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第三話 スマートフォンとは何でしょう

 話を戻しましょうか、というルイスの言葉を聞いて俺は我に返った。


「……話を聞いていましたか? 一応、念のために、確認のために聞いておきますが」

「ああ、聞いているよ。何の問題もない。魔王を倒すためには……『デッキ』を組む必要がある。そういうことだろう?」

「デッキ? ……ああ、リアライズマスターのあなたはそういう認識なのですね。まあ、そういうことです。五人一組になって戦う……。それも補助役、攻撃役、防御役がバランスよく居る必要があります。まあ、それについてはリアライズマスターのあなたが一番よく知ることだと思いますから、これ以上言わないでおきますが」

「ああ、それは良く知っているよ……」


 デッキによるカスタマイズは俺がプレイしていたゲームの醍醐味ともいえる要素だった。そもそもリアライズしたカードには属性があるので属性を組み合わせることでうまく戦闘を進められるかがリアライズマスターとしてうまくゲームを攻略する鍵となっていた。

 だから属性とデッキ、その組み合わせについては頭の中にインプットされていた。伊達に毎日プレイしていない。ああ、一応言っておくが廃人とか中毒という類ではなくて、どちらかというと日常的に少しづつやっているだけに過ぎないのだが。


「そして、そのデッキをうまく組み合わせていくことで……魔王を倒すことが出来るはず。魔王はきっと宿主を求めているはず。それがいつになるのか解らないけれど……もし、魔王が宿主を手に入れることが出来たら、それは少々厄介なことになるわよ」

「どうして?」

「魔王もまた、カードの一種でありゲーム内キャラクターの一人であるということ。もし魔王がリアライズマスターを手に入れて、その能力を意のままに操ることが出来たら……考えただけで恐ろしい。そうなればリアライズマスター事態を無力化させないといけないからね」

「無力化……。具体的には?」

「先ず殺す」

「オイオイオイオイ! もっと何かいい方法は無いのかよ! たとえばスマートフォンを破壊するとか!」

「スマートフォン……とは?」

「ああ、そうか」


 ルイスの無垢な反応を見て俺は頭を掻いた。そうだ、異世界人のルイスにスマートフォンがどうこう言っても無駄だった。解りやすく話さないと……ええと……どうすればいいかな……。


「ああ、そうだ。スマートフォンというのは……リアライズマスターが使うことのできるシステムと言えばいいかな。それを使うことでリアライズが出来るし、キャラクターとも交流出来る……。要はリアライズ世界とこの世界をつなぐシステムだよ。そういえば何となく通じるか?」

「すまーとふぉん。……成る程、何となくですが、理解できました。そのすまーとふぉんとやらを無力化することが出来れば、リアライズさせることは出来ないということなのですね?」

「ああ、一応な」

「一応……とは」

「取り敢えず、ということだ。もし相手が別のスマートフォンを手にしていれば……それは難しい話になるだろうからな。だいいち、スマートフォンの無力化なんてそう簡単に出来るはずがない。どうやってやればいいかな……ああ、考えただけじゃ全然話がまとまらない!」


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