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第三十九話 どどんと一発撃ちましょう(後編)

「ええ、それもそうね」


 剣を高く構えたルイスは、最後にマリアを見つめる。


「……でも、あなたはほんとうに、百パーセント元の世界に戻りたいと考えているの? まあ、せめて最後に思いのたけは言っても罰は当たらないとは思うけど」

「……そうね」


 そのとき、マリアの目元から何か輝くものが一筋流れ落ちた。


「ほんとうに、この世界は楽しかった。出来れば帰りたくない、きっとそれはルイスも考えているでしょう。それは私も変わらない。けれど、住む世界が違うから、いつかはきっと戻らないといけない。だからこそ、戻る必要があるのよ」

「それは一理あるな、堕女神」


 その言葉に同情したのは、意外にも魔王メイルだった。

 メイルの言葉は続けられる。


「私としても、出来れば戻りたくないよ。この世界はとても楽しい。私が魔王であることを忘れそうになるくらいだ。だが、人々は苦しみながら仕事をし、そして自らの死を選択する。それを見ているうちに悲しくなってきた。この世界は、ファンタジアよりもひどい世界なのではないかと思うようになった。だからこそ、私はこの素晴らしい世界を侵略しようと思った。侵略することで、私色の世界に作り変えてしまおうと思った。……だが、この世界にはこの世界なりの幸せがある。それはきっと、私が作り替えたところで何も変わらないという幸せだ。それを実感して、私は自ら身を引くことにした。そして、生きてきた世界での幸せを追求しようと思った」

「……魔王にも意外と人間らしいところがあるのね」


 ルイスはメイルに言った。


「ダークエルフであるお前に人間の考えを言われるとは思わなかったよ。……まあ、私も随分と丸くなったのかもしれないな。この世界をどうにかしようというよりも、私の世界をどうにかしなくてはならないということ。そう思うことなんて、少し前の私では考えられなかったことだろう。恐らくは」


 メイルは目を細めて、両手を掲げる。

 そして彼女の頭上に巨大な火球が生み出される。それは徐々に大きくなっていき、彼女の身体程の大きさになっていく。


「……皆さん、未練がたくさんありますね。てっきり無いと思っていましたが……、まあ、そう言う私も未練はあります。未練しかありません、というのは大嘘ですが、この世界が素晴らしい世界であるということは確かでしょう。確かに、戦うことを忘れさせてくれた。それは私たちにとって素晴らしい世界だということ。それは火を見るよりも明らかでしょう」


 でも。レティーナは付け足すように言葉を言った。


「私たちは……皆さんが言った通り、元の世界に戻らないといけない。この世界で生きていくことは難しい。というよりも不可能なのですよ。ですから、私たちは生きづらい世界よりも、元の世界に戻ったほうが幸せに過ごすことが出来る。私たちはそう思ったのですよ」


 トン、とレティーナは杖を使って床を叩く。

 刹那、杖の向こうに光が満たされていく。


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