
「いや、俺らまだ未成年だから。酒飲んじゃいけねぇ歳だから」
「細かい事は、気にするな。ハゲるぞ」
「ベタなところつくねぇ、瀬川」
「お前ほどじゃねぇよ」
なんて、のどかな会話。けど、この話の中じゃ、長く続く訳ねぇんだよな。……そういう作者だからな。はぁ……。
「ダーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーゲホッ、ゴホッ!!」
「まだ『ダー』しか言ってねぇのに、何むせてんだよ!」
「自分の限界を、試していたのよ、ダーリンの為に」
「何のために必要なんだよ」
「……う〜ん。トイレ掃除とか?」
「息止めて、掃除するのかよ」
「だって、臭いじゃない」
「確かにくせぇよ。だけどさ、お前の腐った心もくせぇ」
「ウソ!!美咲はいつでも清潔そのものだよ!そうでしょ、お父様」
「え?俺、まだそんなキャラ?」
「いいから答えなさい、この能無し」
「能無しはおまえだぁぁああ!!」
どこからか、侵入してきた森野を撃退する。また、ヤバイ方向に走り出しそうだった小橋は、何とか無事だ。ハァ〜、よかったぁ……。
「粗茶ですが……」
「あ、有難う……って、コレ、どこから持ってきたぁ!!」
お盆ごとひっくり返し、お茶は見事に森野にかかる。ざまぁみろ!いい気味だぜ!!
「小橋、こいつが変な事する前に、俺は消えるから。じゃ、後は頼んでぜ」
「え?おい、ウソだろ!!こんな毒舌辛口女と二人きりにさせんなよ!!なぁ、瀬川!!」
現実逃避兼逃走心兼ムカつきのため、俺はその場を離れる事にしました。
グッバイ、小橋。あの世で楽しく生きろよ。俺はまだ、死にたくねぇからさ。
とはいったものの、どこにも行く当てがない。そこら辺ウロついててもいいんだけど、それだけじゃつまらない。てか、それだけじゃ、話自体盛り上がらない。まあ、もう俺的には疲れたから、終わってもいいんだけどさ。
「終わらせません、勝つまでは!!」
「だ、誰だ!?」
「う〜ん、鴉ですね。はい。終わらせてもいいけど、まだネタは尽きてないんで、もう少し付き合ってもらうで」
「何でナマリ?」
「細かい事を気にするな、主人公よ。まぁ、これからも頑張れよ!じゃな!!」
な、なんだったんだ?どうして急に作者登場?この学校に、何の関係もねぇじゃんか。
まあ、それはいいとして。これからどうするか。まだ、休み時間終わるまで時間あるし。教室に戻ったら戻ったで、小橋から小言くらいそうだし。ああ、なんか、平和すぎてつまんねぇなぁ……。
「やっと見つけたわ!!愛しのダーリン!!」
「ウゲッ!!!」
「あ、待って!何で逃げるのよ!待って、待ってよ、ダーーーリーーーーーーン!!」
「追ってくるな!ストーカー女!!」
「ストーカーじゃないわ!!ちょっと恋愛の仕方が、複雑なだけよ!!」
「それが危険なんだよ!!」
「危険?それは二人の恋路に必ずあるものだわ!だから、ダーリン!二人でそれを乗り切りましょう!!」
「乗り切れるわけねぇだろ!お前がいる、その時点で、船が石と化すよ!!」
「ゴーゴン?」
「何でそんなもん知ってんだよ!」
「なんか、名前がカッコいいでしょ?もし、子供が生まれたら、この名前をつけようね、ダーリン!!」
「そんな名前の子供、恰好のイジメの対称だよ!『お前の目を見たら、石になっちゃう』的な発言されて、可哀相な子になっちゃうよ!!てか、お前との子供なんて、絶対に嫌だ!!」
「何でよ!!じゃあ、○解とかは?」
「ブリー○をパクるな!!」
「じゃあ、アイシー○ド21とか」
「お前、○ャンプ愛読者だな」
「私、ジャ○プより、貴方の心が読みたいわ、ダーリン!!」
「俺は拒絶する!」
「ダーリンも、ブ○ーチパクってるじゃない!!」
「気にするな、そんなちっぽけな事、すぐに忘れてしまえ!!ついでに、お前の事を忘れさせてくれ!!」
「ダメダメダメェェェェェェェェェェェェェェ!!そんな事、この美咲の目が白いうちには、絶対にさせないんだから!!」
「白じゃなくて、黒だよ、バァカッ!」
「白も黒も、同じだわ!!」
「全然違うよ!!汚れが目立つのと目立たないの!!」
「そんな事、私にとってはどうでもいいわ!!」
「俺にとっては、お前の存在がどうでもいい!!」
「酷い、酷いわ!!でも、嬉しい!!」
「キモいって―――」
止まって、上履きを脱ぎ、思いっきり振りかぶる。
「言ってんだろぉがぁぁぁーーーーーーーーー!!!!!」
剛速球で飛んで行ったそれは、周りの野次馬達を巻き込む事無く、スッコーンと森野に命中する。あまりの見事さに、周りから拍手が。
「これ以上、俺に付きまとうなよ、雌ブタが」
そう吐き捨てて去る俺の背中を、痛いほど見つめていたのは、間違いなく森野だろう。
ああ、いつか殺してやろうか。そんな事を思いつつ、俺は教室へ戻って行った。




